ジャック・サマースビーの紹介:1993年アメリカ映画。戦地から帰還した夫を出迎えた妻は、別人のように優しくなった夫に戸惑い、やがてある疑念を抱き始めます。ある秘密を抱えながら村のために尽力する一人の男と彼を支える妻の絆を描いた人間ドラマです。
監督:ジョン・アミエル 出演者:リチャード・ギア(ジャック・サマースビー)、ジョディ・フォスター(ローレル・サマースビー)、ビル・プルマン(オーリン・ミーチャム)、ジェームズ・アール・ジョーンズ(バリー・コンラッド・アイザックス判事)、フランキー・フェイソン(ジョセフ)ほか
映画「ジャック・サマースビー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジャック・サマースビー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ジャック・サマースビー」解説
この解説記事には映画「ジャック・サマースビー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジャックサマースビーのネタバレあらすじ:起
1860年代後半のアメリカ南部。農場経営者のジャック・サマースビーは6年ぶりに故郷の村に戻ってきます。南北戦争から無事に生還したジャックを村人達は英雄と称えますが、ジャックの妻ローレルだけは怯えた様子を見せます。久しぶりに妻と息子に再会したジャックは、ローレルを優しく抱きしめます。その夜ジャックの帰還を祝うパーティーが開かれます。ジャックは挨拶にやってきた小作人のジョセフ一家にも気さくに話しかけます。以前のジャックならば黒人達に優しく接することなど考えらなかったことから、仲間達は彼のあまりの変貌ぶりに驚き、怪訝そうに見つめます。ローレルもまた冷酷であったはずの夫が別人のように変わっていることに戸惑い、警戒心を募らせていくのでした。
ジャックサマースビーのネタバレあらすじ:承
夫は戦死したものだと思っていたローレルは、ジャックの不在中にオーリンという若者から好意を寄せられ、結婚の約束もしていました。しかしジャックは二人の話を聞いても、腹を立てることもなく、むしろ寛容な態度を見せます。ジャックの優しさに触れたローレルは夫に心を開くようになり、夫婦は久しぶりに身体を重ねて愛を確かめ合います。靴の寸法を測りに行ったジャックは、店主から足のサイズが小さくなっていると言われ、狼狽した表情を見せます。ジャックは貧困に苦しむ町を立て直すため、土地を村人達に提供してタバコを栽培することを思いつきます。そして利益を上げた者には、白人であろうと黒人であろうと分け隔てなく土地を安く売り渡すと言い出します。さらに家宝を持ち合って金銭に変え、タバコの種を買おうと村人たちに提案します。ローレルもジャックの意見に賛同し、村人達に協力を仰ぐのでした。こうしてジャックの土地を使ったタバコ栽培が行われます。息子のロバートもジャックを慕い、ローレルはこれまでにないほどの幸福を感じていました。村人達と協力して耕し始めた農地にやがて花が実ります。そんな中貧血で倒れたローレルが妊娠していることが判明し、ジャックは父となる喜びを噛みしめるのでした。
ジャックサマースビーのネタバレあらすじ:転
タバコの葉に害虫がつきはじめ、困り果てていたジャックにオーリンが手を差し伸べますが、彼はジャックが別人であることを見抜いていました。オーリンは正体の分からぬ偽物の男だとジャックを罵倒し、彼の子供を身籠ったローレルを激しく責めます。ローレルはこれまで現実から目を背けてきましたが、今の夫がジャックになりすましていることを認めざるを得ないのでした。追い詰められたローレルは正体を明かそうとしない夫に家から出ていくよう迫りますが、ジャックは動じません。そんな中白人至上主義の集団がジャックの家を襲撃します。黒人達に土地を与えないようジャックを脅しに来たのです。ジャックは見せしめのため殺害されそうになるジョセフを身体を張って守り切るのでした。そんな中ローレルが娘を出産します。夫妻は子供にレイチェルと名付けますが、過去にある男を殺害した容疑でジャックは逮捕され、警察に連行されてしまいます。裁判が始まると、証人たちによってジャックが酒場で口論になった男を銃殺したことが明らかになっていきます。ローレルは法廷でジャックになりすましてきたことを告白し、別人であることが証明できれば無罪を勝ち取れるはずだと提案します。しかしジャックは妻にも決して正体を明かそうとはしないのでした。
ジャックサマースビーの結末
証言台に立ったローレルは、被告は夫の名を語るまったくの別人だと語り出します。さらに被告を知る証人も現れ、彼はタウンゼンドという詐欺師であると告白します。しかし被告は自分こそがジャックであると主張します。彼に助けられてきた村人達も、目の前にいる男こそがジャック本人であると信じようとしていました。ローレルだけは被告がジャックではないことを訴え続けますが、それは現在の夫ジャックを深く愛しているからであり、彼が無実の罪を着せられることに耐えられないからなのでした。しかし最後までローレルの夫で居続けることにこだわるジャックは罪を受け入れ、刑に服すことを選択します。ジャックの農場のタバコは高値で取引されますが、彼にはまもなく絞死刑が執行されようとしていました。ジャックはローレルに収容所で自分とよく似た男と一緒になったことを話し始めます。4年もの間同じ塀の中にいた二人は互いの境遇を何もかも知る様になりましたが、男は仲間に刺殺されたといいます。ローレルはその男がジャックだったのではないかと夫を問い詰めますが、死んだのはタウンゼンドだと言い張ります。夫を救い出したいローレルは、今からでもすべてを判事に告白すべきだと迫ります。しかしジャックはローレルと出会い、夫婦になれたことだけが自分にとって唯一の誇りだと妻に言って聞かせるのでした。死刑場へと上がっていくジャックは、愛する妻に見守られながら最期の時を迎えます。その後ジャックのおかげで村は繁栄していきます。ローレルはジャックの墓前に花を手向けるのでした。
「ジャック・サマースビー」感想・レビュー
-
瓜二つと言っても、かなり無理が有ると思うが、奥さんが今の彼を愛する姿勢と、最後まで夫になりすまして死んでいった別人?の姿には感動した
素晴らしい映画の一つですね! -
で、いったい絞首刑に処せられた主人公は何者だったんですか?
そこは誰にもわからない?
とても面白かった。
ちょっと無理がある設定だと思ったがフランスの実話が下敷きなっていると知って驚いた。当時の女性は男性なしでは自活していけないので、嫌な夫でも従うしかなかったと想像するが、嘘と知りながら、罪と知りながら、が夫と瓜二つの優しい男性に惹かれてしまうのはいたって自然の成り行きだと思った。過去の罪から逃れて新しい人生を歩みたい男が、美しい人妻に惹かれて二人が意気投合するのも合点がいった。ただ、なりすましたのが殺人犯だったとは皮肉だ。
けれども、ここからが本当にこの映画が語りたかったことだと思うが、自分の欲ではなく真実の愛ゆえに嘘をつき通し、極刑を甘んじて受けたからこそ彼の行為は人々の心の中では許され、ローレルも姦通罪には問われなかった。本当の夫ジャックは死んでいたというのに、敢えて刑を受けざるをえなかった二人は、勇気などと言う言葉では表せない、やはり真実の愛の形なのだと思った。