ジョイ・ラック・クラブの紹介:1993年アメリカ映画。エイミー・タンの同名ベストセラー小説を映画化したヒューマンドラマです。20世紀前半から中盤のアメリカ・サンフランシスコを舞台に、中国からの移民として苦難の人生を歩んできた4人の母親と、アメリカ人として生まれ育った4人の娘たちの葛藤そして心の絆を描いた群像劇です。
監督:ウェイン・ワン 出演者:ミンナ・ウェン(ジューン)、タムリン・トミタ(ウェヴァリー)、ローレン・トム(レナ)、ロザリンド・チャオ(ローズ)、キュウ・チン(スーユアン)、ツァイ・チン(リンド)、フランス・ニュイエン(インイン)、リサ・ルー(アンメイ)ほか
映画「ジョイ・ラック・クラブ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジョイ・ラック・クラブ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジョイ・ラック・クラブの予告編 動画
映画「ジョイ・ラック・クラブ」解説
この解説記事には映画「ジョイ・ラック・クラブ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジョイ・ラック・クラブのネタバレあらすじ:起
1987年、アメリカ・サンフランシスコ。中国から移民としてこの街にやってきた1910年代生まれの同世代の4人の女性、スーユアン(キュウ・チン)、リンド(ツァイ・チン)、アンメイ(リサ・ルー)、インイン(フランス・ニューエン)は“ジョイ・ラック・クラブ”という会合を開いて交流を持っていました。この地で家庭を持ち、それぞれ年頃の娘がいる4人は麻雀に興じ、食事を共にしたり自らの過去について語り合ったりと時を過ごしていました。しかし、物語の2ヶ月前にスーユアンは亡くなり、代わってスーユアンの娘ジューン(ミンナ・ウェン)がジョイ・ラック・クラブに加わって母の友人たちと交流していました。ある日、ジューンはリンドの口から、スーユアンが中国に残してきた双子の姉がいることを知らされました。スーユアンは日中戦争の混乱の最中、まだ幼い双子を祖国・中国の路上に置き去りにしてきてしまい。サンフランシスコに逃れてからもスーユアンはずっと双子の身を案じていたのだというのです。これまでスーユアンに反発して生きてきたジューンは自らの行いを恥じ、いつか中国に渡ってまだ見ぬ姉たちに会い、母の辿って来た過酷な人生を伝えねばとの思いを強くしました。
ジョイ・ラック・クラブのネタバレあらすじ:承
スーユアンと同じように、リンドやアンメイ、インインもまたそれぞれ中国で過酷な人生を歩んできていました。リンド(イレーヌ・ナグ)は16歳の時、親の勝手な取り決めによりまだ顔すら見たこともない裕福な家庭の御曹司ティエン・ユー(ウィリアム・ゴング)と結婚させられました。リンドより年下のティエンは彼女への愛情も関心もなく、ティエンの母は子供ができないことの責任をリンドに押し付けて辛くあたってきました。リンドはこの家の召使の女性が妊娠していることを知り、この子がティエンの子だと主張して何とか離婚することに成功しました。その後、リンドは上海で出逢った現在の夫と共に渡米、二人の間には娘のウェヴァリー(タムリン・トミタ)が産まれました。ウェヴァリーは一時期チェスにのめり込み、チェスのチャンピオンにまで上り詰めましたが、今では引退して税理士となり、白人男性リッチ(クリストファー・リッチ)との結婚を考えていました。リンドとリッチは双方の祖国の習慣やマナーになかなか馴染むのに苦心しましたが、やがてリンドはリッチをウェヴァリーの結婚相手として認めました。
ジョイ・ラック・クラブのネタバレあらすじ:転
インインは中国に居た頃、叔母の知人だったリン・シャオ(ラッセル・ウォン)と結婚しましたが、夫はこともあろうかオペラ歌手との不倫に走って家を出ていき、精神不安定に陥ったインインは放心状態のままシャオとの間に生まれた幼い我が子を浴槽に沈めて殺害してしまうという過去を持っていました。その後、上海の従兄弟のもとを頼ったインインはアメリカ人のセント・クレアと再婚して渡米、やがて娘のリーナ(ローレン・トム)が誕生しました。インインの心の傷が癒えた頃、リーナは建築士のハロルド(マイケル・ポール・チャン)と結婚しましたが、ハロルドはリーナへの愛がなく、事細かく金銭面に口出ししていました。インインはリーナに自分と同じ苦しみを背負おうとしているのを見かね、彼女に自分の辛い過去を打ち明けました。リーナは意を決してハロルドにこれまでの気持ちを伝え、離婚して自分を本当に愛してくれる男性と再婚することを決意しました。
ジョイ・ラック・クラブの結末
アンメイ(イー・ディン)は幼い頃に父を亡くし、母に関する記憶もありませんでした。祖父や叔父はなぜか母のことを快く思っていませんでした。そんなある日、アンメイの前に母(ヴィヴィアン・ウー)が舞い戻ってきました。母は裕福な中年男に乱暴されており、その男には3人の妻がいたことから、アンメイは男の第4夫人となった母に引き取られ、母の抱える深い苦しみを目の当たりにしました。やがて母は自殺してしまい、アンメイは母の分まで強く生きようと誓いました。時が流れ、アメリカに渡ったアンメイは娘のローズ(ロザリンド・チャオ)をもうけました。ローズは裕福な白人男性のテッド(アンドリュー・マッカーシー)と結婚し、二人の間には娘が誕生しましたが、やがてローズはテッドとすれ違うようになり、テッドはローズに離婚話を切り出てきました。アンメイはローズを「欲しいものを手に入れるには闘うのよ」と励まし、勇気をもらったローズはテッドとの離婚を回避し、再び夫婦の絆を取り戻しました。
そんなある日、スーユアンは中国に残してきた双子の姉たちが生きていることがわかりました。ジョイ・ラック・クラブのみんなから背中を押されたジューンは母の祖国・中国へと飛び、姉たちと対面を果たすと力強く抱きしめ合いました。
見終わると、長い長い小説を読み終えたような感覚になりました。中国からアメリカに移民した4組の母と娘の物語です。中国で育ちそれぞれの事情でアメリカに渡った4人の母親の物語はどれも痛みや悲しみを抱えていて、だからこそアメリカで育った娘への愛情が痛いくらいに強いのが伝わってきます。また、アメリカで育った娘たちが母親と反発したり分かり合ったりする姿も感動的で色々と考えさせられますし、様々な人生を歩む人の姿に勇気をもらえます。自分の年齢によっても感じるものが変わるので、時間をおいて再度鑑賞したいと思える作品でした。