ジュリエッタの紹介:2016年スペイン映画。ロレンソと一緒になることを決意し、マドリードからポルトガルへ移住する予定だったジュリエッタ。ところが街で娘アンティアの大親友だったベアと偶然の再会をしたことをきっかけに、マドリードに残ることに決める。ジュリエッタの想いは12年もの間、戻らないアンティアへと向けられ、昔を回想しながら手紙を書き始める。アンティアが生まれる前の出来事、ショアンとの出会い、そしてアンティアへの想いなど、手紙を通じて描いた作品。ジュリエッタの女性として、また母親としての生き方は深く悲しいながらも美しく描かれている。原作はノーベル文学賞受賞者のアリス・マンローの短編小説。サンディエゴ国際映画祭では作品賞を受賞しヨーロッパでも高い評価を得た。
監督:ペドロ・アルモドバル 出演:エマ・スアレス(ジュリエッタ)、アドリアーナ・ウガルテ(昔のジュリエッタ)、ダリオ・グランディネッティ(ロレンソ)、ダニエル・グラオ(ショアン)、インマ・クエスタ(アバ)、ブランカ・パレス(アンティア)、ミチェネ・ジェネール(ベア/ベアトリス)ほか
映画「ジュリエッタ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジュリエッタ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジュリエッタの予告編 動画
映画「ジュリエッタ」解説
この解説記事には映画「ジュリエッタ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジュリエッタのネタバレあらすじ:起
マドリード。ジュリエッタは引越しのために部屋を片付けています。ロレンソと一緒になりポルトガルへ移住することを決意したのでした。 ところがある日を境に一変します。街でジュリエッタに声をかけてきたのは、娘のアンティアが幼少期に大親友だったベアでした。ベアはイタリアのコモ湖でアンティアを見かけたと言うのです。12年前、ジュリエッタの前から忽然と姿を消した娘のアンティア。ジュリエッタは辛い日々を乗り越え、新しい人生を歩み始めようとした矢先の出来事。大きく心を揺さぶられます。ベアの話ではアンティアには3人の子供がいました。そしてジュリエッタが今でもマドリードにいることを伝えたとのことでした。家に戻ったジュリエッタ。すぐさま荷物をほどき引っ越すのをやめ、帰ってくるかもしれないアンティアを待つためにロレンソと離れる決意をするのでした。ジュリエッタはアンティアを育てた昔のアパートに住むことにしました。荷物の少ない部屋。ジュリエッタはペンを取りアンティアに宛てた手紙を書き始めます。”今まで言えなかったことを全て話すわ”と。
ジュリエッタのネタバレあらすじ:承
25歳のジュリエッタ。電車で向かいに座った中年男性に声をかけられました。疎ましく感じたジュリエッタは車両を移ります。ふとしたことからショアンと出会い、すぐに打ち解けました。漁師のショアンは既婚だが、奥さんは病気で昏睡しており5年間目を覚まさないとのこと。ジュリエッタは臨時講師をするためにマドリードへ行くと自己紹介しました。2人を乗せた電車は10分の長い停車のあと走り始めてから間もなく、急停車をします。1人の男が電車へ身投げ自殺をしたのでした。窓から見えた担架で運ばれた男は車内で声をかけてきた中年の男性でした。男を疎ましく思ってしまったジュリエッタの罪悪感を、ショアンは優しく包みます。
ジュリエッタのネタバレあらすじ:転
ジュリエッタの臨時講師最終日、校長より一通の手紙を受け取ります。ショアンからでした。ジュリエッタの住所が分からず勤務先に送ったのでした。ジュリエッタは手紙に書かれた住所を訪ね、ショアンに会いに行きます。ショアンの妻は亡くなっていました。家政婦はショアンと古くからの友人であるアバとの関係をほのめかしましたが、ショアンに会うとその不安は消え、会えなかった日々を埋めるように愛し合い、やがて女の子を授かります。アンティアと名付けた娘はショアンと漁に出るのが好きで幸せな家庭を築いていましたが、幸せはそう長く続きませんでした。アンティアのはじめてのキャンプの日、ジュリエッタとショアンはアバを巡って口論になり、嵐の中、海に出たショアンはそのまま帰らぬ人となってしまったのです。キャンプから帰ってきたアンティアは驚きを隠せませんでしたが、キャンプ中に仲良くなった友人のベアの支えもあり立ち直ります。一方ジュリエッタは自責の念から鬱病になってしまいます。アンティアは懸命に母を支えるもののその努力虚しく、ジュリエッタは立ち直れないままでいます。ベアが留学したのと時同じくして、アンティアはあるセミナーへ参加するため家を出ると言ったまま姿を消しました。
ジュリエッタの結末
ジュリエッタはアンティアより聞いていたセミナーの住所を訪ねてもそこにはいませんでした。疲労困憊するばかりのジュリエッタ。病気になったアバのお見舞いに行った際に、アンティアが家を出る前に、家政婦がジュリエッタのせいでショアンは亡くなったと言ったことを知らされます。探すことに諦めがつき始めた頃に出会ったのがロレンソでした。ロレンソは悲しみを抱えているジュリエッタに多くは聞かず、そっと寄り添い支えていきます。アンティアがいなくなり12年。そのロレンソとも離別を決めて諦めきれない娘の幻影を抱きながら過ごす毎日。ある日、ジュリエッタは街で偶然ロレンソを見かけ、歩道に飛び出したところで車と衝突してしまいます。全てを理解し、病院でジュリエッタに寄り添うロレンソ。ジュリエッタも回復し2人は車を走らせています。ナレーションでアンティアからの手紙が読まれます。そこにはアンティアの謝罪と、息子を事故で亡くしてしまったことで始めて母親の気持ちが理解できたという後悔が書かれていました。ジュリエッタを乗せた車はアンティアの住む地へ向かって進んでいくのでした。
以上、ジュリエッタのあらすじと結末でした。
娘が生まれたいきさつや間違った子育てでやがて娘は出て行ってしまう。新興宗教に入って施設で暮らしているらしく、連れ戻しに行くシーンも日本の90年代を見ているようで、妙にリアルでした。結局娘とはそれ以来、連絡なし。きれいごとだけではすまない母と子の関係性を描いてくれて本当にスッキリします。あと、いつもながらアルモドバル監督の映像はカラフルで大好きです。