50年後のボクたちはの紹介:2016年ドイツ映画。14歳のマイクはクラスメイトからサイコと呼ばれ変人扱いをされている。母親は愛情いっぱいにマイクと接してくれるが、アルコール依存症。父親は豊かな暮らしを与えてくれるが不倫中。密かに想いを寄せるタチアナからは相手にもされず毎日を退屈に過ごしていた。そんなある日、マイクの学校にチックと呼ばれる風変わりな転校生がやってきた。夏休み初日、チックはどこからか無断で借用してきたオンボロ車でマイクの家へやってきてドライブに誘う。目指すはドイツ語で未開の地を意味するワラキア。窮屈な生活を脱出し、これまでに見たことのない景色を目にしていく2人。旅の途中、警察に追われたりガス欠になったりとハプニングは続くが、様々な人たちとの出会いによって次第に2人は自分の居場所を見つけていく。原作はベストセラー小説『14歳、ぼくらの疾走』。世界三大映画祭を制覇したドイツの名匠ファティ・アキンが原作に惚れ込み完成させた作品。
監督:ファティ・アキン 出演:トリスタン・ゲーベル(マイク・クリンゲンベルク)、アナンド・チョローンバータル(チック)、メルセデス・ミュラー(イザ)、アニャ・シュナイダー(マイクの母)、ウーヴェ・ボーム(マイクの父 / ヨーゼフ・クリンゲンベルク)、アニヤ・ウィンデル(タチアナ)ほか
映画「50年後のボクたちは」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「50年後のボクたちは」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
50年後のボクたちはの予告編 動画
映画「50年後のボクたちは」解説
この解説記事には映画「50年後のボクたちは」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
50年後のボクたちはのネタバレあらすじ:起
交通事故の現場、道の真ん中で血だらになっているマイク。救急車の中で血に染まった自分の足を見て気絶をするシーンから始まります。時間はさかのぼり、作文の授業の時間。指されたマイクは、アルコール依存症の母親についての作文を読み始めます。愛する母親についての作文を得意げに読むマイクでしたが、母親のとんでもない日常を綴った内容にヴァーゲンバッハ先生は途中でやめさせます。クラスメイトからはサイコと呼ばれ変人扱いを受け、先生からはお咎めを受けてしまうマイクですが、そんなことは構う様子もなく、彼には密かに想いを寄せている学年のマドンナ、タチアナが頭の中を埋め尽くしていました。3週間後にはタチアナの誕生日パーティー。タチアナがクラスメイトをパーティーに招待している様子をうかがい、彼女のために似顔絵を描いて招待される時を心待ちにしていたマイクでした。そんなある日、クラスにチックという転校生がやってきます。大きな体、目つきは悪く、変な髪型。先生が自己紹介を促しても「めんどくせぇ」と拒みます。先生が代わって紹介したところによると、本名はチチャチョフという聞きなれない名前で、ロシアの遠いところから移住してきたとのこと。クラス中を不穏な空気にした彼はマイクの隣の席に座らせられます。
50年後のボクたちはのネタバレあらすじ:承
終業式がやってきます。夏休みに入る明日はタチアナの誕生日パーティーですが、結局マイクとチックだけは招待状をもらうことができませんでした。マイクは帰宅すると感情が抑えきれなくなり泣いてしまいます。翌日、母親はスパと呼んでいる断酒の専門施設へ入るために家を出て、浮気中の父親は200ユーロを置いて出張旅行という明らかな嘘を言い愛人と旅立っていきました。1人で生活するにはあまりにも広すぎる家。退屈そうにゲームをしていると、突然、どこかから拝借したオンボロのディーゼル車”ラーダ・ニーヴァ”に乗ってチックが訪ねてきました。嫌がるマイクにお構いなしのチックはズケズケ家に上り込みます。今夜は2人が誘われなかったタチアナの誕生日パーティー。タチアナへの想いを知ったチックは、マイクをパーティー会場へ連れていきました。チックに背中を押された形でマイクも意を決してタチアナへ似顔絵を渡し、2人は何かが吹っ切れたかのようにラーダ・ニーヴァでドライブの旅に出かけることを決意します。
50年後のボクたちはのネタバレあらすじ:転
2人のドライブで目指すのはチックの祖父が住んでいる場所。ドイツ語で未開の地を意味する”ワラキア”です。チックはマイクからスマホを取り上げると車の外へ投げ、ひたすら南を目指します。霧の濃いアウトバーン、当てもなくひたすら走り続けると目の前に広がるトウモロコシ畑。チックは車でトウモロコシ畑に名前を描き更に走り続けます。夜は風力発電機の下で星を眺めながら眠りにつき、翌朝にはピクニック中の自転車貴族という裕福な若者たちに出会う。優しく美しい母親と沢山の子供達の幸せそうな大家族にも出会い、食事に招かれました。こうしたひとつひとつの経験や出会いは2人にとって新鮮でとても輝かしいものでした。いいことばかりではありません。途中、警察に追われはぐれてしまったり、再会してもガス欠になってしまうトラブルに見舞われます。燃料を盗むためのホース探しでゴミ山に立ち寄った2人は、イザというホームレス同然の身なりをした少女と出会います。彼女はプラハに住む腹違いの姉に会うために2人の車へ乗り込みます。途中で寄った貯水池で身体を洗う3人。チックが食料を探している間、イザの髪の毛を切ってあげたマイクは美しくなったイザに心を揺さぶられます。空腹を満たし再出発した3人は、広大な景色の広がる高台に上ります。岩にはこれまでに訪れた人々の名前と西暦が刻まれていました。100年後、自分たちを知る人がこの世に何人いるのだろうか…そんなことをぼんやり考え、今この瞬間を愛しく感じた3人。チックは3人の頭文字と2016(年)という文字を刻みます。
50年後のボクたちはの結末
高台から下りるとプラハ行きのバスが止まっていました。マイクに30ユーロを借りたイザはお別れのキスをし、勢いよくバスへ乗り姿を消しました。再び2人のドライブが始まります。途中で数台のパトカーと遭遇しますがなんとか撒き、車はさらに細い道を行き小さな川に出ます。渡ろうとしているのは今にも壊れそうな橋。修復をするために川へ入ったチックは木片を踏んでしまい大怪我をしてしまいます。マイクが手当をしている最中、チックはゲイであることを告白します。不思議と違和感を感じなかったマイク。だからと言って、マイクはゲイではないがチックを本当の意味で理解していきます。チックの代わりに運転をするマイクでしたが慣れない運転に怯えます。アウトバーンに入り、恐る恐る運転をするマイク。チックは目の前を走る豚を乗せたトラックを追い越すようハッパをかけます。路肩から抜こうとしたその瞬間、トラックは大きく横転し荷台の大量の豚が道路に放り出されます。血だらけになり路上に座る2人。パトカーのサイレンが近づくとチックは施設送りになることを恐れ、足を引きずり歩き出します。「また会おう」。チックは暗闇へと消えて行きました。後日、裁判所で父親の入れ知恵とは裏腹に真実を語るマイク。「チックにそそのかされたわけではなく、2人でやったこと」と。後日、父親は愛人と出ていきます。新学期になり、寂しそうに見つめるマイクの視線の先には空席になったチックの席がありました。好きだったはずのタチアナからの手紙も以前のような喜びはありません。3人で上った高台のシーン。マイクはチックとイザに向かって言います。「50年後、2066年7月28日にここで会おう」と。微笑んでうなずくイザの横で、チックもまた無垢な笑顔で2人を見守っていました。
以上、50年後のボクたちはのあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する