マンハッタンの哀愁の紹介:1965年フランス映画。ジョルジュ・シムノンの原作を映画化した大人のラブストーリーです。妻に浮気されたフランスの映画俳優と、嫉妬深い夫と離婚したフランス人女性がそれぞれの心の傷を抱えながらもニューヨーク・マンハッタンで再出発しようとする姿を描きます。
監督:マルセル・カルネ 出演者:アニー・ジラルド(ケイ)、モーリス・ロネ(フランソワ)、O・E・ハッセ(ブルビッチ)、ローラン・ルザッフル(ピエール)、ガブリエレ・フェルゼッティ(ラルジ伯爵)ほか
映画「マンハッタンの哀愁」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マンハッタンの哀愁」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「マンハッタンの哀愁」解説
この解説記事には映画「マンハッタンの哀愁」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マンハッタンの哀愁のネタバレあらすじ:起
ニューヨーク・マンハッタン。フランス人映画俳優のフランソワ(モーリス・ロネ)は妻が若い男に走ったことから心に深い傷を抱え、パリを離れてニューヨークで人生の再出発をしようとしていました。ある日の夜、マンハッタンの裏地にある酒場に行ったフランソワは、そこでフランス人女性のケイ(アニー・ジラルド)と知り合いました。二人は互いの名を名乗らぬまま境遇を語り合い、酒で淋しさを紛らわせていました。
ロシア人のピアニストを母にもつケイはイタリア人外交官のラルジ伯爵(ガブリエレ・フェルゼッティ)と結婚、今年で12歳になる娘をもうけましたが、夫の嫉妬深い性格に幻滅して離婚、今ではルームメイトのジェシーとその交際相手でパイロットのピエール(ローラン・ルザッフル)とこのニューヨークで共同生活を送っているのだというのです。しかし、ジェシーは他に男をつくり、アパートの鍵を持ったままのピエールも仕事でいつ帰るかわからないというので、ケイとフランソワは酒場を出て安いホテルに泊まり、互いの心の傷を慰め合うかのように愛し合いました。
マンハッタンの哀愁のネタバレあらすじ:承
ケイとフランソワは夜になってホテルを出て、ケイのアパートに向かうもピエールはまだ戻っていなかったので仕方なしに二人はまた酒を飲み、ホテルに戻っていきました。一夜明け、二人はセントラルパークを散歩しながら語り合いましたが、その時はまだ二人とも心の奥底深くまでさらけ出し合うまでには至りませんでした。この日も二人は酒を飲み、フランソワのアパートで二人は愛し合いました。
翌朝、テレビ局の人間に会いにいくと言うフランソワに、ケイはフランソワが出演していた映画をローマで見たことを明かし、留守の間に部屋を掃除してあげるから早く行きなさいと促しました。フランソワはパリでは成功していたもののハリウッドでは失敗したことを打ち明け、ようやく二人は互いの孤独を語り始めました。
フランソワはテレビ局でプロデューサーのブルビッチ(O・E・ハッセ)と仕事の打ち合わせをしていました。フランソワはケイのためにと女性の仕事はないか掛け合ってみたものの何の仕事もないとのことで、フランソワはブルビッチからラルジ伯爵のことを聞き、伯爵の夫人(ケイ)はジゴロと駆け落ちしたということを知らされました。
マンハッタンの哀愁のネタバレあらすじ:転
その頃、仕事から戻ったピエールはジェシーの裏切りを知ってショックを受け、酒場でヤケ酒をあおっていたところにケイがやってきました。その場にたまたまフランソワも現れ、ケイとピエールが一緒にいるところを目の当たりにして飛び出してしまいました。その後、アパートに戻ったフランソワはケイと口論となりましたが、誤解が解けたフランソワはケイに謝罪しました。その後、ピエールは傷心を癒すために南米へと旅立ち、ケイはフランソワのアパートで新たな生活をスタートしました。そんな矢先、メキシコに赴任しているラルジ伯爵から娘が急病にかかったとの電報を受け取ったケイは、フランソワに戻ると告げてメキシコへと旅立ちました。幸いにも娘は手術が成功して一命をとりとめ、久しぶりに再会したラルジ伯爵は嫉妬深かった以前とは変わってすっかり優しくなっていましたが、ケイの心は既にニューヨークとフランソワにありました。
マンハッタンの哀愁の結末
一方、ニューヨークに残ったフランソワはもうケイは戻ってこないのではないかという不安に駆られ、寂しさを紛らわすためにテレビ映画で共演した若手女優と一夜を共にしてしまいます。その時、フランソワにメキシコのケイから電話があり、明日には戻ると伝えてきました。ケイは何度も電話をかけたといい、女優と一緒にいることを悟られたくないフランソワはテレビの仕事があったと言い訳しました。
翌日、ケイはニューヨークに戻ってきました。フランソワはケイに昨日のことを弁明、部屋を出ていったケイを追いかけて「行かないでくれ。やっと君に追いついたんだ。昨日から僕たちは一緒なんだ」と追いすがりました。それからフランソワとケイはマンハッタンを歩き、もう二人は孤独ではないことを確かめ合っていました。
ちょっと複雑なストーリーで一度見たぐらいではふたりの過去がよくわからなかったのですが、この解説で理解できました。この映画の原題は「マンハッタンの三つの部屋」ぐらいの意味でしょうか。主人公フラソワのアパート、ケイが締め出された部屋、それからふたりが二夜をすごした安ホテル。高層ビルの華やかさとくらべてつましい三つの部屋の対照も面白かったですね。それから、安酒場、レストラン、ジャズバーなどNYの雰囲気が漂っていました。見どころたくさんの映画でしたね。