ザ・ドライバーの紹介:1978年アメリカ映画。強盗団の逃亡役のドライバーを専門にする若い男と、そのドライバーを逮捕してやろうとする刑事の物語で、ド派手なカーアクションが売りのクライムサスペンスです。配役に名前が無いのが特徴で、さらに若きイザベル・アジャーニが見事な引き立て役を演じています。
監督:ウォルター・ヒル 出演者:ライアン・オニール(ドライバー/カウボーイ)、ブルース・ダーン(刑事)、イザベル・アジャーニ(カジノの女)、ロニー・ブレイクリー(仲介者)ほか
映画「ザ・ドライバー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ザ・ドライバー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ザ・ドライバー」解説
この解説記事には映画「ザ・ドライバー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ザ・ドライバーのネタバレあらすじ:起
一人の男が青い車をピッキングで盗み、走り出しました。カジノでは若い女性がゲームをしていましたが、換金して帰ろうとしていました。そのカジノに2人の強盗が押し入りました。金を奪い、外で待つ青い車に乗る段取りですが、強盗達はやって来ません。カジノの女が店を出て歩いていると青い車の男と目が合いました。その車に乗り込んだ強盗二人はそのまま逃亡しますが、後方からパトカーが次々追ってきました。ドライバーは凄腕のドライビングテクニックでパトカーを次々事故させて逃げ切りました。そして強盗から分け前をもらうと、車を廃車場に投げ捨てました。翌日、刑事は部下2人を連れ、廃車場から青い車を引き揚げました。車内からピッキングの道具を見つけた刑事は『カウボーイ』と呼ばれるある男を任意同行しました。
ザ・ドライバーのネタバレあらすじ:承
カジノでの目撃者を集め、カウボーイの面通しをしました。カジノの女もいましたが、別人だ、見たことが無いと言いました。解放されたカウボーイでしたが、刑事は強盗を逃がすためだけのドライバーのカウボーイがカジノ強盗の運転手に違いないと思い、作戦を練り始めました。そのころスーパーに強盗が入りますが、ドジを踏んでリーダーが逮捕されました。刑事はリーダーに「指定の銀行に強盗に押し入り、ドライバーにカウボーイを雇えば無罪にしてやる、逆に、断れば10年ぶち込む」と、おとり捜査を持ちかけました。一方カウボーイはカジノの女の部屋に行き、口止め料を支払いました。彼女は金が常に必要で、金の為なら何でもする女でした。
ザ・ドライバーのネタバレあらすじ:転
リーダーと相棒、手下がカウボーイを呼び出し、強盗のドライバーの依頼をしました。条件を出したカウボーイに対し、相棒の男が運転の腕を疑ったためカウボーイは迷路のような駐車場を爆走し、最後は車を破壊し、依頼を断りました。その後、相棒がカウボーイを訪ね、銃で脅してドライバーを引き受けろと迫りますが、逆に殴り倒し、リーダーの元へ行き、前回の2倍の条件で契約しました。早速銀行を襲う事になりますが、カウボーイが、相棒の男は来るなと言ったため、居残り、リーダーと下っ端が強盗に入りました。しかし手下がドジを踏んで警報を鳴らしたためリーダーが射殺しました。リーダーだけ乗せて走り出した車は、パトカーの追跡もないまま倉庫に着きました。そしてリーダーがカウボーイに、警察のワナだとバラし、銃で殺そうとした瞬間、カウボーイが逆に撃ち殺し、金を奪って逃げました。その後、相棒がやって来てリーダーの死体を見つけました。
ザ・ドライバーの結末
カウボーイは仲介者に、ヤバい金だから浄化してくれと依頼しました。金が4分の1に減ることを納得すると、取引場所を決めて、カジノの女に取引役を頼みました。仲介者が自宅に戻ると強盗の相棒がいて、銃を口に押し込み、取引場所を喋らせた後、射殺しました。取引場所では刑事も張っていました。成功したかに見えた取引でしたが、取引相手は列車で刑事に追い込まれ射殺されました。カジノの女は4分の1の金の入ったロッカーの鍵をバッグごと相棒に奪われました。それを聞いたカウボーイは、相棒の乗った車を見つけて追いました。その車の運転手は自分と同じドライバーでした。カーチェイスを延々繰り返し、広い倉庫に入りました。そして向かい合ってチキンレースになり、相棒の車はハンドルを切り横転しました。カウボーイは相棒を射殺し、ドライバーを逃がしました。深夜、金の入ったバッグをコインロッカーから取り出すと、刑事と警察に包囲されました。バッグを開けると中は空っぽでした。カウボーイが刑事に「二人とも騙された」のだと言って、刑事の元を去りました。
「ザ・ドライバー」は、凄まじいカーアクションと刑事対ドライバーの虚々実々の駆け引きをクールに描き、アクション映画の原点を示した作品だと思う。
このクールで戦慄的な我々映画ファンを痺れさせる「ザ・ドライバー」は、チャールズ・ブロンソンとジェームズ・コバーン主演の「ストリート・ファイター」という小味なアクション映画を撮った、ウォルター・ヒル監督の第二回監督作品です。
銀行ギャングや強盗の逃走を請け負う、プロのゲッタウェイ・ドライバーのドラマですが、とにかく凄まじいカーアクションと、刑事対ドライバーの虚々実々の闘いに焦点を絞り、余計なものは一切描かれず、いわば、”アクション映画の原点”に戻ったような作り方であり、ムダな場面が目障りだった前作の「ストリート・ファイター」よりも、ずっと面白く出来ていると思う。
ロサンゼルスの街の地図を性格に頭に刻み込んだゲッタウェイ・ドライバー(ライアン・オニール)は、その鮮やかなハンドルさばきで、追跡してくるパトカーをまいて夜の闇に消えてしまう。
なんべんもそんな彼にキリキリ舞いをさせられた刑事(ブールース・ダーン)たちは、なんとかしてドライバーを逮捕しようと考えて、卑怯な罠を仕掛けるが、その罠にもかからないのだ。
まるで、マシーンのように冷徹なドライバー。
うす汚い人間性をむき出しにして、ドライバーの逮捕に執念を燃やす刑事。
この二人のコントラストにも迫力があり、彼らの闘いがドラマティックな興趣を盛り上げていると思う。
それまでの甘い二枚目からイメージ・チェンジしたライアン・オニールの好演も素晴らしいが、それ以上に印象的なのは刑事役のブルース・ダーンの怪演だ。
そして、フランスの演技派女優のイザベル・アジャーニがドライバーに近づく女ギャンブラーに扮している。
普通のドラマ設定なら、彼女とドライバーの間に恋愛感情が生じ、そのあげくベッドシーン——-となるはずなのだが、そういう余計なものを一切省いたところが、この作品の良さだろうと思う。
ロサンゼルスの素晴らしい夜景の中で展開される追いつ追われつのカー・チェイスは、凄い見せ場になっていて、アクション映画の魅力をたっぷりと堪能しました。