ヒトラー最後の代理人の紹介:2016年イスラエル映画。アウシュビッツ強制収容所の所長ルドルフ・F・ヘスの手記を元に、戦争の悲惨な真実に迫るドラマ作品。第二次世界大戦後、若き捜査官兼判事のアルバートは、悪名高きナチス親衛隊将校ヘスの尋問を担当する。ヘスが口にする強制収容所の真実はおよそ人間の所業とは思えなかった。しかし1人の人間としてのヘスの苦しみを知り、アルバートもまた深く苦悩するようになる。劇場未公開作品を集めた映画祭「未体験ゾーンの映画たち2017」で上映された。
監督:エレズ・ペリー 出演者:ロマノス・フアマン(ルドルフ・F・ヘス)、マチェイ・マルチェフスキ(アルバート)、ヤツェク・ブロゾスティンスキ、シラ・ドタンほか
映画「ヒトラー最後の代理人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ヒトラー最後の代理人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ヒトラー最後の代理人の予告編 動画
映画「ヒトラー最後の代理人」解説
この解説記事には映画「ヒトラー最後の代理人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ヒトラー最後の代理人のネタバレあらすじ:アウシュビッツ強制収容所の所長
舞台は1946年のポーランド、クラクフ。捜査官兼判事のアルバートは、あるドイツ人への尋問を命じられます。その人物とは、アウシュビッツ強制収容所の所長を務めたルドルフ・F・ヘス。「彼から完全な自白を取れ」と指示され、アルバートはヘスが収監されている刑務所へ向かいました。取調室で対面した2人。ヘスがなかなか口を開かないため、アルバートは録音機を止めます。そして内ポケットから指輪を取り出し、ヘスに渡しました。改めて尋問を開始するアルバート。彼はナチス政権が強制収容所の囚人に強いた「働けば自由になる」というスローガンについて、本当に信じていたのかと尋ねます。ヘスは「働くことで罪深い人生から救われる」と答えました。
ヒトラー最後の代理人のネタバレあらすじ:尋問の日々
連日尋問は続きます。ヘスは1934年6月にナチス親衛隊に加入しました。そしてアドルフ・ヒトラーの側近ハインリヒ・ヒムラーから強制収容所での仕事を勧められ、ザクセンハウゼン強制収容所に勤めます。そこでヘスは親衛隊の将軍テオドール・アイケに会いました。彼はヒトラーの思想や命令に違反する者は、たとえ家族であっても許さない男だったそうです。ヘスは、内心ではアイケが求める強制収容所の姿に疑問を持っていましたが、保身のために何も口にしませんでした。ザクセンハウゼンからアウシュビッツへ異動になったヘスは、すぐに所長の地位に就きました。アウシュビッツでの任務は、古い建物を収容施設に変えることだったそうです。そこで録音機を止めたアルバートは、「内心どう思ってた?」とヘスの本音を聞き出そうとしました。ヘスは「私は別人となった」と答えます。以前のようには人を信じられず、疑い深くなったと自らの変化を振り返りました。
ヒトラー最後の代理人のネタバレあらすじ:虐殺の工程
アルバートは「働けば自由になる」というスローガンについて、再びヘスの考えを聞きます。ヘスは悲惨な状況から目を背け、全てを捧げ貢献すべきと信じていたと語ります。しかし囚人も同様だったかとアルバートが尋ねると、ヘスは押し黙りました。そして「彼らは全員 分かっていた。いずれ死ぬ運命だと」と答えるのでした。1941年夏、ヒムラーはアウシュビッツ強制収容所に大量虐殺のための場所を建てること、そして虐殺の実行を命じました。ユダヤ人虐殺はヒトラーが命じたことで、そこに個人の考えは必要なかったとヘスは語ります。1941年から1942年にかけて、全ての強制収容所でソ連の政治将校が抹殺されました。はじめは銃殺していましたが、ヘスが不在の際ガスによる虐殺が試され、シアン化合物チクロンBが使用されたそうです。以降ガスによる虐殺が始まり、ユダヤ人の虐殺にもガスが使用されました。
ヒトラー最後の代理人のネタバレあらすじ:人間としての苦しみ
昼夜を問わず遺体は焼かれ、ヘスはその全てに立会いました。一方でヘスは内心深く苦しんでいました。苦しみが大きい時は家族のもとに戻れなかったそうです。強制収容所に勤める多くの者が、処刑される人々と自分の家族を被らせていました。ヘスも家族の幸せを願う1人の夫であり、父親だったのです。自身も家族を持つアルバートは、その話を聞き苦悶するようになりました。翌日、尋問前に囚人達の労働を見ていたアルバート。すると1人の囚人がシャベルでヘスを殴りつけました。アルバートは慌てて駆け寄り、頭から血を流すヘスを見て思わず加害者をシャベルで殴ってしまいます。アルバートの失態は上司が解決してくれました。そしてヘスの処刑に付き添うよう命じられます。
ヒトラー最後の代理人のネタバレあらすじ:処刑
車で処刑地へ向かい、ヘスは絞首刑に処せられました。アルバートはヘスの遺体から指輪を回収し自宅を目指します。帰宅した時には既に夜になっていました。家族の寝顔を確かめるアルバート。妻は起きて帰りを待っていました。アルバートは無言で妻を見つめ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画ヒトラー最後の代理人のあらすじと結末でした。
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