ハリウッド・スキャンダルの紹介:2016年アメリカ映画。大富豪ハワード・ヒューズに見いだされハリウッドへやってきた新人女優マーラと恋に落ちた運転手のフランク。やがてヒューズに才能を買われたフランクは瞬く間に出世していき、マーラとの恋にも暗雲が立ち込めてきます。俳優ウォーレン・ベイティが18年ぶりにメガホンを取った作品です。
監督:ウォーレン・ベイティ 出演者:ウォーレン・ベイティ(ハワード・ヒューズ)、リリー・コリンズ(マーラ)、オールデン・エアエンライク(フランク)、アネット・ベニング(ルーシー)、マシュー・ブロデリック(レヴァー)ほか
映画「ハリウッド・スキャンダル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハリウッド・スキャンダル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハリウッドスキャンダルの予告編 動画
映画「ハリウッド・スキャンダル」解説
この解説記事には映画「ハリウッド・スキャンダル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハリウッドスキャンダルのネタバレあらすじ:起
1959年のハリウッド。20世紀を代表する億万長者ハワード・ヒューズに雇われ、運転手となったフランクはヴァージニアから出てきた新人女優マーラを迎えに空港へとやってきます。RKOの映画製作者であり、新人女優の発掘に情熱を注いできたヒューズはこれまで沢山の新人女優達をハリウッドへ呼び寄せ、生活の面倒を見るなど全面的にサポートしてきました。マーラもまたその中の一人であり、フランクは彼女の送迎を担当することになりました。
フランクは敬虔なクリスチャンであり、清廉な美しさを持つマーラに少しずつ惹かれていきます。しかし運転手には女優と恋に落ちてはいけないというヒューズの作った厳しい掟が存在しており、先輩のレヴァーには女優と恋に落ちないよう釘を刺されてしまいます。マーラはヒューズと対面する機会をなかなか与えらてもらえないことに不満に感じ始めますが、フランクすら一度もヒューズと顔を合わせたことがありませんでした。
ハリウッドスキャンダルのネタバレあらすじ:承
ある晩、マーラは始めてヒューズのコテージへと招かれます。そして憧れのヒューズから直々にカメラテストの機会を与えられました。その夜、フランクもヒューズに呼び出され、始めて本人と対面します。ヒューズは運転手達が新人女優に手を出していないかフランクに探りを入れようとしていました。フランクは初対面のヒューズに向かってマルホランド・ドライブの土地購入を勧めるなど物おじしない態度で接します。
ヒューズはフランクの頭の回転の速さを気に入り、開発中の偵察機の飛行テストへ彼を同行させます。しかし飛行テストは失敗、ヒューズは大怪我を負いますが、フランクは徐々にヒューズの仕事のサポートを任されるようになっていきます。ある晩マーラの家にテレビのアンテナを付けに行ったフランクは感情を抑えきれなくなり、ついマーラにキスをしてしまいます。そこへ運悪くレヴァーが訪ねてきますが、二人は何とかその場をやり過ごします。
ヒューズから呼び出されたマーラは彼の邸宅へやってきますが、仕事で忙しいヒューズはなかなか現れません。待ちくたびれたマーラはそばにあった酒に手を出してしまい、ヒューズが部屋にやってきたころには酩酊状態に陥っていました。その夜、ヒューズに口説かれ気をよくしたマーラは彼と関係を持ちます。ヒューズは高価なサファイアの指輪をマーラにプレゼントしました。
ハリウッドスキャンダルのネタバレあらすじ:転
ヒューズの経営する航空会社は買収の危機にあり、ヒューズは神経をすり減らす日々が続きます。フランクはヒューズのわがままに振り回されながらも、懸命に彼のサポート役に徹します。久しぶりにマーラの家を訪ねてきたフランクは彼女の指にサファイアが輝いていることに気づきました。フランクが問い詰めるとマーラは新しい恋人から貰ったのだと答えます。さらにマーラはヒューズの子供を身ごもっていました。しかし多忙なヒューズとはなかなか連絡が取れないばかりか、彼が女優のジーン・ピーターズと結婚したとニュースで知ってしまいます。耐え切れずヒューズのもとへ乗り込んできたマーラは妊娠したことを告げますが、ヒューズはたった一度の過ちで妊娠などあり得ないと酷い暴言を吐き、マーラを傷つけます。
ヒューズに愛想をつかしたマーラは女優への道をあきらめ、故郷へと帰ることを決意しました。一方フランクはヒューズの気まぐれな思いつきにより、ラスベガス、ニカラグア、ロンドンと各地を転々とします。偏屈者で傲慢なヒューズに顎で使われ続けてきたレヴァーはある晩堪忍袋の緒が切れ、ヒューズと激しい言い争いをしていまいます。フランクはコデインの飲みすぎでヒューズが我を失っていることを指摘し、傲慢な態度を改めなければ従業員は皆去っていくだろうと告げます。ヒューズは自分がこれまで子供を作らなかったのは老いを感じるのが怖かったからだと本音を漏らします。
ハリウッドスキャンダルの結末
1964年、めっきり人前に姿を現わすことがなくなったヒューズは暴露本により、精神疾患を患い認知症傾向にあると大々的に報じられてしまいます。あるテレビ番組は真相を追及しようとヒューズ側にコンタクトを試みますが、ヒューズはホテルの部屋に閉じこもったまま出てこようとはしません。フランクやレヴァーが頭を悩ませていると、そこへマーラが息子のマットを連れて現れます。フランクはマーラとの再会を喜び、ヒューズに会いたいというマーラを彼の部屋へ通します。
マーラがマットを紹介すると、生気を失っていたヒューズは瞬く間に元気を取り戻していきます。そしてテレビ番組の直撃取材にも明朗に答え、精神疾患という噂を疑念を払拭してみせます。しかしマーラはヒューズから貰ったサファイアの指輪を置いてホテルを後にしました。フランクはその指輪を見て、マットがヒューズの子供であることを確信します。
フランクはヒューズのもとを去る決意を固めました。フランクはマーラの後を追いかけ、ここから一緒にやり直さないかと問いかけます。マーラはフランクを受け入れました。信頼していたフランクにも去られ、一人取り残されたヒューズは孤独にむせび泣くのでした。
以上、映画「ハリウッドスキャンダル」のあらすじと結末でした。
海外のウィキペディアでもマットはヒューズの子としているものが多いですが,映画をよく見るとフランクの子だと暗示しています。
まず,マーラとの一夜の後のヒューズは何か不満そうでした。バージンだったはずのマーラも翌日平気な顔をしていますし,お堅いバージンのマーラどういうことをするのか何にも知らなかったはずです。実際のヒューズも子供はなく,子供ができないことは女優達に知られていたでしょう。マーラも知っていたと思います。
ヒューズはマットに会ったときの態度も,その前に迷い込んできた子供に対する態度と同じで,自分の子供と思っていない様子。一方,フランクはマットを見ているうちに親近感を覚えます。たぶん自分の子供時代に似ていたのでしょう。そして,指輪を見て,女優であるマーラと関係した自分がクビにならないよう,彼女は5年前去ったと知ったフランクは,彼女の言葉を思い出して自分からヒューズの基を去ったのです。ロビーにマーラがいたのも,フランクに気が付いて欲しいと願っていたからだと思います。そして,エンディングで流れる”Rules don’t apply”はマーラがフランクを歌ったもので,”He gave me a gift that I would treasure”のところで,マットが映りますから,フランクがくれた宝物がマットであることを暗示しています。主役の二人の演技力だけでこれらが暗示されているので,注意していないと一度見ただけではなかなかわかりません。
マーラが去った後,ヒューズがおかしくなっていくところを飛ばして見るといい映画です。