迷宮のヴェニスの紹介:1990年アメリカ映画。休暇でヴェニスを訪れた若い男女が、謎の中年夫婦の術中にはまっていくエロティック・サスペンス。イギリス人観光客のコリンとメアリーは恋人同士だが、最近はすれ違いも多く冷めていく愛を感じていた。迷宮のようなヴェニスの街で道に迷った彼らは、ミステリアスな男ロバートと知り合う。彼とその妻キャロラインは親切にしてくれるが、どことなく気味の悪い雰囲気を纏っていた。
監督:ポール・シュレイダー 出演者:クリストファー・ウォーケン(ロバート)、ルパート・エヴェレット(コリン)、ナターシャ・リチャードソン(メアリー)、ヘレン・ミレン(キャロライン)ほか
映画「迷宮のヴェニス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「迷宮のヴェニス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「迷宮のヴェニス」解説
この解説記事には映画「迷宮のヴェニス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
迷宮のヴェニスのネタバレあらすじ:若い男女と謎の男
舞台はイタリア、古都ヴェニス。イギリス人カップルのコリンとメアリーは、休暇を利用し2人きりで観光に来ていました。あちこち見て回る2人ですが、互いに抱え込んだ不満がちらほら見え隠れします。メアリーは2人の子どもを持つシングルマザーであり、コリンはそれを踏まえての将来設計に頭を悩ませていました。メアリーはそんなコリンに、不満と不安を抱いている様子。
ある夜、遅い夕食に出かけた2人は迷路のような街で道に迷ってしまいます。途方に暮れていると、白いスーツの中年男性が現れました。彼の名前はロバート。事情を知ったロバートは、経営するバーまで道案内を買って出てくれます。コリンとメアリーはロバートに導かれるまま歩き続け、ようやくバーで一息つくことが出来ました。2人に質問され、ロバートは自分のことを話し始めます。
外交官だった父親がロンドンに長く滞在したため、彼はイギリスで育ちました。父親は体の大きな男で、いつも黒い髭を生やしていたそうです。母も4人の姉妹も父を恐れていましたが、ロバートだけは父のお気に入りでした。ロバートは姉2人にいじめられ、父から酷い折檻を受けたことがあります。ロバートは姉達を恨み、母だけを慰めに少年時代を過ごしました。
父の死後、カナダ大使夫人が娘のキャロラインと共にお茶に招かれてやって来ます。キャロラインは、姉達に馬鹿にされるロバートに微笑みを向けて「すてきね」と言いました。そしてロバートはキャロラインと結婚し、現在はヴェニスにて2人で暮らしているそうです。
迷宮のヴェニスのネタバレあらすじ:気味の悪い夫妻
ロバートと別れ、バーを出たコリンとメアリー。どことなく不快感を持ったまま歩いた2人は案の定迷ってしまい、その上メアリーが体調を崩して動けなくなりました。そのまま路上で夜を明かし、ホテルに戻る前に飲み物だけでもと店に立ち寄ります。
子どもを心配するメアリーは家に帰りたいと言い出し、ヴェニスは監獄のような場所だと弱音を吐きました。するとそこにまたしてもロバートが現れます。昨夜のことを聞いた彼は責任を感じ、自宅で休んでくれと言い出しました。コリンは断ろうとしますが、ロバートの強引さに負けてしまいます。
到着したロバートの家は、豪華で重厚な品々に囲まれていました。コリン達は全裸でベッドに横たわり、そのまま深く眠ってしまいます。夕方になって目を覚ました2人は、服がなくなっていることに気付きました。夜着を見つけたメアリーが部屋の外に出ると、ロバートの妻キャロラインに声をかけられます。メアリーにお茶を勧めたキャロラインは、笑うと背中が痛むのだと言いました。そして思わぬ告白を始めます。
キャロラインはメアリー達が眠っている部屋にこっそり入り、寝姿を30分ほど見つめていたというのです。特にコリンは美しかったとうっとりして語るキャロラインに、メアリーは不気味なものを感じました。
迷宮のヴェニスのネタバレあらすじ:燃え上がる愛
ロバートと2人きりで話していたコリンは、部屋に飾られた数々の品に目をやります。これらはロバートの父や祖父の遺品で、大切に保管されていました。彼らは男としての性に誇りを持っていたと語るロバート。それを聞いたコリンは、「まるで博物館だな」「“古き良き日々”か」と馬鹿にしたように笑います。
すると突然ロバートから腹部を殴られました。理由は分かりません。腹を立てたコリンは、夕食を早々に切り上げてメアリーと一緒にホテルへ帰りました。彼らは部屋に引きこもり、情熱的なセックスに溺れます。互いに夢中になりながらも、メアリーはロバート達の恐ろしさを忘れられずにいました。
強く不安に思ったメアリーは、昨日ロバートの家でコリンの写真を見つけたと明かします。どうやらロバートがコリンを盗撮していたようです。コリンも突然殴られたことを伝え、その意味不明な不気味さに苛立ちを感じていました。
迷宮のヴェニスのネタバレあらすじ:コリンへの執着
気晴らしに外へ出たコリンとメアリーは、帰り道で窓辺のキャロラインに見つかってしまいます。仕方なく再び家を訪ねると、中は閑散としていました。カナダへ旅に出ることにしたので、家を売り払うことにしたそうです。バーに手続きに行くというロバートは、コリンを強引に連れ出しました。そして行く先々で話しかけてくる現地の男達に、「僕らは恋人同士で 妻も彼に 惚れてる」と話して回ります。コリンはロバートの真意が理解できず、写真の件も含めて説明を求めましたが、はぐらかされるばかりでした。
一方、メアリーはキャロラインとお茶をしながら、ロバートとの夫婦生活について聞かされていました。結婚直後、ロバートはベッドで暴力を振るうようになったそうです。キャロラインは苦しみましたが、いつしかその虜となり、ロバートと共にアブノーマルな世界に溺れるようになりました。キャロラインが背中を痛めたのはそのためです。告白を聞いていたメアリーはどんどん気分が悪くなり、まともに座っていることさえ出来なくなりました。キャロラインはメアリーを自分達の寝室へ連れていきます。
部屋に入ったメアリーは恐怖に竦み上がりました。寝室の壁一面に、コリンを盗撮した写真が貼ってあったのです。実はヴェニスに到着したその日に、コリンはロバート達から目をつけられていました。夫妻はコリンに夢中になり、写真を見つめながら愛を語り、絆を深めたそうです。メアリーはあまりの出来事に言葉さえ発せられなくなっていました。
迷宮のヴェニスの結末:罠にかかった2人
ロバートと共に帰宅したコリンは、様子がおかしいメアリーに顔を真っ青にしました。焦れたコリンが医者を呼べと怒鳴りますが、ロバートもキャロラインも全く動じる気配がありません。コリンは擦り寄ってくるキャロラインを払い除けますが、ロバートから反撃され首を掴まれてしまいます。
メアリーを助けるためなら何でもすると呟くコリンに、キャロラインはキスをしました。ロバートはカミソリを取り出し、コリンの首を切って殺害します。夫妻は幸せそうにキスをしてその場を歩き去りました。何も出来ないメアリーだけが取り残されます。
その後、メアリーは呆然としたまま事情聴取を受けました。捕まったロバートは取り調べの席で、いつものように昔語りを始めます。ロバートが父親の話を始め、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「迷宮のヴェニス」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する