クライムダウンの紹介:2011年アメリカ映画。「もう山には登れない」というキャッチコピーで、山中で発見したある少女の救出を契機に予想外の事態に巻き込まれていく5人の登山家の運命を描いたサスペンス・スリラー映画です。ダイナミックな山岳地帯の迫力ある映像も見どころの一つのです。
監督:ジュリアン・ギルビー 出演:メリッサ・ジョージ(アリソン)、エド・スペリーアス(エド)、イーモン・ウォーカー(アンディ)、ショーン・ハリス(キッド)、アレック・ニューマン(ロブ)、ホリー・ボイド(アナ)、ほか
映画「クライムダウン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クライムダウン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
クライムダウンの予告編 動画
映画「クライムダウン」解説
この解説記事には映画「クライムダウン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クライムダウンのネタバレあらすじ:1.登山
スコットランドの美しくも切り立った山の絶壁を、アリソン、ロブ、エドの3人の登山家たちが機材を取り付けながら登っていました。そこに一羽のイヌワシが優雅に飛んできました。アリソンはエドにせがまれカメラを手にしました。その時、完全に油断していたエドが、足元のザイルに足を取られて、落ちてしまいました。彼とザイルで繋がれていたアリソンも共に落ちてしまいました。高所の絶壁に二人は宙づり状態となりました。
冷静沈着なアリソンは態勢を維持し大丈夫でしたが、エドは逆さま状態になり、起き上がることができない状態でした。パニック状態になり必死に助けを求めるエドに、アリソンは声をかけて落ち着かせました。先に登っていたベテランのロブが、急ぎ、二人のもとに下りて来て、エドは助かりました。登山では一瞬の油断が死に繋がります。アリソンはまだ経験が浅くて若いエドに、決して油断をしないようにと注意しました。
クライムダウンのネタバレあらすじ:2.謎の女の子
その日、アリソンたち3人は、旧知の登山家仲間のジェリーとアレックスがいる山小屋に泊まりました。5人はポーカーを楽しんだりしました。アリソンは部屋に飾られていた一枚の美しい山の写真を目にしました。その山は切り立った絶壁の頂上から地に落ちるまで約30秒で、これまで70人もの登山家たちの命を奪った「アイガー」と呼ばれる山でした。「来年こそあそこに登ろう」と言うロブに、アリソンは「北壁からアタックしましょう」と答えました。外の風は次第に強くなっていました。天気予報図で事前に天気を調べていたロブは、明日になれば風も弱くなるだろうと読んでいました。
しかし、翌朝、ロブの読みは外れました。頂上付近の風は時速65キロもあり、ロブはアタックルートを変更することにしました。難易度の高い西壁からのアタックは明日に廻し、今日は北尾根からアタックすることにしました。難易度的には中の下なので、ヘルメットやロックシューズなどは必要なく、身軽にして長めに歩くことにしました。
5人は目指す山頂に向かいました。その途中、5人は昼食を摂りました。魚嫌いのエドは我儘を言い、自分で持ってきたチョコを一口食べ、その後、トイレに行くと言い、林の中に離れて行きました。冗談を言ってみんなをからかっていたエドでしたが、そこで彼は不思議な音を耳にしました。その耳慣れない音に異変を感じたエドは、みんなを呼び寄せました。よく聴くと何か人の声のようでした。その音のする方向に行くと、地面から錆びた鉄製の管が出ていました。「まさか…これは空気穴だ」と言い、ロブは急いでスコップを取りに行きました。アリソンが恐る恐る「誰かいる?」と声をかけると、「お願い。助けて」という女の子の声が返ってきました。みんなは驚き、戸惑いました。
ロブとエドがスコップでそこを掘り返しました。掘り返していくと木の箱が出てきました。ロブとエドが蓋を開けました。するとなんとその箱の中に、一人の女の子がいました。その女の子は酷く怖がっていました。自身も子供がいるジェリーが優しく女の子を抱き上げました。その女の子はアナと言う名前でした。アナに「お家はどこ?」と尋ねると、「わかんない。なんかね…目が覚めたら真っ暗だったの」とアナは混乱しながら答えました。エドはクロアチアの元カノと雰囲気が似ているので、アナがクロアチア出身だと判断しました。
クライムダウンのネタバレあらすじ:3.悪魔の壁
アナが何者かによってこのような状況に置かれた事を悟った5人は、アナを救うために、一刻も速く助けを呼びに行かなければいけませんでした。電話は50キロ先の幹線道路まで行かなければダメでした。最も近い村までも25キロありました。しかし、「悪魔の壁」と呼ばれる切り立った絶壁を下りれば、6キロ半の最短距離で着くことができました。ただ、そんな所を幼いアナを連れて降りることはできません。ロブは考えました。ロブは経験豊富なアリソンと二人で、その「悪魔の壁」を下りて村に行き、警察に通報してレスキュー隊で残りのみんなを救出してもらうことにしました。
ロブはアリソンと走って「悪魔の壁」に向かいました。そして、アナを連れた3人は村までの通常ルートを降りて行きました。ロブとアリソンは「悪魔の壁」に到着しました。先にアリソンが下りて行きましたが、中継ポイントまであと少しの所でザイルが足りなくなりました。落ちれば死が待っています。アリソンは勇気を振り絞り、ザイルを外して何とか中継ポイントまで下りました。
次にロブが下りて行きました。しかし、ザイルが切れたのか、ロブがアリソンの横を落下していきました。ロブは地面に叩き落ちて、死んでしまいました。ベテランのロブにはありえないことでした。アリソンはパニック状態になりました。ロブがいないと、アリソンは下りることができませんでしたが、意を決し、ザイルなしで僅かな足場を見つけながら、自力で絶壁を下りて行くとこにしました。すると途中、石が落ちてきました。アリソンは落石に当たり、落ちてしまいましたが、幸運にも下の川に落ちて一命を取り留めました。アリソンは何とか川から這い上がりましたが、気絶してしまいました。
アリソンは自身が土中の木箱の中に閉じ込められている悪夢を見て、目が覚めました。傍らにはロブの亡骸が横たわっていました。悲しみながらもアリソンはザイルを確かめました。アリソンは驚きました。そのザイルの切り口は、人為的なものでした。あの絶壁の上に何者かがいたのでした。危機を感じたアリソンは、一刻も速く他のみんなに知らせようと急ぎました。アリソンは川を挟んで、エドたちと接触することに成功しました。アリソンは大声でエドたちに事情を伝えようとしましたが、激しい川の音で、互いの声は届きませんでした。アリソンはジェスチャーでロブが死亡したことを伝え、もう少し下流で合流しようと指示をしました。その時でした。アナの顔に血が飛び散ってきました。傍にいたジェニーが川に落ち、手を繋いでいたアナも川に落ちて流されていきました。
クライムダウンのネタバレあらすじ:4.謎の男たち
その少し前、2人の謎の男たち(キッドとマクレイ)が、エドたちを狙って狩りをしていた2人の男たちを殺し、ライフル銃を奪いました。彼らの狙いはアナを連れていたエドたちでした。アナと手を繋いでいたジェニーは、その男たちの手によって撃ち殺されたのでした。ジェニーとアナは川に激流に流されていきました。アリソン、エド、アレックスは2人を下流で助けようと必死で追いました。男たちは3人を狙って、撃ちますがなかなか当たりませんでした。しかし、遂にアリソンが撃たれて川に落ちました。
またもや幸運にも銃弾はアリソンのリュックに当たり、アリソンは無事でした。アリソンはリュックを捨て、川に潜りました。沈んでいたジェニーを確認すると、彼女は目を撃たれて死んでいました。驚きながらも、アリソンは必死で川底に沈んでいたアナを助け出しました。アリソンは祈りながらアナに人工呼吸をしました。アナは息を吹き返しました。すると銃声がしました。驚いた2人は岩壁を登って、必死で逃げました。2人の男たちは狙いを定めて撃ってきましたが、途中で弾切れして装填し直しました。その隙にアナは先に逃げ、岩陰に隠れました。アリソンも何とか逃げ、アレックスと落ち合いました。
岩陰に隠れたアナを見つけようと、2人の男たちが近づいて来ていました。そこにエドがそっとアナのもとにやって来ました。エドは隙をついて、アナを抱えて走って逃げようとしましたが、2人の男たちはそれに気づき撃ってきました。慌てて逃げたエドは斜面に足を取られて、転がり落ちてしまいました。アナは幸い無事でしたが、エドはそこで脚を負傷してしまいました。エドは何とかアナを連れて、隠れていたアリソンとアレックスと合流することに成功しました。しかし、エドはまともに走って逃げられませんでした。
愛するジェニーを殺されたアレックスは、一計を案じました。「奴らが手に入れたいのはアナだ」と言い、アレックスはアナの服を着せた物を抱き、囮となって逃げました。2人の男たちはアレックスを撃ち倒しました。アレックスは静かに息絶えました。2人の男たちは彼が囮で、アナが残りの2人と逃げたことに気づきました。キッドとマクレイたちは国際的な誘拐犯でした。2人にとっては人質であり、単なる金づるでした。
クライムダウンのネタバレあらすじ:5.決死の格闘
アリソンとエドは何とかアナを連れて、夕方、村まで逃げ込み、警察署に辿り着きました。アリソンたちは警官に「誘拐事件に遭って、3人殺されました」と話しました。警官は直ぐに都会の署の巡査に迎えに来るように電話で頼みました。しかし、多忙なのか折り返しの連絡がなかなか来ませんでした。エドはしびれを切らして署から出ようとしました。その時でした。誘拐犯の一人・マクレイが狙撃してきました。警官は撃たれましたが、何とかアリソンとエドはアナを連れて、裏口から脱出して逃げました。
その夜、村ではお祭りが開かれていました。既に人質アナの救出のため、アナの父親から依頼を受けた交渉人ダルコとイギリス出身の用心棒アンディとクリスが、金の受け渡しに来ていました。誘拐犯の一人・キッドが交渉に出て来ました。交渉人のダルコは頑として、娘アナの身柄の確認が取れなければ、600万ユーロという大金を渡さない、これはビジネスだと言い切りました。キッドはダルコとの交渉に手こずっていました。
署から逃げ出した3人は、誘拐犯マクレイの追跡から逃げていると、用心棒の一人クリスと出くわしました。クリスはエドを誘拐犯と思い、彼を撃ちました。そこにマクレイが現れ、クリスを銃撃し、次にエドに止めをさしました。瀕死の状態のクリスは無線で、人質アナが逃げていることを知らせました。
その無線を聞いたダルコは、キッドに攻撃を仕掛けました。銃の奪い合いになり、店にいた女性が撃たれ、店は大騒ぎになりました。ダルコから金を奪って逃げていくキッドを、もう一人の用心棒・アンディが追いましたが、祭りの喧騒の中で見失ってしまいました。
アリソンはアナを連れて民家の中に逃げ込みました。追ってきたマクレイは、その住人を撃ち殺し、アリソンたちを追い詰めてきました。マクレイとアリソンは家の中で格闘になりました。アリソンはマクレイに熱湯をかけて応戦し、アナを連れて2階へと逃げました。その時、家の一階は暖炉からの火が絨毯に飛び火して、火事になっていました。アリソンは再び追って来たマクレイに殴られて気絶しまいました。
ベッドの下に隠れていたアナを、マクレイは見つけ、連れて行こうとしました。その時、アリソンは目を覚ましました。アリソンはマクレイの背後から物で殴りつけ、体当たりしてマクレイを窓から突き落としました。マクレイは塀の上に落ち、背骨が折れて絶命しました。アリソンは燃えゆく家から、アナを無事に逃がすために彼女を窓から草が生い茂る所に投げ落としました。赤い炎を見ながら、アリソンは再び気絶してしまいました。アリソンは駆けつけた消防士によって、救出されました。
その頃、金を奪ったキッドは車で逃げようとしました。そこにアンディが追いかけてきました。金の入ったアタッシュケースには発信器が取り付けられていたのでした。アンディはキッドを車から引き釣り出し、殴り倒して気絶させました。
クライムダウンの結末
消防士によって救出されたアリソンと人質・アナが無事に救急車に乗る姿を、交渉人ダルコはその目で確認しました。ダルコとアンディは、依頼人であるアナの父親のもとへキッドを連れて行きました。アナの父親は戦争犯罪人とも言われた危ない男でした。キッドは命乞いをしましたが、アナの父親は聞き入れませんでした。誰も来ない森の中、アナの父親は部下たちにキッドを素っ裸にさせ、「道具を用意しろ」と命じました。そして、アナの父親はアンディに借りができたと言い、報酬は既に振込済みで、餞別代りに車を与えると言いました。アンディは与えられた車に乗って去って行きました。
その頃、救急車の中で、アナはアリソンに「ありがとう」と言って眠りました。アリソンは「よく聞こえなかった」と呟くと、近くにいた女性が「『ありがとう』って言ったの」とアリソンに教えました。その言葉を聞いたアリソンは、涙を流しました。
以上、映画「クライムダウン」のあらすじと結末でした。
クライムダウンは、最初の山登りのシーンからは想像もつかない展開でストーリーが進んでいきます。知らないで見ると、予想を次々と裏切ってくれて、ドキドキワクワクしながら観た映画の1本です。
被害者少女の父親が、悪役をやっつけるシーンは妙にほっとしました。