映画 ルームの紹介:2015年アメリカ映画。狭い“へや”でママと二人だけで暮らしていた5歳の少年ジャックはある日ママから“外の世界”のことを聞きます。崩れていく今までの世界と広がるこれからの世界。ジャックを通して描かれる素晴らしくもほろ苦い“へや”と“世界”の物語。原作はエマ・ドナヒューの小説「部屋」。
監督 :レニー・アブラハムソン 出演:ブリー・ラーソン(ママ/ジョイ)、ジェイコブ・トレンブレイ(ジャック)、ジョーン・アレン(ばあば/ナンシー)、ショーン・ブリジャース(オールド・ニック)、ウィリアム・H・メイシー(じいじ/ロバート)ほか
映画「ルーム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ルーム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ルームの予告編 動画
映画「ルーム」解説
この解説記事には映画「ルーム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ルームのネタバレあらすじ:起
5歳の男の子ジャックは、おはようと“へや”にある椅子や小物に声をかけ1日をはじめます。そしてママと一緒に歯を磨いてストレッチをします。狭い部屋の中にはベッドもキッチンもお風呂も何もかも揃っています。今日は誕生日なのでママと一緒にケーキを焼きました。けれど、ママと一緒に作ったケーキにはロウソクがありません。“日曜の差し入れにはロウソクを頼んで”とジャックがいいます。そして、ママと一緒にお風呂に入り、読み聞かせをしてもらい、子守唄を歌ってもらい、ジャックはクローゼットの中で眠りにつきます。夜、ママと“オールドニック”とママとジャックが呼んでいる男の人の声がしてジャックは目を覚まします。再び眠ろうとして、ジャックは世界のことを考えます。世界はこの“へや”で、“へや”の外はテレビのようにペラペラなのだと。そして、いつの間にか眠ってしまったジャックをママがクローゼットからベッドにそっと移動させるのです。
ルームのネタバレあらすじ:承
オールドニックからもジャックへ車のラジコンの誕生日プレゼントが届きます。その夜、ママとオールドニックの声で夜に目が覚めてしまったジャックはクローゼットから出てきて、男の寝顔をみてみようとします。その時、男が目を覚まし、ジャックに触れようとした男に抵抗したママが首を締められてしまいます。次の日、朝起きると、ジャックの息が白く煙ります。電気を止められてしまったのです。意を決したママが、ジャックに本当の“世界”の話をします。5歳になるまで、“世界”は“へや”だけだとジャックに嘘をついていたというママ。そして、ママの名前はジョイといい、バァバとジィジと一緒に暮らしていたけれど17歳の時オールドニックに誘拐されて以来、この“へや”(納屋)に閉じ込められていることも。今までの世界が壊れ、そんな話は信じないと怒鳴るジャック。けれど、ラジコンを壊すほどに悩んだ末に、ママを助けることにします。ママが考えた作戦は、電気が止まった為、風邪を引いたとジャックを病人にしたてあげ、オールドニックを騙してジャックを病院に連れて行かせ、助けを呼ぶ方法でした。けれど、病院には連れて行ってもらえずにオールドニックは立ち去ってしまいます。ママは次の作戦を必死で考え、モンテクリスト伯の話からヒントを得てジャックに死体のフリをさせて“へや”を抜け出させようとします。狙い通り、オールドニックにジャックを外に連れ出させることに成功します。そして、通行人の助けもありジャックはオールドニックから逃れることに成功し、警察官に保護されます。警察官にママのことをきかれてもジャックはうまく答えられません。けれど、“へや”のことをきいた警察官がジャックのこぼす言葉からヒントをつかみ、オールドニックの家を探し出してくれます。ジャックがパトカーの中で待っていると、遂にママが現れ、二人は再会します。
ルームのネタバレあらすじ:転
次の日、病院のベッドでジャックは目を覚まします。“世界”の眩しさやはじめての感触に戸惑いますが、ママがオールドニックはもうおらず好きな時になんでもできると説明してくれます。ママの希望でバァバの家に帰りますが、事件は大きく報道され、家の周囲は大騒動になっています。また、バァバとジィジは離れて暮らしており、バァバはパートナーのレオと一緒に暮らしています。バァバがジャックの髪の毛を切りたいといいますが、髪の毛にはパワーがあるから、とジャックは断ります。その夜、皆で夕食を囲みますが、ジィジはジャックを直視することができず、そのまま家に帰ってしまいます。家の周りには相変わらずマスコミが溢れています。そして、ジャックが世界を知っていく一方、ママがベッドに臥せることが多くなります。精神的に不安定になっているママがテレビの取材を受けますが、ジャックの父親のことやジャックを自由にする方法があったのでは、という質問を受け更に苦悩します。そして、その夜、ママは自殺を試みてしまいます。
ルームの結末
病院にいるママに髪の毛をおくってパワーをあげたいとジャックがいい、バァバに髪の毛を切ってもらいます。近所の友達と遊んでいると、ママが帰ってきます。ジャックの髪の毛に救われたというママと語り合い、親子の絆を確かめ合います。“へや”がみたいというジャックの願いをきき、事件現場である“へや”にジャックとママが戻ってきます。ジャックは部屋を見ていいます。「ドアが開いていると“へや”じゃない。けれど、ドアを占めたいわけじゃない」。そして、監禁されていた時、おはよう、と声をかけていた植木や椅子やクローゼットに、さようなら、と告げ、ママとジャックは“へや”を後にしたのです。
「ルーム」感想・レビュー
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部屋を出るまでのドキドキ、ハラハラのサスペンスと、出てからどう生きるか考えさせるヒューマンドラマの部分が非常にバランスよく満足感を得られました。この母親にとって息子とは、守るべき存在というだけではなく、自分を支えてくれる必要な存在であることが痛いほど伝わります。息子1人外へ出し、その間どんな気持ちで救助を待っていたかと想像するだけで涙が溢れてしまいました。
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もう、前半戦だけでも1つの映画が作れるってくらい密度の濃い映画だった。あと、ジョンが可愛くてしょうがない。確かに多くの映画がだと助かった良かった終わりとなることが多いけど、現実はそこから先に如何にして日常に戻っていくのかが本当の問題だと思う。この映画、宣伝するときにジョンのママが主役の様に言われてるけど、ジョンが主役だと言っても過言じゃない。
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とても恐ろしくグロテスクな背景がありながらも、それを乗り越えようとする母子の物語。シンプルに感動した。ストーリー、カメラワーク、役者の演技など、どれをとっても文句なし。特に母子二人の演技は素晴らしく、これが実際に起こった事件であったかのような説得力がある。
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最初は脱出系のサスペンスかと思って観ていたのですが、本筋となる、「被害者の社会復帰」が非常に心に響いた。母が子供を想う気持ち、子供が未来に向けて前を向く気持ち、双方の強さが感じられた。これらは平和な世界で暮らしていたら当たり前にあるものだが、この母と子供の強さが幸せを紡ぐものだと感じられた。
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拉致被害から解放されても、両親にとってうしろめたい過去、ママにとっては取り戻せない時間、ジャックにとっての新しい世界と三者三様の現実と向き合わなければならないのだと感じた。事件後ジャックのモノローグでこれから始まる人生を応援せずにはいられなかった
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シングルマザーの苦労を描いた話かと気楽に観ていたら、なかなかずっしりと重い内容。日本にも過去同じような事件があってそれとリンクしてしまう。無邪気に日親と会話する子供、母はできる限り体力の付け方、知る限りの知識と愛情を子に注ぐ。時々やってくる謎の男、男が来ている間は子はクローゼットで大人しくすごすように、まるで天敵から子を守る動物のように巣穴から出さない。光は屋根の小さい窓だけ、外は見えない。遠い空、移り行く天気、何故、そこに居るのか、だんだん話が進んでいく。外との接触がなければ光や外気、ウィルスにも弱い。この母親はどんなぁも良いで子を産みそだてたのか、観る人の想像力が試される。ルームから出たあとな世界や時間の経過は残酷だ。押し寄せるマスコミ、亀裂の入った母の家族。自分の部屋は「あの日」から変わらないまま残っているのに、救われるのは、子供が素直で柔軟に育ってくれたこと。それを支える祖父がわりの人の無骨だが優しい言葉。この子の記憶には傷になるかもしれないルーム、母親は削られ剥ぎ取られた場所だが、子供はそれをおぎなってくれる。昨今、子供の虐待が増える中、コロナ禍で窮屈な時間を過ごしている人こそ、観て欲しい。そして女性警官が地域の場所をしっかり頭に入るほど巡回していることがわかる瞬間が正義とは?寄り添った警察とは?と日本もこういう人材を育成して欲しい。と願わずいられない。今だけ、自分だけを考え過ごしる人に、当たり前で変わらない日常なんかない。だから周りを全体を考えて日々生きて欲しい。
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衝撃すぎて、深く考えてしまいました。どうやって、1人でお産をしたのでしょうか。栄養不足で、病気になっていたらどうなっていたか。ずっと外に出ることができないと、精神的におかしくならなかったのかとか、いろんなことを考えてしまいました。
犯人の血を引いた子どもをばあばは受け入れてくれる寛容な心。もし、あの子を生んでいなければ、ずっとあの部屋からはでられなかったのだろうか?
産んだ子が助けてくれた。1人ではどうすることもできなかった。天からのプレゼントだったのでは?それにしても、誘拐犯の男の精神は異常だ。恐ろしい。アメリカは隣近所の間隔が広いから、誰も気づいてくれないことを見て取れました。
実際あのぐらい狭くて暗い部屋で育ち、いきなりリアルな犬や雲を見たら相当に衝撃を受けるだろうなと思いました。本作では親子が監禁されていた部屋を出た後のストーリーがきちんと語られており、そこが特に素晴らしいなと思います。また奇抜なアイデアですが、ジャックを脱走させる為の作戦には脱帽です。監禁されていた部屋であるにも拘らず、部屋に戻りたがるジャックを観て人って複雑だなと思いました。