ワンダラーズの紹介:1979年アメリカ映画。1963年、ワンダラーズはブロンクスにあるタリー高校のイタリア系生徒の集団。ワンダラーズに属するリッチーたちの、人種等で分断された街での冒険が同時代の音楽にのせて描かれる。息子に勧められて読んだリチャード・プライス(この映画に出演もしている)による原作をフィリップ・カウフマンと妻のローズ・カウフマンが脚本化した作品は世界中に熱狂的ファンをもつカルト映画となった。スキンヘッドの世界的流行をもたらした(?)とも言われる。
監督:フィリップ・カウフマン 出演者:ケン・ウォール(リッチー)、ジョン・フリードリック(ジョーイ)、カレン・アレン(ニーナ)、トニー・カレム(デスピー)、アラン・ローゼンバーグ(ターキー)、ジム・ヤングス(バディ)、トニー・ガニオス(ペリー)、ほか
映画「ワンダラーズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ワンダラーズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ワンダラーズ」解説
この解説記事には映画「ワンダラーズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ワンダラーズのネタバレあらすじ:逃げるワンダラーズ
1963年、ニューヨークのブロンクス。リッチー、ジョーイ、ターキー、バディはタリー高校の最上級生でイタリア系生徒の集団の一つ、ワンダラーズのメンバー。揃いのスタジャンを着用している。ある日、頭をスキンヘッドにしたターキーにジョーイは驚く。卒業したらワンダラーズではいられない、だからフォーダム・ボルディーズに入れてもらうとターキーは言う。フォーダム・ボルディーズは街にたむろする黒い革ジャン、スキンヘッドの若者たちの集団だ。ところがジョーイが彼らの悪口をターキーに言ったのを、大男ぞろいのボルディーズきっての巨漢であるテラーのガールフレンド、ピーウィーが聞きつけてしまう。ジョーイとターキーはボルディーズに追いかけられるはめに。助けを求める口笛を聞いてバディと、ガールフレンドのデスピーといっしょにいたジョーイも外に出てくるが多勢に無勢で逃げるしかない。しかし道は行き止まりになる。そこへ大柄な少年が現れボルディーズを投げ飛ばしてリッチーたちを助けて去っていった。
ワンダラーズのネタバレあらすじ:人はみな平等に造られている
リッチーたちを救った大柄な少年はジョーイのアパートの同じ階に引っ越してきた母子家庭の少年、ペリーと分かる。彼は高校ではリッチーと同じクラスになった。高校には人種や宗教を異にする様々な集団がある。例えばウォンズは中国系の皆ウォン姓の27人の生徒で、格闘技に励んでいる。リッチーのクラスではシャープ先生が「人はみな平等に造られている」と板書し、生徒間の相互理解を目指した授業をしようとしたが、いつの間にか黒人生徒とイタリア人生徒のののしり合いになり、教室で取っ組み合いが始まる。リッチーと黒人生徒の集団、デル・ボマーズのクリントン・スティッチはワンダラーズとデル・ボマーズの果し合いをすることに決める。ただしナイフと銃なしで。だが、ワンダラーズの方が少数勢力で加勢してくれる集団もない。しかたなくリッチーはデスピーの父、チャビー・ガラッソに相談する。チャビーとその兄弟は街の顔役で怖がられる存在だった。ところがガラッソ兄弟は既に黒人コミュニティーの顔役と、共通の利益のために子供たちはスポーツで決着をつけるべしと話を付けていた。
ワンダラーズのネタバレあらすじ:パーティーの夜の悲劇
リッチー、ジョーイ、バディ、ペリーは道行く女性たちの胸に肘をぶつけて遊ぶ。リッチーに肘をぶつけられて憤慨したニーナが手に持っている本は『チャタレイ夫人の恋人』。本の趣味が一致する二人は互いに好意を抱きかけるが、既にデスピーのいるリッチーは友をだしに使う。とっさに彼女にジョーイを紹介してワンダラーズのパーティーに誘う。ジョーイも彼女にのぼせてしまう。 パーティーはデスピーの家で行われる。デスピーはニーナを警戒するが、いつしかニーナとリッチーはパーティーを抜け出す。ところが、既にボルディーズの仲間になっていたターキーが仲間にいいところを見せるためにパーティーに乱入して騒ぎを起こす。その騒ぎのせいで、ニーナの自動車の後部座席で二人がいちゃついているところが仲間に見られてしまい、デスピーもジョーイもリッチーの裏切りに傷つく。 一方、ターキーはボルディーズに置き去りにされ、仲間をさがすうちにある教会の前に来る。そこは不気味なダッキー・ボーイズという若者たちの縄張りだった。ダッキー・ボーイズに追われたターキーは建物の外の非常用のはしごを上って逃げるが墜落して死ぬ。
ワンダラーズのネタバレあらすじ:スタジアムの大乱闘
ターキーの死に続いて悲劇がアメリカを襲う。リッチーは電気店のテレビの前で涙ぐむ人たちを見る。デスピーもその一人だった。ケネディ大統領が暗殺されたのだった。リッチーはデスピーと仲直りする。そして妊娠したことを教会で明かされる。チャビー・ガラッソは娘を妊娠させたリッチーをさんざん震え上がらせた後、温かく「義息」と呼びかける。デル・ボマーズとワンダラーズのアメリカン・フットボールの試合の日が来る。パーティーがきっかけで孤立していたリッチーは隠れて試合を見ていたが、デル・ボマーズにワンダラーズが圧倒され続けクォーターバックのジョーイが戦意喪失するのを見かねてフィールドに出て、ジョーイとのわだかまりを解きクォーターバックのポジションに入り、ワンダラーズが巻き返す。ところが、突然ダッキー・ボーイズが殴り込みをかける。デル・ボマーズとワンダラーズは共闘する。観客席にいたウォンズや、ジョーイの筋肉自慢の父親もワンダラーズ側に加勢して大乱闘になるが、ダッキー・ボーイズは忽然と去っていった
ワンダラーズの結末:ワンダラーズよ永遠なれ
厨房で皿洗いのアルバイトをしているリッチーをバディ、ジョーイ、ペリーがレストラン側に引きずり出す。ないしょでリッチーの独身最後のパーティーを用意していたのだ。ワンダラーズだけでなくウォンズやデル・ボマーズもそろっていた。リッチーは窓の外にニーナが歩くのを見つけ、彼女の跡をつける。彼女はフォーク・シティというクラブに入りボブ・ディランが「時代は変わろうとしている」と歌うのを聴く。リッチーは窓の外から彼女が自分と違う世界にいるのを感じた。レストランの前に戻ったリッチーにペリーとジョーイが別れを告げる。ペリーのアルコール依存症の母とジョーイの横暴な父を捨てて二人は旅に出ることにしたのだ。行き先はサンフランシスコになるだろう。一人ぼっちでパーティーをのぞいていた――ボルディーズは皆、街角の徴兵オフィスの軍人にだまされて海兵隊員にされてしまっていた――ピーウィーもリッチーはレストランに入れてやる。レストランの中では女性歌手がリッチーのためにディオンのヒット曲「ワンダラー」を歌う。そして皆がいっしょに歌い始める。
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