ピナ・バウシュ 夢の教室の紹介:2010年ドイツ映画。様々境遇の若者たちを集めピナ・バウシュの作品「コンタクトホーフ」が作り上げられるダンスの練習の中で若者たちはどう花開くのか。
監督:アン・リンセル 出演:ピナ・バウシュ 、ベネディクト・ビリエ、ジョセフィーヌ・アン・エンディコット、ほか
映画「ピナ・バウシュ 夢の教室」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ピナ・バウシュ 夢の教室」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ピナ・バウシュ 夢の教室の予告編 動画
映画「ピナ・バウシュ 夢の教室」解説
この解説記事には映画「ピナ・バウシュ 夢の教室」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ピナ・バウシュ 夢の教室のネタバレあらすじ:起・集まった若者たち
ダンス未経験者も含む若者たちを集めての、ピナ・バウシュの作品の一つ「コンタクトホーフ」のワークショップが始まった。集まった理由は様々で、自分のためにダンスで何かを証明したい女の子、リトルダンサーを観て憧れた男の子たち、芝居が好きならと勧められた男の子などが、毎週土曜日ダンスの練習に集まった。 教わる側も、教える側も手探りだったけれど、指導者のひとりはこの作品の初演で大切な役を踊ってから10年この作品に関わっており、いつも新しい発見のあるこの作品を、若者たちに受け継いでほしいと思っていた。 この作品は人間同士の関りがテーマ。若者たちの中には、ピナの作品はダンサーへの質問で出来ていて難しく、あまり好きではないと零す者もいた。実際、ピナの作品はダンサーへ質問とその答えで出来ていて、それ故に嘘はすぐにわかった。 初めはどんな人に教わるのか不安だった若者たちも、始めると皆真剣に取り組んだ。
ピナ・バウシュ 夢の教室のネタバレあらすじ:承・オーディションのよう
ダンスに対して男女が身体を近づけるから抵抗感があり、男女のシーンは後から連取することにした。それでも、近づくシーンでは触れられることに慣れておらず、照れがあった。思春期の彼らにとって、愛は恋に落ちたと思えばいいと言う子もいれば、両親の間にある感情だという子、恋人の話をする子、また愛とは何かと問答する子もいた。 拒む子がいる時は、練習を中断し、その場に任せる事もあった。教える側のベネディクトとジョーは、自分達が同じ演目を踊った時の映像を彼らに見せる事もあった。 劇場でのリハーサルにピナがやって来て、誰がメインを踊るのか決める時がやって来た。そして人数の関係で全員舞台に立てるわけでもなく、ダンサーを選らぶ稽古が始まった。いつも通り楽しくと声をかけるピナは、オーディションのような光景に、昔自分がオペラ座でオーディションを受けた時にこの演目が生まれたのだと話した。 全員が合格し、日によってメンバーを変えて踊る事にした。ピナは若者たちに気負わず、そのままの自分を表現するようにとアドバイスをした。 身体の動きや、視線、表情などの指導をするピナに、動きが意外で覚えられない、僕たちには意味がわからないと言い出す者もいた。こうして本当の意味で作品作りが始まった。
ピナ・バウシュ 夢の教室のネタバレあらすじ:転・ダンスがつなげた縁
ボスニア生まれのムスリムの男の子は、ピナのダンスには女性的な所も男性的な所もあり、今まで縁がない人と知り合うことができ、先入観が消えたと語る。土曜日に練習する生活はメンバーと仲が深まって行った。 メインのドレスを着て踊るジョイ。自分の演じるのがどんな役か尋ねると、悲しみを隠そうと、自分はすごいと言い聞かせている役だと言った。またヒステリックで攻撃的な役を担う女の子は自分と似ていると言った。彼女の肉親ははセルビアとコソボの紛争で無残な死に方をしており、争いで命を落とす事で生まれる憎しみを知っていた。 彼らは稽古で完璧でなくとも自分の役を掴んでいる事に、ベネディクトやジョーは感動していた。これは10代のための「コンタクトホーフ」で大人とは全く違うストーリー、愛や絶望、人生への疑問など、若者ならではの要素が含まれた。 ジョイの父親はガス爆発で亡くなり以来家族はバラバラ、今でも彼女は父親を思っていた。
ピナ・バウシュ 夢の教室の結末:開幕までもう少し
新しく取り組み始めてからまだ通し稽古にをできず、最後から四分の一が完成しないまま、開幕の日は迫って来ていた。 ピナは劇場へ入り、ジョイを始めメインの五人を選び、初日の舞台を踏む子を選んだ。ピナは劇場へ。衣装合わせにこぎつけたが、一年前は余裕だったのに、開幕まであと二日だった。緊張している子もいれば、緊張していない子、自分で集中を高めている子もいた。 舞台で衣装を着ての練習が始まり、最後のダメ出しとアドバイスが彼らに送られた。 ピナは緊張しているけど、見んなを信頼している、皆頑張った。ミスはいい、努力が大事。子供たちの作品への愛に感動したと話した。 このワークショップで、シャイだった子はオープンになり、話すのが楽になった子や人見知りが治った子もいた。 開演し、舞台上の若者たちはあそれぞれ役に没頭していった。そして拍手喝采で初日を終えた。ピナ・バウシュに捧ぐ。
以上、ピナ・バウシュ 夢の教室のあらすじと結末でした。
ピナ・バウシュ 夢の教室のレビュー・感想:若者を変えるダンス。
ピナ・バウシュが作り出したダンスと舞台を融合させたダンステアター。このドキュメンタリーが作られたのは、ピナの最晩年。映画として出来上がったのは、没年の翌年。それでも彼女が実際に稽古をつけ教えた若者たちの中には彼女の教えが残っているに違いない。作品と共に、ピナという偉大な振付家の精神が若者へ受け継がれたと思えてならない。
この映画の感想を投稿する