チザムの紹介:1970年アメリカ映画。実在したアメリカ・ニューメキシコ州の大地主ジョン・チザムを主人公に、伝説のアウトローであるビリー・ザ・キッドやガンマンのパット・ギャレットらを巻き込んだ“リンカーン郡戦争”を描いた西部劇です。
監督:アンドリュー・V・マクラグレン 出演者:ジョン・ウェイン(ジョン・チザム)、フォレスト・タッカー(ローレンス・マーフィー)、ベン・ジョンソン(ジェームズ・ペパー)、ジェフリー・デュエル(ビリー・ザ・キッド)、グレン・コーベット(パット・ギャレット)ほか
映画「チザム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「チザム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
チザムの予告編 動画
映画「チザム」解説
この解説記事には映画「チザム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
チザムのネタバレあらすじ:起
1878年。南北戦争終結後のアメリカ・ニューメキシコ州ペコス川周辺に広大な土地を有し、“ペコスの王者”との異名を持つ大地主ジョン・チザム(ジョン・ウェイン)は、相棒のジェームズ・ペパー(ベン・ジョンソン)とともに、駅馬車の駅でボルティモアからやってくる姪のサリー(パメラ・マクマイラー)を待っていました。リンカーンの町では、ローレンス・マーフィー(フォレスト・タッカー)率いるマーフィー商会が急激に勢力を伸ばしており、悪徳保安官のブレイディ(ブルース・キャボット)を抱き込んで町を牛耳り、ならず者を雇っては近隣の牧場から牛や馬を強奪するなど悪行の限りを尽くしていました。
チザムのネタバレあらすじ:承
サリーの歓迎会には、チザムに好意的な英国人牧場主タンストール(パトリック・ノウルズ)、“ウィリアム・ボニー”と名乗ってタンストールに雇われた若きガンマンのビリー・ザ・キッド(ジェフリー・デュエル)、チザムの手助けをしたガンマンのパット・ギャレット(グレン・コーベット)、マーフィーに雇われた弁護士のマクスイーン(アンドリュー・プライン)とその妻スー(リンダ・デイ)らが招待されました。サリーはキッドと惹かれ合っていき、キッドのアウトローとしての素性を知るチザムは快く思わずもあえて口出しはしませんでした。やがてチザムとタンストールはマーフィー商会に対抗すべく銀行や雑貨店などを設立、マーフィー一味に愛想をつかして決別したマクスイーンもチザムに協力することを決めました。
チザムのネタバレあらすじ:転
ある日、キッドとギャレットはサンタフェまで買い出しに向かう荷馬車の護衛につきましたが、マーフィーの手下エバンス(リチャード・ジャッケル)の襲撃を受け、何とか撃退するもキッドは負傷してしまい、サリーの懸命な看病を受けました。タンストールはマーフィー一味の悪行を訴えるべく州知事の元へ直訴に向かいましたが、その途中でブレイディらによって牛泥棒の罪を被せられ、保安官助手らによって殺害されてしまいます。激怒したチザムは保安官助手捕まえて裁判にかけようとしましたが、復讐に燃えるキッドはブレイディと助手らを殺害して山中に逃げ込み、マーフィーの差し金で新たに保安官となった殺し屋のノディーン(クリストファー・ジョージ)はキッドの逮捕に動きました。
チザムの結末
キッドのアウトローな本性に気付いたサリーはギャレットに心惹かれていました。一方、キッドは武器を調達するため仲間たちと共にマクスイーンの店に忍び込みますがノディーンに見つかってしまい、銃撃戦に発展しました。スーは事態を知らせるべくチザムの家に急ぎましたが、マクスイーンはノディーンに射殺されてしまいます。マーフィー一味はキッドらを炙り出すために町に火を放ち、駆け付けたチザムたちと激しい全面抗争に突入しました。後に“リンカーン郡戦争”と呼ばれることになる一大抗争はチザムらの勝利に終わり、チザムは逃げるマーフィーを殺し、キッドもエバンスを倒しました。その後、キッドは逃げたノディーンを追って町を離れ、サリーは新たに保安官となったギャレットと一緒に暮らし始めました。そしてチザムは一人丘の上に佇みながら町を見つめていました。
以上、映画「チザム」のあらすじと結末でした。
この映画「チザム」は、西部劇の王者ジョン・ウェインが「勇気ある追跡」でアカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞後の初めての作品で、当時62歳のジョン・ウェインはすこぶる元気がいい。
西部史に名高いリンカーン郡戦争の中、ニューメキシコの広大な原野に牧畜王国を築き上げ、冒険と波乱の生涯を送ったチザム(ジョン・ウェイン)の実録の映画化作品だ。
チザムの親友のジェームズ・ペッパーにベン・ジョンソン、彼らと対立する黒幕の親分ローレンス・フィーにフォレスト・タッカー、連邦保安官パット・ギャレットにグレン・コーベット、無法者ビリー・ザ・キッドにジョフリー・デュエルという配役で、西部劇ファンとしては嬉しくなる顔ぶれだ。
この映画は銃撃戦やスタンピードという牛の大暴走などの見せ場も多く、西部開拓史上に名高い人物たち、特に、後に宿命の対決をすることになる無法者ビリー・ザ・キッドと名保安官パット・ギャレットの若き日の姿(といってもビリー・ザ・キッドは21歳でその生涯を閉じた)が、描かれているのも興味深い。
しかも、ビリー・ザ・キッドと言えば、左ききのガンマンとして有名だが、この映画では史上初めて右ききで登場してくる。
彼の写真が実は裏焼きだったので、ずっと左ききだとされてきたが、右ききが本当だったのだ。
かつて二挺拳銃のジョニー・マック・ブラウンをはじめ、ロバート・テイラー、オーディー・マーフィー、ポール・ニューマンと、歴代の左ききのビリーはみな魅力的だったが、それだけに、この映画の右ききのジョフリー・デュエルが扮しているビリーが少し見劣りするのは仕方がないだろうと思う。
この映画は実録とは謳っているが、実説とはかなり違っているものの、とにかく、牛の大暴走場面あり、ガン・プレイあり—-と、西部劇ならではの見せ場を次々と盛り込むサービスぶりで、かなり爽快感が味わえるのは確かだ。
ベテランのアンドリュー・V・マクラグレン監督が悠々たるタッチで西部劇の楽しさ、面白さを詰め込んだ作品になっていると思う。