冬の猿の紹介:1962年フランス映画。親子ほど年齢の違う2人の男性が、奇妙な友情を育んでいくドラマ作品。昔は大酒飲みだったホテル経営者のアルベール。現在は酒を断ち妻シュザンヌと共に静かに暮らしていた。そんな折、ホテルに旅人フーケが現れる。酒に酔っては暴れるフーケと意気投合したアルベールは、彼を中国の「冬の猿」に喩えるのだった。ジャン・ギャバンとジャン=ポール・ベルモンド、フランス映画を代表する名優2人の最初で最後の共演作。
監督:アンリ・ヴェルヌイユ 出演者:ジャン・ギャバン(アルベール・カンタン)、ジャン=ポール・ベルモンド(ガブリエル・フーケ)、シュザンヌ・フロン(シュザンヌ・カンタン)、ガブリエル・ドルジア(ビクトリア)、ポール・フランクール(エノー)ほか
映画「冬の猿」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「冬の猿」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「冬の猿」解説
この解説記事には映画「冬の猿」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
冬の猿のネタバレあらすじ:1.ホテルの主人と旅人
舞台は第二次世界大戦下のフランス、ノルマンディー地方ティーグルヴィル。町でステラというホテルを経営するアルベール・カンタンは、大酒飲みとして有名でした。友人エノーと酒を飲んでは、町外れの娼館で海軍陸戦隊時代の中国体験を語っています。しかしティーグルヴィルも戦火にのまれ、妻シュザンヌと防空壕に避難したアルベールは断酒を決意。怯えるシュザンヌを安心させるように、「最後の一杯だ」とグラスに注いだ酒を飲み干しました。それから15年が経ったティーグルヴィルに、1人の旅人がやって来ます。彼の名前はガブリエル・フーケ。ステラホテルに部屋を取った彼は、到着早々エノーの酒場に繰り出しました。エノーや町の住人は、アルベールは断酒してから別人のように陰気になったと話します。約束通り酒をやめたアルベールは、口寂しいのを飴で紛らわせながら仕事に精を出していました。フーケはマドリードに住む別れた妻クレール・プレボーに電話をかけますが、何も言えずに切ってしまいます。自棄になって酒を呷り泥酔したフーケは、暴れた結果店から追い出されてしまいました。そんなフーケを部屋まで送ったアルベールは、昔の自分と重ね親近感を覚えます。フーケの方もアルベールを親父と呼び懐きました。アルベールはフーケが中国で見かける冬の迷い猿に似ていると話します。
冬の猿のネタバレあらすじ:2.それぞれの悩み
翌日。アルベールがフーケに中国の思い出を語ったと知ったシュザンヌは、言い知れぬ不安に襲われました。かつてアルベールは泥酔する度に中国の話をしていたからです。シュザンヌから町に来た理由を尋ねられたフーケは、質問には答えず女の子の服が買える店はないかと聞きました。シュザンヌから教わった雑貨屋シック・パリジャンでセーターを買ったフーケは、町の寄宿学校を訪ねます。そこには10歳になるフーケの娘アニーが在籍していました。しかしフーケはセーターを預けて逃げるように帰ってしまいます。翌日、フーケはアルベールに自分の事情を話し始めました。フーケはアニーを連れ出し、一緒にパリへ帰るつもりでティーグルヴィルに来ました。しかしアニーに会う勇気が出ず、クレールへの未練も断ち切れない自分に苦悩しています。その夜、一緒に食事をしたカンタン夫妻とフーケ。アルベールは明日ブランジーへ父親の墓参りに行く予定になっていました。アルベールはフーケに酒を勧めます。咎めるシュザンヌに、アルベールは現状の不満を口にして酔い潰れたいと訴えました。
冬の猿のネタバレあらすじ:3.酔っ払いの花火
翌日、町で騒ぎが起こります。泥酔したフーケが十字路に立ち、車相手に闘牛士の真似事をしていました。当然運転手は怒り、フーケは警察に連行されます。アルベールが身元引受人になって警察を出ると、フーケは自分を恥じ項垂れました。景気づけに酒を飲もうと誘われ、アルベールはついに承諾して15年ぶりに娼館へ向かいます。アルベールとフーケは夜まで酒を飲み続け、へべれけになって喚きました。泥酔した2人はエノーの店で暴れ、マリーを連れ出すため寄宿学校にまで押し入ります。校長に追い払われて尚騒ぎ足りない2人は、シック・パリジャンで大量の花火を調達。店主と一緒に海岸で一斉に花火を打ち上げます。突然夜空を彩った花火に、町の住人は大喜びで海岸に詰めかけました。アルベールが禁酒の誓いを破ったことを察したシュザンヌは、ホテルの窓から複雑な表情で町の騒ぎを見下ろします。翌朝、海岸で目覚めたアルベールとフーケは、それぞれの帰るべきところへ帰ることにしました。
冬の猿のネタバレあらすじ:4.家族
ステラホテルに戻ると、アニーがフーケを待っていました。親子は再会を喜んで抱き合います。シュザンヌはアルベールを責めませんでした。アルベールも特に謝罪は口にせず、ブランジーへ行くための用意を整えます。アルベールはブランジーへ行くため、フーケはアニーと一緒にパリへ帰るためステラホテルを発ちました。アニーを真ん中にして手を繋ぐアルベールとフーケ。その後ろ姿をシュザンヌが見送ります。
冬の猿の結末:5.冬の到来
列車に揺られながら、アルベールはアニーにせがまれ冬の猿について話し始めました。中国では冬になると、みなしごの猿が町におりて来ます。人々は猿にも魂があると信じているので、森に帰してやるため心から尽くします。だから列車には猿がたくさんいると言って、アルベールは笑いました。やがて列車はリジューに到着し、アルベールは乗り換えのため汽車を降ります。アニーが「冬の猿を本当に見たのかしら」と呟くと、フーケは「ああ 1匹はね」と答えるのでした。乗り換えの汽車を待つアルベールは、ポケットから飴を取り出します。彼の姿が遠ざかり、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画「冬の猿」のあらすじと結末でした。
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