不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生の紹介:2017年アメリカ映画。医学に大きな発展をもたらした「不死細胞ヒーラ」を提供した女性と、その遺族に焦点を当てたドラマ作品。1951年、黒人女性ヘンリエッタ・ラックスの癌組織から、無限に増殖する稀有な細胞が発見された。「HeLa」と名付けられ研究されるようになった不死細胞は、病に苦しむ世界中の人々に恩恵を与えている。しかし採取は本人に無断で行われ、遺族は何の補償も受けていなかった。フリーライターのレベッカはヘンリエッタの人生を本にするため、彼女の娘デボラと共に奮闘する。原作はレベッカ・スクルートの同名ノンフィクション小説。
監督:ジョージ・C・ウルフ 出演者:オプラ・ウィンフリー(デボラ・ラックス)、ローズ・バーン(レベッカ・スクルート)、レネー・エリス・ゴールズベリー(ヘンリエッタ・ラックス)、コートニー・B・ヴァンス(サー・ロード・コーフィールド)、レグ・E・キャシー(ザカリヤ)ほか
映画「不死細胞ヒーラ ヘンリエッタラックスの永遠なる人生」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「不死細胞ヒーラ ヘンリエッタラックスの永遠なる人生」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生の予告編 動画
映画「不死細胞ヒーラ ヘンリエッタラックスの永遠なる人生」解説
この解説記事には映画「不死細胞ヒーラ ヘンリエッタラックスの永遠なる人生」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生のネタバレあらすじ:不死細胞の発見
舞台は1951年、アメリカのボルティモア。ジョンズ・ホプキンス病院で1人の女性が子宮頸癌で亡くなります。彼女の名前はヘンリエッタ・ラックス。5人の子どもを持つ黒人女性です。彼女から採取された癌組織の細胞は研究の後、無限に増殖する不死化した細胞であると発表されました。「HeLa(ヒーラ)」と名付けられた細胞は世界中の実験室に贈られましたが、ヘンリエッタの名前は伏せられた状態でした。黒人差別が激しい時勢に加え、癌組織の切除自体ヘンリエッタに無断で行われたことだったのです。1954年、ヒーラ細胞の販売により生物医学産業が誕生。以降世界中の人々が恩恵に浴してきました。時は流れ、1999年。フリーランスのライター兼編集者レベッカ・スクルートは、今まで触れられて来なかったヘンリエッタの人生を本にしようと考えていました。そのためにボルティモアで暮らすヘンリエッタの次女デボラ・ラックスに連絡を取ります。デボラは幼い頃死別した母について知りたいと熱望し、レベッカに協力すると約束しました。しかしこれまでの心労で心身が弱っているデボラは、家族に猛反対されてしまいます。
不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生のネタバレあらすじ:遺族の反発
レベッカはボルティモアに向かい、ヘンリエッタの遺族と面会。何とか彼らを説得しようとします。遺族によると、細胞の採取について、病院側からは何の説明も無かったそうです。そして細胞を売って大儲けした病院を非常に嫌っていました。彼らはそれぞれ体に不調を抱えていますが、ヒーラ細胞の利益は一切回ってきていません。デボラは母や、若くして精神病院に入院し死亡した姉エルシーについて知りたがっていました。しかしレベッカがヘンリエッタの医療記録を見ようとすると、突然喚き散らして拒絶します。虐げられてきたデボラは、簡単には他人を信用出来なくなっていました。デボラの兄弟も、レベッカを病院の回し者ではないかと疑います。それでも母のことを知りたいと願うデボラは、レベッカを生まれ故郷クローヴァーに案内しました。伯母グラディス達にヘンリエッタのことを尋ねますが、彼らは故人の話はしないと口を閉ざしてしまいます。しかしレベッカが根気強く聞いていくと、少しずつ思い出を話してくれました。ヘンリエッタは周りを和ませ、人生を楽しんでいた優しい人だったそうです。翌日、デボラ達は墓石も無く眠っているヘンリエッタとエルシーの墓参りに向かいました。
不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生のネタバレあらすじ:虐げられた記憶
順調に資料を集めていくデボラとレベッカ。そんな2人を、遺族は忌々しく見ていました。彼らは自分達を騙して細胞を盗んだホプキンス病院を強く憎んでいるのです。デボラもレベッカのことを信じきれず、ホプキンスの手下ではないかと詰め寄りました。レベッカはカードの支払いすら滞っていることを明かし、誰からも援助は受けていないと断言します。脱力したデボラは、ここまで遺族がレベッカを疑う理由を話し出しました。レベッカが現れるより少し前、サー・ロード・コーフィールドという弁護士が一家を訪ねて来たそうです。そしてホプキンス病院やバイオ企業から賠償金をもぎ取ると言い出しました。デボラ達は大喜びしましたが、後に彼がただの詐欺師だと判明。ヘンリエッタの医療記録を守ろうとすると、サー・ロードはラックス家を訴えました。その騒動で疲弊したデボラは心を病んでしまったのです。母の医療記録は自分の宝物なのだと話すデボラ。時機が来たら見せると言う彼女に、レベッカも頷きました。
不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生のネタバレあらすじ:再会
デボラとレベッカはエルシーが入院していたクラウンズヴィル・ホスピタル・センターを訪ねます。1963年まで黒人専用の病院だったこの場所では酷い扱いを受けた患者も多く、エルシーも例外ではありませんでした。事実を知ったデボラは不安定になり、レベッカと喧嘩をしたり、過去の辛い体験がフラッシュバックして泣き喚いたりします。それらを乗り越え、ついにホプキンス病院を訪ねたデボラとレベッカ。デボラの弟ザカリヤも一緒です。ヒーラ細胞を使って長年研究をしているというクリストフの協力で、3人は実験室に入りました。そこで小さな容器に入ったヒーラ細胞を受け取り、デボラは大切そうに両手で包みます。顕微鏡でヒーラ細胞を見たデボラは「なんて美しいの」と感動しました。
不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生の結末:出版
順調に出版の準備を進めるレベッカ。ところがある日、思わぬ知らせが飛び込みます。デボラが心臓発作でこの世を去ってしまったのです。2009年5月12日、本が出版される9ヵ月前のことでした。書籍『不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生』は6年間ベストセラーとなり、ヘンリエッタ・ラックス財団が2010年に創設されます。しかし現在でも、治療中細胞が採取される場合、提供者の身元が隠されるなら同意は不要なままです。ラックス家の人々も未だ補償を受けられていません。「ヘンリエッタ・ラックスの遺族の協力に感謝」という言葉と共に家族写真が映され、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生のあらすじと結末でした。
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