城砦の紹介:1938年イギリス映画。高い理想をもって医師となったアンドリュー・マンソンは、同業者の事なかれ主義の前に挫折し、生活のためにもうけ主義の医師たちの一人となってしまった。しかし、友人の死をきっかけに「目に見えぬ城砦」を奪い取る戦いに再び挑む。MGM配給のイギリス映画。
監督:キング・ヴィダー 出演者:ロバート・ドーナット(アンドリュー・マンソン)、ロザリンド・ラッセル(クリスティン)、ラルフ・リチャードソン(フィリップ・デニー)、レックス・ハリソン(フレデリック・ローフォード)、エムリン・ウィリアムズ(オーウェン)、ほか
映画「城砦」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「城砦」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「城砦」解説
この解説記事には映画「城砦」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
城砦のネタバレあらすじ:起・新任の代診医師
医師の資格を取ったばかりのスコットランド出身の若い医師、アンドリュー・マンソンは汽車で初めての就職先に向かった。車窓にはウェールズの炭鉱町の風景が広がっていた。彼の仕事は病身のページ医師の診療所での代診だった。激務で前任者は十日でやめたという。着任早々往診に出かける。帰宅すると彼同様に若い代診医師であるデニーの歓迎を受け、彼のアドバイスで最初の患者が腸チフスと気づく。アンドリューはデニーからこの地方の医者たちや行政の怠慢について教わる。
アンドリューは難産の女性を診察に行く。男の子が産まれたが泣き声がない。一度は死産だとあきらめたが、アンドリューは思い直して赤ん坊を蘇生させる。これで自分もちゃんとした医者になったと自信をもつが、彼が救うべき病人はまだたくさんいた。
アンドリューはデニーを助けて、一帯の腸チフスの病原菌の源である下水管をダイナマイトで夜中にこっそり破壊して新しい下水管に換えざるを得なくする。これらの活躍により、彼女がはしかの児童の弟を教室に預かったことでアンドリューと諍いをおこしたことがある小学校教師クリスティン・バーロウも彼を見直すことになる。しかし、吝嗇なページ夫人の侮辱に耐え兼ね診療所をやめることにする。
城砦のネタバレあらすじ:承・炭鉱の職業病
アンドリューはアベラロー炭鉱の鉱夫たちが加入するアベラロー医療共済組合の面接を受けて合格する。ただし、妻帯者であることが採用の条件だった。間もなく結婚すると言ってしまったアンドリューはクリスティンにプロポーズして成功。共済組合の用意する大きな家に二人で引っ越す。
組合の診療所の一つに勤務し始めるや否や落盤事故の危険な現場から負傷者を救い出す。新しい職場の問題は、有力組合員に就業不能の偽診断書を作ることが慣例化されていることや、原因不明の肺炎が流行していることだった。しかし大病院にいる上司は肺炎の精密検査を拒否する。アンドリューはデニーにプレゼントされた顕微鏡とクリスティンの助けを頼りに家を研究室にして肺炎と炭鉱労働の関係を探る。
しかし、アンドリューの研究について、かわいそうなモルモットをつかって邪悪な実験が行われているという噂が立つ。共済組合の書記オーウェンは研究を支持するが、診療所の診療券を引き上げる組合員が相次ぐ。とうとうアンドリューが診療所にいるうちに組合員たちが研究室を破壊する。研究について上司と組合員の支持を得られないことからアンドリューは辞職する。
城砦のネタバレあらすじ:転・ロンドンへ
ロンドンに出て診療所を構えたが来るのは借金取りだけ。今日も診療所の近くのイタリア料理店の女主人の紹介でピアスの穴を開けてもらいに女性が一人来ただけである。しかしロンドンに出て一年のお祝いをするためにイタリア料理店にアンドリューとクリスティンはランチをしに行く。そこへ百貨店の店員が急病の客を診てほしいと呼びにくる。大富豪であるわがまま娘がヒステリーを演じたにすぎなかったが、彼女の姉の頼みで娘のアパートまで送ることになる。その帰りにアンドリューはエレベーターで旧友のフレデリック・ローフォードと再会する。
フレデリックのコネで、アンドリューは金持ち相手に必要のない医療行為をしてもうける一群の医師たちの一人になる。新しい設備のいい診療所をもち、金持ちとの社交を楽しむようになる。
城砦の結末:デニーの遺志を継ぐ
デニーが突然訪ねてくる。彼は世界各地で医者として働いてきた。アンドリューとクリスティンは初めて買ったばかりの自動車で、昔なじみのイタリア料理店に旧友を連れて行く。しかし、少額の料金で高度の医療を提供する新しい病院のアイデアにアンドリューが関心をもたないことにデニーは失望する。
アンドリューとクリスティンはピクニックをする。クリスティンは、自分たちは精神的には貧しくなっているのではと夫に言う。二人が帰ると酔っぱらったデニーがいた。堕落したアンドリューにケチをつけて出ていくが、すぐに自動車に轢かれてしまう。アンドリューは直ちに知り合いの外科医の元で手術させるが、助手としてずさんな手術で親友が殺されるのを見てしまう。
アンドリューは夜の街をさまよう。本当に医療を必要とする貧しい人たちを目にする。そして医者が自分の天職であるという自覚を取り戻す。
重病だと聞いていたイタリア料理店店主の娘を病院からロンドン近郊にあるアメリカ人、スティルマンの先進的治療の受けられる診療所に移す。手術が成功し娘は回復し元気になる。しかし、生物学者のスティルマンは肺結核の権威であっても医師の資格をもたないので、アンドリューが彼の手術を手伝ったことが問題になる。
イギリス医療組合で関係者を集めてヒアリングが開かれる。偽医者と仕事をしたアンドリューの医師資格を奪うべしと主張される。アンドリューはパスツールら著名な医学者が医師の資格をもたなかったことを指摘し、偏見と闘って科学に貢献してきたスティルマンを称える。そして患者の利益のために行動するという、医師が人類に対して果たすべき責任を訴えて、妻の手を取って退場する。
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