グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状の紹介:2014年オーストリア映画。改装のため閉館していた美術史美術館の美術収集室が再開までに行われた、美術館を新しい形にする試みの数々を追う。
監督:ヨハネス・ホルツハウゼン 出演:ザビーネ・ハーク
映画「グレートミュージアム ハプスブルク家からの招待状」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「グレートミュージアム ハプスブルク家からの招待状」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状の予告編 動画
映画「グレートミュージアム ハプスブルク家からの招待状」解説
この解説記事には映画「グレートミュージアム ハプスブルク家からの招待状」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状のネタバレあらすじ:起・ウィーン美術史美術館
展示品とそれを展示する館内の室内装飾で来館者を引き付けてやまない、ウィーン美術史美術館。その美術収集室の改装と展示品の点検と修復が行われた。そして、再開時にはショーケースにはLEDをつけ、照明は現代作家の手掛けた照明作品をシャンデリアにし、美術館全体が刷新される予定が組まれた。
会議では美術収集室の再開による収入の予想が建てられる一方で、美術収集室再開のための資金が滞る等など、赤字の月もあり、支出を極力抑える節約もされていた。
大規模な改装に際して、ブランド戦略も試みていた。ブランド構築には時間とお金がかかるが、将来的にはそれが資金をもたらし、本当にやりたい事業に回すことができる。それにはこの美術館の実績を外に示すことが必要だった。
国家予算獲得の際には医療機関でさえライバルになる昨今、資金の使い方は厳しく見られる。また海外からの観光客が他の美術館と比べるのは当然。その対処のためにもブランド戦略が必要だった。
グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状のネタバレあらすじ:承・展示品と働く人々
武器部門のショーケースの試作ができ、改装は着々と進んでいた。
絵画の修復では、イナ・スラマとアーナウトバリスが、ルーベンスがスケッチで書いたものを、後に誰かが手を加えて絵画として完成させていたことが判明、他にもこのような画家が一つの作品に混在する物があると知ったのは、今回の修復での収穫だった。
絵画部門では、作品を一つ一つ生かすように配置を考えていた。特に人気の作品である『イザベラ・デステの肖像』を掛ける場所が決まっておらず、館内の人の流れや混雑による滞留を考えながら、他の絵と共にゆったりリズミカルな展示を心掛けようとしていた。
ある日の会議で、職場環境について意見を求めると、客相手の部署を担当する職員から、自分たちは一人一人違うけれども、共通しているのは、この組織の最下層にいるという認識だという意見が出た。それはクリスマスパーティーに参加した時、他の部署の人に紹介してもらえると思ったけれど、そんな事はなく席は決められていて、警備やお客様係は席をまとめられている。自分たちは下っ端ではないと声が上がった。
グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状のネタバレあらすじ:転・オーストリアの象徴
美術史美術館の所蔵品の『マリア・テレジアと四人の息子たち』は大統領府に掛けられている。この美術館では、ハプスブルク家が伝統が重い。『国家への思い』を知れば知るほど、重荷に感じられる。『帝国の芸術』という展覧会はこの美術館でも他の美術館でもよく開かれるが、あまり成功はしない。例外は日本くらいだった。
しかしハプスブルク家の系図を見せて収蔵品を紹介する。外へ向けて、これがハプスブルク家の芸術だというアピールの一つだった。ハプスブルク家の遺産を収蔵し管理、展示している現状を、この家の芸術を伝える忠実な下僕だと思うか、それとも自覚を持った現代人だと割り切るか。いずれにせよ過去の遺産の管理は皆でやる仕事だった。
再開に当たって、展示のコンセプトは年代順展示。最初の展示室は中世、ここは19世紀まで、1800年ごろから19世紀初頭の擬古典主義の時代。古典期の芸術品との懸け橋となる時代。この美術館は1891年に作られ、芸術を保護したハプスブルクの君主たちの天井画が描かれている。おもしろい事に、天井に描かれた物が収蔵品で残っている。
グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状の結末:再開に向けて
CMは収蔵品を取り上げ歴史を説明する、美術館で何が待っているのか、展示品から何を得るのか、鑑賞した後に500年前の美術品が自分の存在に及ぼす影響とは何なのかを問いかけたい。
美術史美術館のロゴ刷新を伴い、宝物館と馬車博物館に『帝国』が付いたエレガントなデザインで、時代に左右されないと評判はいい。
『マリアテレジアと四人の息子』は修復を終え、大統領府へ戻った。この絵を掛けるのは見栄えのためではなく、国の文化財で、国内外の来賓も見るだろう場所にこの絵が必要だった。
再会を前に、狩猟・武器コレクションのボーフォー・スポンタン館長の定年祝いが行われ、教育・芸術・文化省の大臣からの手紙を総館長から渡された。
準備は大詰めで、新しいカタログの準備や開館宣言の日の分刻みのスケジュールの確認が行われ、無事開館の日を迎えた。
以上、映画「グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状」のあらすじと結末でした。
グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状のレビュー・考察:美術館の背負う物
美術館にはそれぞれ個性がある。現代作家に照明の依頼をするのはさすが主にハプスブルク家が収集した物を収蔵していている美術館らしいとも思った。またそれと同時に、ブランド戦略や予算、職場環境の話も提示され、この美術館は『仕事場』でもあり、人が仕事をする場なら必ず起こる問題が美術館でも起きると言う、ごく当たり前だけれど忘れがちな事を思い出させてくれた。
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