パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人の紹介:2015年イギリス映画。若い頃に書いた小説がベストセラーになって以来、セレブな人生を謳歌し続けているサンディ。しかし、サンディには万引き癖があり、ある日ついにスーパーの警備員ロバートに捕まってしまいます。ロバートは万引きを見逃してくれたものの、そのことを盾にストーカーのように付きまとってくるようになり・・・。劇場未公開のサスペンス。
監督:マイケル・レノックス 出演者:コンリース・ヒル(サンディ)、スティーヴン・グレアム(ロバート)、ララ・パルヴァー(ルーシー)ほか
映画「パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
パッチ・オブ・フォグ-偽りの友人-の予告編 動画
映画「パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人」解説
この解説記事には映画「パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人のネタバレあらすじ:起・警備員ロバート
主人公のサンディは25歳の時に書いた小説「一面の霧」がベストセラーになり、50歳を過ぎた今でも本が売れ続けている有名人です。本の印税と大学教授の仕事とテレビの討論番組の出演で優雅な生活をし、その上、出演している番組の司会者である知的で美しいシングルマザーのルーシーと親密な関係です。そんな順風満帆の人生であるはずのサンディですが、ベストセラー作家としての仕事に疲れを感じて鬱屈した思いを抱えるようになり、その捌け口として店で万引きを繰り返すようになります。サンディの万引きの手口は予め自分の携帯に電話がかかってくるようにセットし、店で携帯が鳴りポケットに手を入れた時に手にしていた商品もポケットに入れるというものです。紳士服店で万引きに成功し、車の中で震える手でタバコを吸うサンディ。後日、今度はスーパーで万引きをしますが見つかってしまい、出入り口で待ち構えていた警備員ロバートに呼び止められてバックヤードに連れて行かれます。万引きした瞬間の防犯カメラの映像を見せられますが、「ちょうど電話が鳴ったんだよ。偶然の事故だ」「警告で勘弁してくれ」と懇願するサンディ。「万引き犯は通報しますと店中に張り紙がしてある。俺には通報する義務がある」「仕方ないんだ。防犯カメラの映像は自動的にディスクに記録される」と聞く耳を持たないロバート。サンディが「テレビに出演してるんだ。ニュースで大騒ぎになってしまう」「頼みを聞いてくれ・・クリスマスだろ」と警察には通報しないでほしいと懇願し続けると、ロバートは警察に通報するのを止めます。サンディはお礼にお金を渡そうとしますが、ロバートはお金は受け取らずに「コーラでもおごってくれ」と誘い、その日の仕事帰りに飲みに行くことになります。二人でバーに飲みに行きますが、万引き後のサンディは気まずくて居心地の悪さを感じます。ロバートはサンディに何のテレビに出演しているのかと聞きます。「本や詩を討論する番組さ」と答えると「知らない。見てみよう」と言うロバート。店を出て、ロバートを忌々しく思いながらも握手をして礼を言うサンディ。しかし、ロバートは「問題が残ってる。防犯カメラのディスクだよ。上司が確認するんだ。用心しておくよ」と言います。サンディは困惑しながら「破棄しておいてくれ」と頼みますが、ロバートは「ディスクを持ち出してくるから同じ時間に会おう。日曜はどうかな」と言ってきて、また会うことになります。サンディはディスクのことで気が重くなりながらも、順調に仕事をこなしていきます。ある日、突然大学にロバートが来て驚きます。「ここで何してる?」と聞くと、「会いに来た。俺の職場は見てもらったから」と答えるロバート。「少し歩こう」と言って先に歩いて行くサンディ。ロバートはサンディが机に置いた飲みかけのコーヒーカップを持って一口飲み、匂いを嗅いでからカップの蓋をポケットに入れます。サンディがディスクのことを尋ねると、ロバートは「安全な場所に保管してある。俺の家だ」と答えます。ロバートはサンディを線路に連れて行きます。2枚のコインを線路に置き、「昔から友達作りは苦手だ。なぜかな」と呟くロバート。電車に轢かれてペシャンコになったコインの1枚を義兄弟の契りとしてサンディに渡します。
パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人のネタバレあらすじ:承・脅迫
後日、サンディはロバートと会います。ロバートはサンディの「一面の霧」を読んでいますが「難しい言葉が多くて辞書が手放せない」と笑い、俺は読書が苦手だから「一面の霧」を朗読して音声データにしてほしいと頼んできます。ディスクを渡さずにそんなことを頼んでくるロバートに苛立つサンディ。これから番組のために美術展に行くと言うと、ロバートは「いいね」と自分も一緒に行こうとします。サンディが「君は来なくていい。君が寂しいのは分かるが私に責任はない。もう会うのはよそう。ディスクを渡さないなら法的手段に出る」と言うと、「ネット上にカメラの映像を流されたいか」と脅してくるロバート。サンディが「今の君の言葉は脅迫だ。警察はどう思うかな」と言うと、ロバートが警察に行こうと言い出し、二人で歩き出します。ところが、ロバートはサンディが万引きの常習犯である事を知っており、過去に万引きした商品やサンディの手口を言って責め立ててきます。慌てて「法的手段なんてウソだ。一緒に美術展へ行こう、朗読にもすぐに取りかかる」と言うサンディに「俺は脅迫したか?俺は孤独か?泥棒はどっちだ?」と詰め寄るロバート。その後、二人で美術展に行きますが、ロバートは「あんたを知ってた。番組を見たことがあった。今じゃ毎週欠かさない。あんたは有名人なんだよ。そのサンディー・ダフィーが万引き犯とはね」と笑います。サンディーが「何が望みなんだ」と聞くと、「友達になりたい」と答えるロバート。「これが友情か?盗みの証拠を盾にして・・・」と唖然とすると、「あんたのために安全な場所に保管してる。もし他の奴に捕まってたら?あんたは終わってた。今ここにはいない。俺は味方だ。あんたに不都合なことを俺がしたか?」と言うロバート。サンディは帰宅後、鍵をかけた引き出しから「一面の霧」の原稿を取り出して朗読を始めます。サンディはロバートを自宅に招きます。サンディの豪華な家に驚くロバート。サンディとロバートはマリファナを吸いながら語り合い、本当の友人のように楽しい時間を過ごします。「まだこの部屋に”象”がいるな」と”象”を触れたくなくて避けているものの暗喩の表現としてディスクのことを尋ね、「今から君の家にディスクを取りに行こう。川に捨てれば完全に決着が着く」「なぜディスクを手放さない?私を信用してるだろ?」と言うサンディ。しかし、ロバートはやはり「安全のために俺が保管する」と言います。サンディが「これが美しい友情ってやつか。象が死ぬまで」と言うと、「そうだ。象が死ぬまで」と微笑むロバート。サンディがロバートを友人のようにもてなしたのは信頼させてディスクを取り戻すためでしたが、失敗に終わります。楽しかったと笑顔で帰っていくロバート。次の日の夜、サンディは大学の講義にロバートを招待します。しかし、招待は口実で、ロバートを大学におびき寄せている間にロバートの家にディスクを盗みに行くサンディ。ロバートは勉強する気満々で講義に来ますが、サンディではなくて違う教授が来たので驚きます。サンディは病欠になったと言われ、「聞いてない。彼の具合は?」と慌てて立ち上がって大学を出るロバート。サンディはロバートの家でディスクを捜しますが、棚に「初めてのコーヒー」と書かれたコーヒーカップの蓋や「初めての夜」と書かれたマリファナが並べられているのを見て唖然とします。サンディはロバートが飼っているヘビの飼育ケースの中にディスクが隠してあるのを発見して盗み出し、泥棒の犯行に見せかけるために部屋を荒らします。ディスクを川に投げ捨ててゴキゲンになるサンディ。家に着き、家が荒らされてディスクが盗まれていることに気が付いたロバートは怒り狂います。サンディは、これでロバートと縁が切れると感じて心が軽くなります。ルーシーからルーシーの娘フィービーを紹介され、ロバートがくれた契りのコインをフィービーにあげてしまうサンディ。ところが、ロバートが「忘れてないか?俺は防犯のプロだぜ」とサンディがロバートの家を荒らしている様子が映った防犯カメラの動画を送信してきたため、パニックになります。サンディは線路でロバートと会い、「怖かったんだ」と家に浸入したことを謝罪します。しかしロバートは様子がおかしく、電車の前に立ちはだかって自殺をしようとします。危機一髪のところでサンディが助けると、「ありがとう。感謝する」と泣くロバート。
パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人のネタバレあらすじ:転・決別
またロバートとの付き合いが再開されます。ロバートはサンディの講義に通うようになり、二人で映画館に行き、ロバートのために本の朗読を続けるサンディ。ロバートは店の防犯カメラをチェック中にルーシーとフィービーが来店していることに気が付き、「番組のファンなんだ」と話しかけます。ところが、フィービーがサンディの契りのコインを持っているのを見たロバートは態度を一変させます。ルーシーはフィービーとサンディの家に行き、3人でピザ作りを楽しみながらロバートという警備員に会ったことをサンディに話します。サンディは平静を装いながら鳴り出した携帯を見ると、ロバートからでした。窓を見るとロバートが覗き見をしていてギョッとします。すると、外で警報が鳴り、見に行っていると車が荒らされていました。次の日、サンディがロバートに車のことを問い詰めると、ロバートは「君はルーシーはただの仕事仲間だと言ったぞ。ホームドラマの父親気取りかよ」と文句を言い、フィービーが持っていた契りのコインのことも怒り出します。ルーシーは最近のサンディの様子に違和感を感じていて「何か隠してるでしょ」と聞いてきますが、「思い過ごしだよ」と笑うサンディ。サンディはロバートから留守中にソファが届くから受け取りを頼むと言われ、仕方なくロバートの家に行きます。ロバートの家で苛立ちを押さえられないサンディはあることを思いつき、ロバートの家の家具を全て処分してしまいます。帰宅したロバートがソファしかない部屋に驚いていると、サンディが償いとして家具やテレビなど全て新調してプレゼントする、明日届くぞと言うと、大喜びするロバート。その後、サンディの講義があり、ロバートも出席します。サンディは生徒達に「休みの間の課題だ。この映像を基にして物語を書いてくれ」と言い、ある映像を映します。サンディがロバートの家を荒らしている、あの防犯カメラの映像でした。硬い表情でジッと見つめるロバート。サンディは「芸術プロジェクトの一環だ。彼は何物で目的は何か。どんな状態にあるのか。彼の物語を考えるんだ」。そして「フィクションの世界だ」と言いながらロバートを見るサンディ。講義後、ロバートは「何を考えてる?マズいことになるぞ」とサンディに詰め寄りますが、「私が講義でよく使う方法さ」と答えるサンディ。しかもロバートの部屋の家具は全て処分してしまったので、部屋の特定も困難です。ルーシーとフィービーに近づいたら警察に通報するとロバートに言い、別れを告げるサンディ。「俺が何かしたと言うなら謝る。チャンスをくれ」と追いすがるロバートに、「私たちは友達じゃない。君の何もかもが我慢ならなかった」と突き放します。それでも講義には通い続けるからなと言うロバートに「もし来たら警備員に追い出させる。私はサンディ・ダフィーだ。身の程を知れ!」と怒鳴って去るサンディ。ロバートは涙ぐみながら立ち尽くします。帰宅し、万引きした商品をすべて燃やすサンディ。「一面の霧」の原稿も燃やそうとしますが、思い留まります。
パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人の結末:原稿の真実
ルーシーが司会を務める番組でサンディの特番が生放送されることになり、ロバートも自宅で視聴します。ルーシーがサンディにインタビューをしますが、幼い頃の辛い体験を語るサンディを見て、同情して涙を流すロバート。生放送は無事に終わりますが、ルーシーはサンディの態度に不信感を感じてギクシャクとした関係になっていたため、サンディはロバートのことを打ち明けることにします。その頃、ロバートはサンディの家に侵入しようとしていました。ルーシーはサンディから話を聞き、ロバートの家に浸入したことに呆れます。ルーシーはロバートを危険そうな人物だと感じますが「他人に対して危害を加えることはない」と言うサンディ。サンディが帰宅すると、「一面の霧」の音声テープが流れていることに気が付きます。ロバートはサンディの書斎で「一面の霧」の原稿を見つけますが、表紙には「一面の霧・ジョージ・ダフィー」と書いてあって愕然とします。サンディが書斎に行くと、原稿を保管していた引き出しが開けられていて原稿がなくなっていたため、呆然と立ち尽くします。恐怖とショックのあまりトイレで吐くサンディ。トイレから出るとロバートが座っているのが見えました。「泥棒め、私の原稿はどこだ」と怒鳴ると、「厳密にはあんたのじゃない。ジョージ・ダフィーの署名があった。その下には感動的な文言が・・・”息子のサンディへ。愛をこめて”。都合良く解釈したな」と笑うロバート。サンディが「どうして俺に執着するんだ?」と聞くと、「あんたが俺を選んだ。俺の店に来たのはあんただ。命も救ってくれた。あんたが選んだ」と言うロバートの言葉に、力なくよろめきます。そして「父を恥じてた。父は家から一歩も出ないが私の作家志望は知ってた。死後に原稿が出てきた。父は恥を名誉に変えたんだ。だが俺に残したのは献辞だけ。クソ親父め!」と怒りを露わにします。ロバートはそんなサンディをなだめ、「見返そう。余計な仕事はするな。今こそ自分の本を書くべきだ。まずは辞表にサインして」と書類を出してきます。「テレビ番組も大学も辞めないと。俺も仕事を辞めてきた。執筆に専念してもらうために俺がここに住み込んで家事をするよ。あんたなら傑作が書ける!」と言うロバートに呆然としながら「イカれてるよ」と拒否するサンディ。するとロバートは「ルーシーも大変だな。人の作品を盗んだ作家の特番を作った上に、そいつと寝てたわけだ」と脅してきます。ルーシーも名声を失いたくないサンディはロバートに友達はいるのかと尋ね、友達がおらず仕事を辞めてきたロバートに「君が消えても私以外は誰も気にしない」「原稿をどこに隠したんだ」と詰め寄ります。「サンディよせ。あんたはいい人だ」と後ずさりをするロバートを殴るサンディ。ロバートは殴られて怪我をしながらも持ってきた荷物を2階に運び込もうとします。サンディは「そんなことさせるか。どうして分からないんだ」と後ろからロバートの首を絞め上げ、そのままの体勢でバランスを崩して倒れ込みますが、その衝撃でロバートの首の骨が折れて亡くなってしまいます。サンディは「もうやめよう、ロバート」と起き上がりますが、ロバートが亡くなっていることに気が付いて「そんな・・頼むよ。ロバート。目を覚ましてくれ・・何てこと」とパニックになります。泣きながら通報しようと携帯を手にしますが止め、ロバートの遺体を湖まで運んでボートに乗せます。霧が立ち込める静寂の湖をボートで進み、ロバートの遺体に重りを縛り付けます。ロープを切ろうとしたところでルーシーから電話がかかってきますが、今は愛する人の電話に出る気持ちにはなれません。流れる涙を拭うサンディ。湖に遺体を投げ込みますがロープを切るのを忘れていたため、サンディの足にロープが巻き付いてサンディも湖に落ちてしまいます。サンディは一旦ボートにしがみついたものの、ロバートの遺体の重さに引っ張られて水中に沈みます。そして、宿命のようにロバートとロープで繋がれたまま息絶えます。サンディの家のクリスマスツリーの前に「ロバートからサンディへ。メリー・クリスマス。象が死ぬまでの友情に」と書かれた、「一面の霧」の原稿が入っていると思われるクリスマスプレゼントが置いてあるのでした。
以上、映画パッチ・オブ・フォグ-偽りの友人-のあらすじと結末でした。
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