シシリアンの紹介:1969年フランス映画。パリ・ローマ・ニューヨークを股にかけ、シチリアのマフィアのボスと脱獄した若き一匹狼のギャングが仲間たちと手を組み、高価な宝石を輸送する飛行機をハイジャックしようとする様子とその後の対立を描いたクライム映画です。
監督:アンリ・ヴェルヌイユ 出演者:ジャン・ギャバン(ヴィットリオ・マナレーゼ)、アラン・ドロン(ロジェ・サルテ)、リノ・ヴァンチュラ(ル・ゴフ警部)、イリナ・デミック(ジャンヌ)、アメデオ・ナザーリ(トニー・ニコシア)ほか
映画「シシリアン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シシリアン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シシリアンの予告編 動画
映画「シシリアン」解説
この解説記事には映画「シシリアン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シシリアンのネタバレあらすじ:起
フランス・パリ。宝石店強盗と警官殺害の罪で逮捕され、これより検察庁に護送されようとしていた、通称“五月の蠅”の異名を持つ一匹狼のギャング、ロジェ・サルテ(アラン・ドロン)は、シチリアのマフィアのボス、ヴィットリオ・マナレーゼ(ジャン・ギャバン)一家の力を借りて脱走に成功します。ヴィットリオはサルテをパリの家に匿い、ヴィットリオの長男アルド(イブ・ルフェーブル)の妻ジャンヌ(イリナ・デミック)がサルテの面倒を見ることになり、やがてサルテとジャンヌは不倫関係に陥っていきます。
シシリアンのネタバレあらすじ:承
サルテは刑務所内で知り合った男からローマで行われている大宝石展の話を聞き付けており、ヴィットリオに5000万ドル相当の宝石の強奪計画を持ち掛けます。ヴィットリオは故郷シチリアの土地を買い占めるための資金を欲していましたが、いまいちサルテのことが信用できないので、ニューヨークにいる旧友でマフィアのボス・トニー(アメデオ・ナザーリ)にも協力を頼むことにします。彼らは計画を練り上げ、次のニューヨークへ宝石を運ぶ飛行機をハイジャックすることを決めます。一方、フランス警察のル・ゴフ警部(リノ・ヴァンチュラ)は逃げたサルテの行方を追っていましたが、手掛かりは一向につかめないでいました。
シシリアンのネタバレあらすじ:転
サルテはロンドンの保険担当者エヴァンスの名を騙って飛行機に乗り込み、ヴィットリオ一家は途中経由のパリから合流します。そして操縦室に殴り込んで機を乗っ取り、一路ニューヨークへ向けて飛びます。しかしエヴァンス本人の妻が異変に気付いたことによりハイジャック計画が発覚、フランス警察はニューヨーク警察と連携してニューヨークの空港に厳戒態勢を敷きます。事態を嗅ぎ取った一家は急遽進路を変え、建設中の高速道路へ不時着します。まんまと宝石を盗み出した一家はトニー一味の助けを得てその場から逃走、メキシコへの逃亡を考えていたサルテはトニー一味に匿われることとなり、ヴィットリオ一家はパリに引き上げていきました。
シシリアンの結末
ヴィットリオ一家は孫の証言によりサルテとジャンヌの不倫を知り、激怒したヴィットリオはサルテを始末することにします。サルテは金の受け渡しという名目でパリに呼び戻されますが、ジャンヌの機転により一足早い便でパリ入りし、空港で待ち伏せしていたアルドらは警察に逮捕されます。怒りのヴィットリオはジャンヌを連れて自らサルテと接触、サルテを射殺しようとしましたがジャンヌが身代わりになって撃たれ、続けざまにヴィットリオはサルテを射殺します。自宅に戻ったヴィットリオは待ち構えていたル・ゴフ警部に逮捕されました。
主演はよく知られたジャン・ギャバンとアラン・ドロン。そしてリノ・バンチュラという渋い役者が刑事役で絡む。
話は、アラン・ドロンがジャン・ギャバンの一家や昔の仲間と手を組んで、ローマで開催されていた大宝石展に出品されていた、超豪華な品々を、それを次の開催地ニューヨークに運ぶ飛行機ごと乗っ取ってしまおうというもの。なにせスケールがでかい。
じゃあ作りも大味かというと、そこはフランス映画、細部まで見事に良くできた、なんともいい作品なのだ。
アラン・ドロンが単なる悪党というだけでなく、自分を警察から救い出してくれた恩人であるギャバンの息子の嫁と不倫する色男ぶりを発揮したり、かと思えばリノ・バンチュラは禁煙中で、決して火をつけない葉巻を加えてこの大事件に挑み、なんとも深い味わいを醸し出す。
そしてどっこい紆余曲折があり、飛行機は建設中の高速道路に不時着、果たして悪党どもの計画は成功するのか、それともリノ・バンチュラ率いる警察が勝利するのか、全体を通して見所は尽きない。
ラストのギャバンとリノ・バンチュラのやりとりはなんとも言えない。
この大作を締めくくるにふさわしい、何とも表現しがたいやりとりなのである。
付け加えればエンニオ・モリコーネの音楽がまたいい。
マカロニウエスタンとも、あの「ニューシネマパラダイス」とももちろん違う、独特の味のある曲なのである。
果たしてこの旧作、どこかで見られるのだろうか。
面白いんだけどなあ。