軍用列車の紹介:1975年アメリカ映画。アリステア・マクリーンの小説をマクリーン自ら脚本を手掛けて映画化したアクション・サスペンスです。西部開拓時代のアメリカを舞台に、伝染病流行の救援に向かった軍用列車を巡る陰謀に立ち向かう秘密捜査官らの姿を描いています。
監督:トム・グライス 出演者:チャールズ・ブロンソン(ジョン・ディーキン)、ベン・ジョンソン(ネイサン・ピアース)、ジル・アイアランド(マリカ)、エド・ローター(クレアモント少佐)、リチャード・クレンナ(フェアチャイルド知事)ほか
映画「軍用列車」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「軍用列車」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「軍用列車」解説
この解説記事には映画「軍用列車」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
軍用列車のネタバレあらすじ:起
1873年の冬、アメリカ・ネバダ州。ジフテリアの流行で全滅しかけているロッキー山間の要塞フンボルト砦に兵士の補充要員を送るために遣わされた合衆国陸軍徴用の軍用列車が、燃料補給を兼ねて途中のマートルという町に到着しました。この列車には、補充要員の約70人の兵士と軍馬の他にも、ネバダ州知事フェアチャイルド(リチャード・クレンナ)、知事の命でフンボルト砦の司令官の娘マリカ(ジル・アイアランド)、軍医モリノー(デヴィッド・ハドルストン)、従軍牧師ピーボディ(ビル・マッキニー)、列車長オブライエン(チャールズ・ダーニング)、機関手バンロン(ロイ・ジェンソン)、火夫ジャクソン(ケイシー・ティッブス)、騎兵隊指揮官クレアモント少佐(エド・ローター)、料理人カルロス(アーチー・ムーア)、車掌ヘンリー(ジョー・キャップ)らが乗り込んでいました。
軍用列車のネタバレあらすじ:承
マートルの駅で、保安官ネイサン・ピアース(ベン・ジョンソン)は、砦に脱走兵のカルフーン(ロバート・テシア)を引き取るため軍用列車に乗せるように頼むも断られます。ちょうどその頃、町の酒場では自称脱獄犯のジョン・ディーキン(チャールズ・ブロンソン)という男がいかさま騒ぎを起こしており、更にディーキンが軍需品を爆破させたことから、ピアースはディーキンを砦まで連れて行くため列車に乗り込みます。しかし、出発した列車の中では次々と不可解な事態が発生していました。突如列車内から将校2名が失踪、何者かが夜に紛れて通信回路を切断、フェアチャイルド知事は砦に向けて謎のモールス信号を送付していました。砦で信号を受け取ったのは、砦を占拠していたカルフーンと先住民パイウート族の酋長ホワイトハンド(エディ・リトル・スカイ)でした。やがて列車が難所のブレイクハート・パスに差し掛かる頃、突如火夫のジャクソンが謎の転落死を遂げ、続いて軍医モリノーが死体となって発見されました。
軍用列車のネタバレあらすじ:転
医師の資格を持つディーキンが死体を調べ、モリノーは何者かに殺害されたことを断定します。しかしその時、突然補充要員の兵士70名が乗る後部の寝台車3両が何者かに連結を切り離され、全員が車内に閉じ込められたまま深い谷底へ転落していきました。ディーキンは一連の謎を解き明かすため列車内を調査したところ、機関車の中から失踪した2人の将校の死体を発見、ディーキンはあえて砦に兵員の乗った列車切り離しは失敗したとの信号を送ります。信号を受け取ったカルフーンは直ちにホワイトハンド率いる部族の戦士たちを峠へ差し向けます。続いて補給車を調べたディーキンは、中から大量の武器・弾薬を発見しますが、その時突然綾里人のカルロスが襲い掛かってきました。ディーキンは激闘の末、カルロスを谷底へ突き落とします。
軍用列車の結末
全ての事実を掴んだディーキンは、クレアモント少佐とマリカに自らの正体を明かします。ディーキンは合衆国陸軍の情報部から派遣された秘密捜査官であり、砦にジフテリアが流行しているというもの嘘で、全てはフェアチャイルド知事と保安官ピアース、列車長オブライエン、カルフーン、パイウート族が裏で手を組み、砦に貯蔵されている大量の金銀を奪おうとしているのです。その時、峠の彼方からパイウート族の戦士たちが襲撃してきました。ディーキンとクレアモント少佐は列車を逆進させてパイウート族を振り解き、砦に向かうと捕らえられていた兵士たちを救出します。カルフーンを倒したディーキンとクレアモント少佐は全速力で峠に引き返し、砦の兵士とパイウート族の戦いが始まりました。クレアモント少佐はフェアチャイルド知事を倒し、続いてディーキンがピアースとオブライエンを倒します。戦いはディーキンとクレアモント少佐の勝利に終わり、マリカは父と再会を果たしました。
“イギリスの冒険作家アリステア・マクリーンの初の西部小説を映画化した冒険アクション・ミステリー「軍用列車」”
この映画「軍用列車」は、原作が「ナバロンの要塞」「荒鷲の要塞」「八点鐘が鳴る時」などで世界的に有名なイギリスの冒険作家、アリステア・マクリーンの初めての西部小説で、”駅馬車”を”軍用列車”に置き換えた構想は、彼の得意とするワクワクするような冒険ロマンに溢れた、ミステリー・タッチによって十二分に生かされていると思います。
金や銀を貯蔵しているロッキー山中のフンボルト砦に、伝染病が発生しますが、周りをインディアンに包囲されているため、70人の騎兵隊と数人の民間人を乗せた軍用列車が開拓地を出発し、その伝染病で全滅しかかった山岳砦救援のため、白銀のロッキーを爆走する軍用列車。
それを待ち受ける凶暴なインディアンと魔の急勾配”ブレイクハート・パス”。
このように考えただけでも、我々、冒険小説ファンにはたまらない設定が用意されていて、しかも、列車内でのミステリーあり、インディアン襲撃のアクションもありと、幾つもの面白い仕掛けがサービス精神たっぷりに張り巡らされているので、やはり、アリステア・マクリーン原作物は面白くて仕方がありません。
列車に乗り込んでいる民間人は、「ランボー」シリーズのリチャード・クレンナ扮する、ネバダ州知事、「ラストショー」のベン・ジョンソン扮する連邦保安官、そして、連邦保安官が護送中のギャンブラー、ジョン・ディーキン(チャールズ・ブロンソン)、砦の司令官の娘(ジル・アイアランド)など。
列車が砦に近い難所の”ブレイクハート・パス”にさしかかる頃、機関士、軍医、従軍牧師などが相次いで変死します。
犯人はこの列車の中にいる誰なのか? ——–。
映画の途中から、ギャンブラーのディーキンが探偵よろしく、この事件の解明にあたっていきます。
そして、実は彼が特別任務を帯びた秘密捜査官だったという事がクローズ・アップされます。
雪に埋もれたスリリングなアクションが炸裂し、息もつかせぬ展開になだれ込んでいきます。
西部劇とはいっても、主役は騎兵隊やインディアンではなく、”白い煙を吐きながらロッキーの山中を突っ走るSL”なのです。
特に、この映画の白眉ともいえる、”ブレイクハート・パス”での、インディアンの襲撃のシーンは、手に汗握る、映画的興奮の世界へと我々観る者を誘ってくれます。