王様と私の紹介:1956年アメリカ映画。マーガレット・ランドンの小説『アンナとシャム王』を基に1951年にブロードウェイで初演されたロジャース&ハマースタインの『王様と私』を映画化したミュージカル作品です。1860年代のシャム(現・タイ王国)を舞台に、国王の王子・王女の家庭教師としてイギリスから招かれた女性の物語を描きます。第29回アカデミー賞にて9部門にノミネートされ、主演男優賞・美術賞・衣裳デザイン賞・作曲賞・録音賞の5部門で受賞しています。
監督:ウォルター・ラング 出演者:ユル・ブリンナー(国王ラーマ4世)、デボラ・カー(アンナ・レオノーウェンズ)、リタ・モレノ(タプティム)、レックス・トンプソン(ルイス・レオノーウェンズ)、マーティン・ベンソン(クララホム首相)、カルロス・リヴァス(ルンタ)、パトリック・アディアート(チュラロンコーン王子)、ユリコ(エリザ)、テリー・サンダース(チャン王妃)、アラン・モウブレイ(ジョン・ヘイ卿)、ジェフリー・トゥーン(エドワード・ラムゼイ卿)ほか
映画「王様と私(1956年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「王様と私(1956年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
王様と私の予告編 動画
映画「王様と私(1956年)」解説
この解説記事には映画「王様と私(1956年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
王様と私のネタバレあらすじ:起
1862年、タイ王国が“シャム”と呼ばれていた時代。英国・ウェールズから夫を亡くした女性教師アンナ・レオノーウェンズ(デボラ・カー)が息子ルイス(レックス・トンプソン)を連れて首都・バンコクに到着しました。アンナはシャム国王・ラーマ4世(ユル・ブリンナー)の沢山いる王子や王女らの家庭教師として招かれたのです。王の側近であるクララホム首相(マーティン・ベンソン)の出迎えを受けたアンナは、王宮の外に家を提供してもらう約束が反故にされ、王宮内に住まわされることになったことを知り、一旦はウェールズに戻ろうかとも考えましたが交渉のために王宮へ向かいました。
王宮では、王はアンナの意見を遮るかのようにチャン王妃(テリー・サンダース)やビルマ(現・ミャンマー)から貢物としてやってきたタプティム(リタ・モレノ)ら複数の妻たち、そしてアンナが教育することになる15人の王子・王女を紹介してきました。王には長男で後継者のチュラロンコーン王子(パトリック・アディアート)以下67人もの子供がおり、アンナはこの封建的なシャム王室に近代的な風を吹かせようと決意しました。しかし、アンナはタプティムの沈んだ表情がとても気になりました。彼女は王への使者であるルンタ(カルロス・リヴァス)と恋仲だったのです。
王様と私のネタバレあらすじ:承
翌日からアンナは早速授業を始め、シャムが世界で一番の大国だと信じ込む王子・王女たちや、イギリスとは全く勝手の違うシャム独特の文化、そして昔からの伝統に頑なに縛られ続けている王への対応に苦心することになります。王が様子を見に行くと、タプティムは『アンクル・トムの小屋』の本を手にしており、アンナを巻き込んで“奴隷制”に関する議論へと発展していきました。
その夜、アンナは王に呼び出され、アメリカの南北戦争を支援するために雄の象を贈るとリンカーン大統領に手紙を書いてほしいと頼まれました。不服なアンナでしたが、偶然にもすれ違ったルンタがタプティムとの密会を試みようとしていることを知り、アンナは亡き夫とのことを思い出して二人の密会の手助けをしてあげました。ルンタとタプティムは、彼が次にシャムに来た時に一緒にこの王宮から逃げる約束を交わしました。
あくる日、アンナは自分を召使い扱いする王に怒りを露にして口論となり、家を提供してくれなければ英国に帰ると言い出しました。しかしその夜遅く、チャン王妃はアンナの元を訪れ、王は英国から野蛮人と罵られており、いずれシャムが英国の保護国にされてしまうのではないかと不安に思っているのだと打ち明けました。
王様と私のネタバレあらすじ:転
英国本土から公使がバンコクを訪問することになり、王は一行をもてなすためアンナの強力を求めることにしました。アンナはヨーロッパの食事と音楽でもてなすことを提案、王は見返りにアンナに家を提供すると約束しました。
やがて英国から大使のジョン・ヘイ卿(アラン・モウブレイ)と大使補佐官でアンナの元恋人だったエドワード・ラムゼイ卿(ジェフリー・トゥーン)が公使として訪れ、アンナはラムゼイ卿との再会を喜び、昔話に話を咲かせるなかで遠い故郷に想いを馳せました。公使をもてなす余興として用意されたのは、タプティムがシャムの伝統的バレエとの融合というアレンジを加えた『アンクル・トムの小屋』の演劇でした。王とクララホム首相は奴隷問題を扱う劇の内容に不満を持ち、ヘイ大使はタプティムと話をしようとしたところ、タプティムは既にルンタと共に王宮から逃げ出した後でした。アンナは一夫多妻制を主張する王を牽制、男性はひとりの女性を愛するものであるとする英国ならではの意見を述べたところ、駆け込んできたクララホム首相の口からタプティムが捕まったとの知らせが飛び込んできました。
王様と私の結末
激昂した王は、タプティムを不敬罪により鞭打ちの刑に処するとの決定を下しました。アンナは王を心のない野蛮人だと激しく非難、さすがの王も鞭打ちは思い留まるものの、やがてルンタの死体が川で発見され、タプティムは涙を流しました。王とこの国に深く失望したアンナは英国に戻る決断をし、ルイスと共に帰国の準備を始めました。
帰国の日が迫ったある日、アンナはチャン王妃から、王が病に冒されており死の床にいることを知らされます。チャン王妃からアンナに渡された王からの手紙には、文化の違いから厳しい態度をとることもあったがアンナには深く感謝していると記されていました。アンナは王宮に王を見舞い、王はアンナがいつも正しいことを言ってくれたとして、アンナとルイスにシャムに留まってほしいと懇願しました。王はチュラーンロンコーン王子に王の座を譲り、奴隷制度を廃止すると宣言しました。王はアンナとクララホム首相に看取られ、安堵の表情を浮かべながら静かに息を引き取りました。
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