コーヒーをめぐる冒険の紹介:2012/ドイツ映画。朝、飲み損ねてから、ずっとコーヒーを飲みたいニコに降りかかるのは災難ばかり。果たしてニコはコーヒーを飲むことが出来るのか?
監督:ヤン・オーレ・ゲルスター 出演:トム・シリング、マルク・ホーゼマン、フリーデリッケ・ケンプター、ユルトゥス・フォン・ドーナニー、ウルリッヒ・ノエデン、ミヒャエル・グビズデク
映画「コーヒーをめぐる冒険(OH BOY)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コーヒーをめぐる冒険(OH BOY)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
コーヒーをめぐる冒険の予告編 動画
映画「コーヒーをめぐる冒険(OH BOY)」解説
この解説記事には映画「コーヒーをめぐる冒険(OH BOY)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コーヒーをめぐる冒険のネタバレあらすじ:モーニングコーヒーが高すぎる!
恋人の家で朝のコーヒーを飲まなかったニコは、法学部も中退、飲酒運転で免停の冴えない若者、店でモーニングコーヒーを飲もうとしたが、たった一杯のコーヒーが3.4ユーロと高すぎて諦めるはめに。手持ちを増やそうとATMに行くと、今度はカードがディスペンサーから出てこなくなってしまう。仕方なく父親の留守電にメッセージを残したにニコがひとり暮らしの部屋の片づけをしようとすると、上の階に住むカールが妻お手製のミートボールを持って挨拶にやってくる。一人で片づけをしたいニコは適当に挨拶をして返そうとしたが結局カールに上がりこまれ、酒で乾杯をした挙句興味も無い話から、酔った勢いかカールと乳がん治療をして以降料理に冒頭し続けるカールの妻の話まで聞いてしまう。カールが帰った後、ニコは貰ったミートボールを捨ててしまう。
友達のマッツェに呼び出されハンバーガーショップに行ったニコ。ここでもやっぱりコーヒーが飲めない。
コーヒーをめぐる冒険のネタバレあらすじ:小学校の同級生と運命の再会?
ハンバーガーを頬張るマッツェの後ろにいる女の子と目が合う。ニコは見覚えが無いのだが向こうは覚えているようで、声をかけてきた。彼女はニコの昔の同級生ユリカだった。しかしニコはかつてユリカが太っていた事を理由にいじめていた。いじめを理由にユリカは寄宿学校へ転校、今はスリムな美人になっていて、あの頃はニコが好きだったと告白。今は寄宿舎の仲間とパフォーマンスをやっていると言って、今夜の予約チケットを出してくる。ニコはいじめていた手前遠慮しようとするが、役者志望のマッツェはユリカが美人だと言うこともあって行く気漫々、上機嫌のまま、友人がフィルムの撮影をしている現場へ。友人の楽屋を尋ねた後、撮影を見学。スタッフ用のコーヒーを飲もうとしたが、生憎魔法瓶の中は空。ニコが諦めて見学に戻ると皮肉にも新しい魔法瓶に入れ替得られる。撮影が山場にさしかかった所で、朝かけた電話に父から返事が帰ってくる。慌ててスタジオから出る二個は図書館にいたから出られなかったと咄嗟に嘘を吐く。そのまま父に問答無用でゴルフに誘われるニコ。ゴルフ場に行くと自分と同じ年頃の青年が父と一緒にゴルフに興じていた。クラブハウスで今度こそコーヒーを頼もうとするニコだが、昼間から飲もうとする父親に勝手に酒を注文されてしまう。大学の話を聞かれ中退をしている事を隠そうと、教授の話などを引き合いに出したものの、実は全ては父にバレていて、今朝のATMの件も、父親が止めてしまったからだった。金輪際援助はしないと言って高額紙幣だけを当面の生活費として残し父は帰ってしまう。
帰り道、鉄道職員に無賃乗車を疑われてしまうが、免許も学生証も無いニコは、煙に巻いて何とか脱出。夜になり、マッツェの車に乗せてもらうと、ユリカのパフォーマンスの開城とは違う方向へ。彼はサプライズだといってヤクの売人宅を訪ねた。
コーヒーをめぐる冒険のネタバレあらすじ:ニコ、ヤクの売人宅でくつろぐ
売人マルセルの家には、孫が売人をしているとは知らないマルセルの祖母がいた。薬にはまったく興味がないニコはトイレに行くと抜け出す。マルセルの祖母のいる部屋を覗くと、気持ち良さそうに椅子に座る彼女に呼び止められる。ニコは孫に買ってもらったという自慢のマッサージチェアに座らせてもらう。心地よさにうとうとし始めたニコは、マッツェに起こされ遅刻も承知で今度こそユリカのパフォーマンスの場所へ。
遅刻した二人はもちろん入り口で入場拒否されてしまうものの、ユリカからの招待状と言う事で静かにパフォーマンス開場へ。そのパフォーマンスはコンテンポラリーダンスで、前衛的過ぎるその動きにマッツェは笑いをこらえられず、ニコは呆気にとられて拍手が遅れてしまう。公演後のパーティーに出席した二人、ユリカに紹介された振付師は彼らにおかんむり。マッツェも役者関係と言う事で言い合いになってしまった二人を置いて、ユリカとニコは外へ行く。雑談をしていると、不良に絡まれてしまう。なるべく関わらないようにするニコに対し、あくまでも売り言葉に買い言葉のユリカ、結局ニコが殴られて不良たちは去っていく。
洗面所で傷の治療をユリカに傷の治療をしてもらっているうちに、いい雰囲気になる二人。しかし、太っている自分を抱きたいと言ってと懇願するユリカに、困惑し違和感を覚えたニコは途中で拒否してしまう。するとユリカは逆上。その場を追い出される。
コーヒーをめぐる冒険の結末:たった一杯のコーヒーに辿りつくまで。
夜中のバーに入ったニコはここでもコーヒーを一杯頼む、しかしコーヒーマシーンは洗浄済みでもう出せないと、言われてしまう。仕方なくカウンターでウォッカとビールを頼み飲んでいると、見知らぬ老人が声をかけてきて、子供の頃に見たベルリンについてとりとめもなく話し出す。そんな老人が帰る時、店の前で倒れる。それまで話を聞き流していたニコは救急車を呼び病院へ運ぶが手当ての甲斐もなく亡くなってしまう。身寄りの無いその老人の名前を知ろうとしたニコだが守秘義務で教えてもらえない。かろうじてファーストネームだけ看護師に教えてもらい、病院を後にしたニコは、朝の街角で、やっと一杯のコーヒーを飲むことが出来た。
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コーヒーをめぐる冒険について:モノクロームの日常風景。
劇中の中の時間経過はほぼ丸一日。主人公に災難ばかりが理不尽に降りかかっている印象を受ける。しかしよく考えてみると、大学中退を親にだまっていたり、飲酒運転をしたり過去に女の子をいじめていたり、災難の種を植えたのは主人公本人に他ならない。たまたまふりかかった日が重なっただけとも考えられる。そんなニコはと言えば降りかかる災難を甘んじて受けているようにさえ見える。どこか受動的なニコの唯一の意思と言えば「コーヒーが一杯飲みたい」そんなささやかな事。全編をモノクロにすることで彼に降りかかる災難を、あまり生々しく感じない。それは主人公ニコの心象風景の色にさえ思え、願わくばたどり着いたコーヒーによって、彼の心のうちが、ほんの少しブラウンでも帯びないかと思わずにはいられない。
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