トレジャーハンター・クミコの紹介:2014年アメリカ映画。孤独なOLのクミコは、映画「ファーゴ」を実話だと信じ、劇中に描かれた現金入りトランクを探しにアメリカへ旅立つ。アメリカでは有名だという都市伝説“タカコ・コニシ事件”。ミネソタ州の田舎町、1人の日本人女性が、映画で見た宝を探しているうちに凍死したというこの話を、ゼルナー監督が映画化した。むろん、その都市伝説は事実ではなく、日本人女性の死は恋愛や仕事の悩みによる自死だったと判明しており、監督も「映画はあくまでフィクションだ」と語っている。主演は日本を代表するハリウッド女優、「バベル」「パシフィック・リム」の菊池凜子。
監督:デヴィッド・ゼルナー 出演者:菊池凜子(クミコ)、勝部演之(サカガミ)、河北麻友子(カナザキ)、東加奈子(ミチ)、シャーリー・ヴェナード(老女)、デヴィッド・ゼルナー(副保安官)、ネイサン・ゼルナー(ロバート)、ほか
映画「トレジャーハンター・クミコ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「トレジャーハンター・クミコ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
トレジャーハンタークミコの予告編 動画
映画「トレジャーハンター・クミコ」解説
この解説記事には映画「トレジャーハンター・クミコ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
トレジャーハンタークミコのネタバレあらすじ:起
東京で1人暮らしをするOLのクミコ。勤務先の銀行では、同僚に馴染めず仕事にもなんとなく身が入りません。上司はクミコをお茶くみや雑用にこきつかい、29歳で独身なのがまるでおかしいとでもいうように、毎日ネチネチと嫌味を繰り返します。クミコの心を癒すのは、ブンゾーと名づけたペットのうさぎだけ。故郷の母親はしょっちゅう電話をかけてきますが、クミコの心を理解するどころか、東京で結婚しないなら実家に帰ってこいの一点張りです。そんなクミコのたった1つの希望。それは、擦り切れるほど見たVHSテープの洋画「ファーゴ」。米・ミネソタ州で起こった強盗事件を描いたブラック・コメディです。完全なフィクションであるこの物語を、クミコは実際にあった事件だと信じていました。ファーゴという場所の雪山に、多額の現金が入ったトランクが埋められている。そのトランクを掘り出すのは自分だと、いつからか確信するようになったのです。
トレジャーハンタークミコのネタバレあらすじ:承
ある日、クミコは街中で昔の友人、ミチに声をかけられます。ミチは旧友との再会に大はしゃぎで、うんざりしているクミコの気持ちに気づく様子もありません。夜は夜で、母親から「帰ってこい」の電話攻撃。クミコは思わず母親に「昇進した」と嘘をついてしまいます。そんな日々が続く中、クミコはますます「ファーゴ」にのめり込んでいきます。ビデオ画面から埋められた場所に検討をつけたり、図書館からアメリカの地図を盗もうとしたり、彼女のファーゴ行きの計画は着々と進行します。その後、上司から暗に退職を促され、ミチには子供を見せびらかされ、ついにクミコの堪忍袋の尾が切れました。うさぎのブンゾーを地下鉄に置き去りにし、泣きながら別れを告げたあと、ついにアメリカ行きの飛行機に乗り込んだクミコ。持ち物といえば、ファーゴのDVDとトランクが埋まった場所を記した手作りの地図、そして、上司から預かったまま持ち逃げした会社のクレジット・カードだけです。
トレジャーハンタークミコのネタバレあらすじ:転
降り立った空港では、宗教団体の勧誘に声をかけられたクミコ。どうにか振り切り長距離バスに乗り込みますが、タイヤがパンクして立ち往生。1人だけ降りて寒さの中を歩き出します。日が暮れる頃、1人の老女が車から声を掛けてきます。親切な彼女はクミコを自宅に招き、泊まっていくよう薦めます。しかしクミコは夜中に窓から脱走。真っ暗な道を歩き続け、一軒のモーテルに辿り着きます。母親に国際電話をすると、相変わらず「昇進は?結婚は?」の連発。クミコは「もっと大事なことがあるの!」と電話を切ります。翌朝。チェックアウトしようとするクミコに、モーテルの主人が言います。「このカードは使えないよ」。クミコは部屋に戻り、毛布を切り裂いてコートのように頭からかぶると、そのままモーテルから逃げ出します。
トレジャーハンタークミコの結末
歩き続けるクミコを、一台のパトカーが追います。「毛布をかぶった女性が歩いている」との通報を受けた、地元の副保安官でした。警察に保護されたクミコは、ファーゴのDVDを見せてつたない英語で「宝物がある。ファーゴに行きたい」と訴えます。副保安官は絶句。「これはただの作り話だよ」と説明しますがクミコは納得しません。副保安官に連れられた食堂から母親に電話をかけると、会社のカードを盗んだとの知らせを受けていた母親は怒りのあまり興奮状態。思わず泣き出すクミコを見た心優しい副保安官は、なんとか力になってやろうとコートや靴を買い与えます。クミコは彼にキスをしますが、驚いた副保安官は「君は誤解している。僕は仕事でやっているだけだ」と言います。傷ついたクミコは、タクシーを捕まえて走り去ります。辿り着いたのは真っ白な雪の中。タクシー代が払えずまたもや逃走したクミコは、1人で雪の中をずんずん進んで行きます。もはや吹雪で前が見えませんが、彼女の歩みは止まりません。翌朝。全身すっぽり雪の中に埋まっているクミコ。すでに彼女はこと切れていました。しかし、これはクミコが最後に見た夢なのか、もっそり起き上がるとまた元気に歩き出し、ついに映画で見た場所にたどりつきます。雪を掘ると中から大きなトランクが。「私は間違ってなかったんだ!」。笑顔になる彼女の目の先に、ブンゾーがいます。トランクを提げ、ブンゾーを胸に抱きしめて幸せそうに歩くクミコの姿が、雪の向こうに消えていきます。
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