アムール、愛の法廷の紹介:2015年フランス映画。熟年男性の恋模様と厳粛な法廷劇を織り交ぜたフランス映画。ミシェルは厳しさと冷淡さで有名な裁判長。そんなある日、法廷の陪審員にかつて思いを寄せていた女医のディットが現れる。思いがけない再会を果たし、粛々と裁判を進めながら再び彼女にアタックし始める。ディットと過ごすうち、ミシェル自身もいつの間にか被告や裁判に向き合う姿勢が変わっていくことに気づく。そして裁判の結果もミシェルらしからぬ展開を迎える。第75回ベネチア国際映画祭で脚本賞と男優賞を受賞した。
監督:クリスチャン・バンサン 出演:ファブリス・ルキーニ(ミシェル・ラシーヌ)、シセ・バベット・クヌッセン(ディット・ロランサン=コトレ)、コリンヌ・マシエロ(マリー・ジャンヌ)、エヴァ・ラリエ(アン・ロランサン=コトレ)、ソフィー・マリー・ラルイ(コラリ・マルシアーノ)ほか
映画「アムール、愛の法廷」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アムール、愛の法廷」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アムール、愛の法廷の予告編 動画
映画「アムール、愛の法廷」解説
この解説記事には映画「アムール、愛の法廷」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アムール、愛の法廷のネタバレあらすじ:起
フランス北部のサントメールの裁判所に長年勤務しているミシェルは、冷淡な裁判長として有名です。彼は法を重んじ自分にも他人にも厳しくするあまり、いつの間にか孤独になっていました。ある日もインフルエンザで絶不調ながら、父親が生後7カ月の娘を蹴り殺した事件の裁判に出廷します。すると、ランダムで選ばれた陪審員の中に6年前入院先の病院で勤務していた麻酔医・ディットがいました。
アムール、愛の法廷のネタバレあらすじ:承
ミシェルは6年前、交通事故に遭った時股関節を手術しており、ディットは当時の麻酔医だったのです。その時ディットはミシェルの手を握り献身的に励ましており、ミシェルはその姿勢を愛だと勘違いします。しかしディットにとって医者として患者の不安を取り除くための行動でした。ディットは、手術をしてくれた外科医夫妻と彼女を食事に誘い、その後彼女にアタックしますが、彼女にとって興味の対象外でした。フラれても、離婚寸前のミシェルにとって彼女は本当に恋しいと思える女性でした。6年ぶりの再会に、陪審員室でも動揺を隠せないミシェル。裁判中は粛々と「10年判事」と呼ばれるほど厳しく冷酷な裁判長を務めます。しかし休憩中にディットにメモを送り後で会いたいとアタックを開始します。閉廷後もミッシェルが気になって仕方ありませんでした。しかし閉廷後、ヘディットは陪審員たちと裁判について意見を交わしていました。
裁判2日目、ミシェルは被告の妻をはじめ周囲の人々の供述を聞きます。しかし終始挙動不審です。その他の人々の供述もどこか説得力に欠けます。ミシェルは前日に引き続き、ディットを誘い、閉廷後カフェで2人は落ち合います。裁判中に裁判長と陪審員がカフェで個人的に会うことははばかれることですが、それでもミシェルはディットに振り向いてもらいたい一心で口説きます。しかしディットは「間者に優しくすることは悪いこと?」と微笑みながらやんわり断ります。それでも二人の会話は盛り上がります。裁判中の厳格さはどこへやら、あの手この手で口説いてくるミシェルの姿が面白くてつい笑みがこぼれてしまうほどでした。裁判後、ミシェルは勤務先の病院に戻りますが、そこでも患者の不安を取り除くため、手を握り真摯に向き合っていました。
アムール、愛の法廷のネタバレあらすじ:転
裁判は3日目を迎え、難航の兆しを見せます。取り調べた警察官の証言が食い違っており、被告の若い父親はかたくなに、無罪を主張します。証言の信憑性が取れないまま、どの証言も疑わしく思えてきます。陪審員たちの論議もなかなか結論がつきません。真実が見えなくなっていった。そんな中、ラシーヌは裁判長として答えを導くため陪審員達へ「正義の目的は、真実の追及ではない」と助言をします。人は理性だけで割り切れるのではないと語るその姿は、被告の気持ちを汲み取ろうと歩み寄る寛大さにあふれていました。ディットとの再会を経て、彼自身も人の気持ちに歩み寄ろうと確実に変化していたのです。閉廷後、ミッシェルはいつものようにディットとカフェで落ち合います。そこには高校生になるディットの娘・アンが共に来ていました。動揺を隠せないミシェルですが、アンとも気が合い、3人で和気あいあいと盛り上がります。ミッシェルは自分の気持ちばかり押し付けてきたのではないかとためらいを覚えながらもそれでもディットと過ごすと楽しい時間が流れます。ディットも法廷での厳格な横顔とカフェで話し合うミシェルのギャップに惹かれ、ミシェルの手を握りながら彼の話を真摯に聞いていました。
アムール、愛の法廷の結末
裁判最終日、被告の判決を言い渡す時が来ました。陪審員とミシェルの判断は無罪。「疑わしきは被告人の利益に」という法の原則に基づいた判決でした。父親の無罪を宣言し、直ちに釈放するよう命じて閉廷します。その後、彼は次の裁判に臨んでいました。裁判開始前、次の陪審員候補としてディットは再び裁判所に現れますが、陪審員の候補から洩れてしまいます。しかし、ディットは傍聴人として裁判室に戻り、笑顔でミシェルを見つめながら裁判を傍聴していました。ミシェルも粛々と裁判を進めながら、ディットを見つめ返すのでした。
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