ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命の紹介:2016年アメリカ映画。20世紀に入り大発展を遂げたニューヨーク、その都市計画を考えるにあたり2つの異なる考えがありました。一つはロバート・モーゼスに代表される高層ビルと高速道路を中心とした開発、もう一つはジェイン・ジェイコブスに代表される人間の生活を中心とした開発でした。ロバート・モーゼスはニューヨーク市の大きな権力を持つ役人、ジェインは市民活動家、強引な開発をすすめるモーゼスに対しジェインはそれに反対する市民活動を展開します。『ジェイン・ジェイコブスーニューヨーク都市革命』はジェイン・ジェイコブスのモーゼスとニューヨーク市の都市開発に反対する市民活動を描いたドキュメンタリー映画です。
監督:マット・ティルナー 出演:ジェイン・ジェイコブズ(本人・アメリカとカナダでの市民活動家、作家) ロバート・モーゼス(本人・ニューヨーク市役人) 他
映画「ジェイン・ジェイコブズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジェイン・ジェイコブズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命の予告編 動画
映画「ジェイン・ジェイコブズ」解説
この解説記事には映画「ジェイン・ジェイコブズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命のネタバレあらすじ:起・モーゼスとジェインの異なる都市計画
20世紀に世界最大の大国となったアメリカは、経済発展によるビルの高層化が進み、自動車社会となり全米が高速道路で結ばれます。アメリカ最大の都市であるニューヨークでも高層ビルはますます増え、道路網も整備されますが、貧困問題も存在していました。ニューヨーク市役人のモーゼスはニューヨークの都市開発に巨大な権力を握り、第二次大戦後に古いビルを壊す都市開発を計画します。ジェイン・ジェイコブスは1916年の生まれ、1930年代よりニューヨークに暮らしています。ニューヨークが好きだというジェインは、高層ビルや道路でなく人間こそが都市の中心と考えます。ジェインは1961年に「アメリカ大都市の生と死」という本を出版します。それは、モーゼスの高層ビルと道路網こそが都市開発の中心という考えと対立するものでした。
ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命のネタバレあらすじ:承・ジェインの人間生活の都市開発
ジェインは女性の社会進出が遅れていた時代にジャーナリストとして都市問題に取り組んできました。彼女は人間と都市を観察し『アメリカ大都市の生と死』でモーゼスに代表される高層ビル、高速道路、スラム街破壊を中心とする戦後のアメリカの都市計画に疑問を投げかけました。ジェインは素晴らしい都市は、高層ビルでなく人々により作られる、町と町は小道で連結されている、人々が歩ける空間がある、人種的、文化的に多様である、と述べます。彼女は素晴らしい都市は、人々と企業が共存するもの、多くの多様な要素が混乱するものでなく共存するもの、とも述べます。死んだ町はビルは高いが人が見えない、生きた町は多くの人が歩いている、ビルや高速道路は都市を殺す要素、と述べます。
ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命のネタバレあらすじ:転・ワシントン・スクエア公園の戦い
1950年代後半にロバート・モーゼスは開発計画として、100以上の世帯を立ちのかせ、道路をワシントン・スクエア公園までの拡大させ交通の流れをよくする計画を立てます。この公園周辺は多様な人々が暮らし、週末には音楽を楽しむ場所でした。モーゼスの計画には多くの人が反対します。ジェインらは拡大に反対するグループを結成し、子供までもが反対運動に参加します。ジェインら反対派は結果的に拡大計画を中止に追い込みます。これはジェインの最初の市民活動家としての勝利でした。モーゼスはジェインの市民活動に反論します。1960年代にモーゼスとニューヨーク市は都市計画として、ウエスト・ヴィレッジ地区に住宅開発計画をすすめます。ジェインら反対派は貧しい人を無視した開発としてニューヨーク市を訴えます。
ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命の結末:ジェインの市民活動と逮捕
ジェインらはウエスト・ヴィレッジ開発は人々のためのためでなく、建設業界などの企業、ビジネス優先の開発と考えました。実際、全米の各地で行われ同様に建てられた住宅は空虚なビルになり犯罪が蔓延する場所になっていました。モーゼズはニューヨーク市の道路拡張を計画し、古いビルの破壊と人々の立ち退きを要求します。しかし、ジェインは道路開発も自動車会社などの大企業優先の開発として批判し、そこに暮らす人を守り、人々が小道をあるくのが町のあるべき姿といいます。1968年にジェインは暴動を誘発したとして逮捕されます。しかし、道路計画は中止されます。ジェインの罪は軽減されますが、彼女はカナダに移住します。ジェインの運動は全米の市民活動に大きな影響を与えます。専門家はアジアの発展国もジェインの運動から都市計画を学ぶべきと言います。映画の最後の字幕で、ジェインはカナダで執筆活動を続け、2006年に89歳で死去したこと、が流れます。
以上『ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命』 のあらすじと結末でした。
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