月の出の脱走の紹介:1957年アイルランド映画。4度のアカデミー賞監督賞に輝くジョン・フォードは祖先の地であるアイルランドをこよなく愛していた。アイルランドの映画製作を促進するために、アイルランドの物語をアイルランド人の俳優を使い全てアイルランドで撮影したオムニバス映画。
監督:ジョン・フォード 出演:タイロン・パワー(各話の紹介役)、シリル・キューザック(ディロン警部)、ノエル・パーセル(ダン・オフラハティ)、ジミー・オディア(パディ)、デニス・オディア(マイケル・オハラ)、ショーン・カラン(ドナル・ドネリー)ほか
映画「月の出の脱走」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「月の出の脱走」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「月の出の脱走」解説
この解説記事には映画「月の出の脱走」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
月の出の脱走のネタバレあらすじ:第1話「法は何にも勝る」(フランク・オコナーの短編より)
バリナローの警察署からディロン警部が逮捕状をもって気の重い仕事に出かける。田舎道をはるばる徒歩で。小舟で川を渡って古い塔のある村の、旧知のダン・オフラハティ老人を訪れる。昔気質の老人に大歓迎され密造酒をふるまわれる。しかし老人は警部の用件を察していた。オフラハティは彼をウソつき呼ばわりしたオフィニーにけがをさせて病院送りにしたが、自分に非があるとは思わないので罰金を払うことを拒否していた。村人がやってきて罰金を立て替えると言っても承知しない。警部はオフラハティと相談して金曜日に逮捕することを決めて帰る。
金曜日。オフラハティが警察署へ出頭するために村を出ようとしているところに自動車で病院からオフィニーがやってきて罰金の支払いを申し出るがそれも拒否する。警察署に歩きついたオフラハティと、ディロンは肩を組んで歩く。
月の出の脱走のネタバレあらすじ:第2話「1分間の停車」(マーティン・マクヒューのコメディより)
田舎の駅に列車が停まる。停車時間はたった1分だが多くの乗客がビールを求めて食堂に殺到する。1分後乗客は再び列車に乗る。ところが駅員のパディがヤギを乗せなければならないことを思い出し、駅長はさらに1分停車することを告げる。1分後、食堂のミス・マロリーを相手に怪談をしていたオブライアン機関士も持ち場に戻って汽車が出発しようという時に主教夫婦の金婚式の夕食会の食材のロブスターをもってきた女性が現れ停車時間はさらに1分間追加される。そして1分後、食堂に電話がかかる。ハーリングの選手たちを乗せたバスが故障したので選手たちを汽車に乗せなければならなくなる。再び停車時間が1分延びる。バグパイプを演奏する応援団と共に選手たちが到着して駅は優勝祝賀会状態に。ハーリングの一行を乗せる車両を増結するためにさらに1分停車時間が延びる。ついに汽車が走り出した時、乗客から若いカップルが誕生し、パディは食堂のミス・マロリーにプロポーズしていた。だが、パディがお茶を飲める場所に連れて行った今日が結婚記念日のイギリス人夫婦は駅に置き去りにされてしまった。
月の出の脱走のネタバレあらすじ:第3話「1921年」(グレゴリー夫人の戯曲「月の出」より)
アイルランド独立派組織の指揮官であるショーン・カランは刑務所で絞首刑の時を待っていた。刑務所の周りは愛国者のために祈る人たちが列をなしていた。群衆の交通整理をするマイケル・オハラ巡査部長に弁当をもってきた妻も夫の仕事にケチをつけてから祈りの人たちの列に加わる。
突然、付き添いの尼僧と共にショーンの姉と名乗る尼僧が現れる。5分間の面会が認められるが、5分後独房にいたのはショーン・カランと服を取り替えたアメリカのパスポートをもつ女。尼僧の姿でカランは脱走し、もう一人の尼僧(実は女優)と劇場に隠れた。
お尋ね者のカランをつかまえるための報奨金は500ポンドにつりあがり、街は厳重に警戒されている。ある夜、ジミー・ウォルシュと名乗ってバラッド歌手に化けたカランは海へ脱出しようとする。マイケル・オハラの警備する波止場にロバを連れて現れる。オハラと弁当をもってきた彼の妻に、古い愛国的な歌「月の出」はいかがと言うが、オハラは彼の下手くそな歌を怪しむ。しかし、偉そうに指図するイギリス軍人に応対し、妻と口げんかをしているうちに歌手はロバを残して小舟に乗ってしまう。小舟に向かって止まるように叫ぶうちにオハラはジミー・ウォルシュがショーン・カランであることに気づく。だが、オハラは彼を逃がす。500ポンドは惜しいが自分のしたことに納得する。若いころよく歌った「月の出」を思い出して妻と口ずさむ。
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