私の、息子の紹介:2013年ルーマニア映画。気の弱い中年の息子に過剰な執着を見せる母親。息子が交通事故を起こしたことから二人の関係性に変化が生まれていきます。歪んだ親子関係に鋭く斬り込んだ人間ドラマとして高く評価され、2013年のベルリン国際映画祭で金熊賞と国際映画批評家連盟賞を受賞しました。
監督:カリン・ペーター・ネッツアー 出演者:ルミニツァ・ゲオルギウ(コルネリア)、ボグダン・ドゥミトラケ(バルブ)、イリンカ・ゴヤ(カルメン)、ナターシャ・ラーブ(オレガ・チェルケス)、フロリン・ザムフィレスク(アウレリアン・ファガラシァヌ)
映画「私の、息子」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「私の、息子」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
私の、息子の予告編 動画
映画「私の、息子」解説
この解説記事には映画「私の、息子」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
私の、息子のネタバレあらすじ:起
資産家夫人のコルネリアは妹のオレガに一人息子のバルブへの不満を漏らしています。すっかり家に寄り付かなくなった息子の薄情さを嘆く母。バルブが変わってしまったのは恋人でシングルマザーのカルメンのせいだと思い込んでいます。ある日コルネリアがオペラを鑑賞しているところへオレガがやってきて、バルブが交通事故を起こしたことを知らせます。バルブは道に飛びだしてきた少年を引き殺してしまったのです。オレガの車で警察署へと向かったコルネリアでしたが、待っていたのは被害者の叔父からの厳しい追及でした。バルブは速度制限110キロの高速道路を140キロを出して前の車を追い越そうとしたと陳述書に書きますが、コルネリアは時速110キロに書き替えるよう息子に迫ります。可愛い息子を守ることに必死な母親は、被害者の家族を気にかける余裕さえ持ち合わせてはいないのでした。警察の立ち会いのもとバルブの血液検査が行われます。家へ戻ると、バルブは事故を起こした際に村人達から激しい暴行を受けたことを告白します。コルネリアは息子の身体のマッサージをしてあげたりと何かと世話を焼きます。
私の、息子のネタバレあらすじ:承
コルネリアと夫のアウレリアンはどんな手段を使っても、不起訴に持ち込みたいと考えています。経済的に困窮している被害者家族のために、葬儀の費用を負担することにします。コルネリアはバルブが追い越した車の運転手に会いに行くと家族に話します。不起訴に持ち込むために、金銭を支払って陳述書の内容を変更してもらおうと考えているのです。バルブはなんでも金で解決しようとする両親のやり方に不快感を露わにします。コルネリアは皆で被害者の葬儀に出席し哀悼の意を示すべきだと主張しますが、バルブは押しつけがましい母に反発し、家を飛び出していくのでした。コルネリアは息子への行き過ぎた干渉をアウレリアンから注意されますが、悪いのはバルブを唆したカルメンであり、バルブを甘やかして育てた夫にも責任があると思っているのでした。その後もバルブの様子が気になり、家へ押しかけますが、ドアを開けてももらえません。コルネリアは一人で運転手に会いに行きますが、陳述書を書き換えるためには8万ユーロが必要だと告げられます。そんな大金は支払えないと突っぱねたものの、計算高い運転手にはしっかりと足元を見られているのでした。
私の、息子のネタバレあらすじ:転
バルブの留守中に部屋を訪ねたコルネリアは、息子をを助けるためカルメンに協力を求めます。しかしカルメンはバルブと別れることを決意したと告げます。理由を尋ねると、バルブの思わぬ一面が明らかになっていきます。カルメンはバルブとの間に子供を作ってもよいと思っていましたが、彼は明らかに子供を作ることに臆病になっていました。ある時避妊具の使用に失敗したことから、バルブが性行為すら避けるようになったと告白します。コルネリアは息子が精神的な問題を抱えていることを初めて実感するのでした。母との関係を見直し、人生をやり直したいバルブは、今後は自分から電話するまで連絡をしないでほしいと母に告げます。それは息子を心の拠り所にしてきたコルネリアにとってあまりにも過酷な提案でした。しかしバルブの決意は固く、コルネリアは現実を受け入れざるを得ないのでした。
私の、息子の結末
コルネリアはバルブとカルメンを連れて、被害者の家を訪問します。バルブに玄関まで一緒に来て欲しいと頼みますが、被害者家族からの追及を恐れるバルブは車から降りようとしません。カルメンとともに部屋の中へ通されたコルネリアは、悲しみに暮れる家族の姿を目の当たりにします。被害者の父はバルブが事故を起こした際に車から降りもしなかったことを責め、罪を償うべきだと主張します。コルネリアは息子を許して欲しいと涙ながらに訴えます。かけがえのない息子を失った家族の悲しみを痛感したコルネリアは、残された家族のために使ってほしいと見舞金を置いていきます。コルネリアが車に戻ると、バルブは車から降りて被害者の父の元へ歩み寄ります。バルブが言葉をかけられず佇んでいると、被害者の父のほうから手を差し伸べられます。二人は涙をこらえながら固い握手を交わし、その様子を見ていたコルネリアも涙が止まらなくなってしまうのでした。
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