ハスラーの紹介:1961年アメリカ映画。1959年に発表されたウォルター・テヴィスの同名小説を映画化した作品です。ポール・ニューマン演じる若きハスラーと伝説的なビリヤードプレイヤーとの対決を儚い恋愛模様も交えて描き、アカデミー賞では8部門にノミネートされ、撮影賞と美術賞を受賞しています。1986年には続編『ハスラー2』が公開されています。
監督:ロバート・ロッセン 出演者:ポール・ニューマン(エディ・フェルソン)、パイパー・ローリー(サラ・パッカード)、ジョージ・C・スコット(バート・ゴードン)、ジャッキー・グリーソン(ミネソタ・ファッツ)、マイロン・マコーミック(チャーリー・バーンズ)、マーレー・ハミルトン(ジェームズ・フィンドレー)、ヴィンセント・ガーディニア(バーテンダー)、ウィリー・モスコーニ(ウィリー)ほか
映画「ハスラー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハスラー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハスラーの予告編 動画
映画「ハスラー」解説
この解説記事には映画「ハスラー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハスラーのネタバレあらすじ:起
ポケット・ビリヤードを得意とするカリフォルニア出身の若きハスラーのエディ・フェルソン(ポール・ニューマン)は、16歳でその頭角を現し、今では相棒のチャーリー・バーンズ(マイロン・マコーミック)と薬品会社のセールスマンの仕事をしつつ、各地を渡り歩いては荒稼ぎをしていました。エディはその名も少しずつ知られるようになり、本人も腕に自信がありました。
そんなある日、エディは15年間無敗を誇る伝説のビリヤードプレイヤー、ミネソタ・ファッツ(ジャッキー・グリーソン)に無謀にも賭けビリヤードの勝負を挑んできました。受けて立ったファッツは最初のうちは余裕でエディを圧倒していたものの、エディも負けじと中盤で巻き返し、調子に乗ってファッツに1千ドルの勝負を持ちかけてしまいます。
二人の熱戦を聞きつけた地元を仕切るギャンブラーのバート・ゴードン(ジョージ・C・スコット)も姿を見せ、エディとファッツの対決は数時間にも及ぶ白熱した展開となりました。エディは運も味方して一時は1万8千ドルの勝ちとなりましたが、ファッツは決して負けを認めないことから、エディは欲を出してゲームを続行してしまい、酒と疲労もあってファッツに逆転負けを喫してしまいます。
全財産を失ったエディは茫然自失となり、申し訳なさからチャーリーとコンビを解消することにしました。
ハスラーのネタバレあらすじ:承
エディはバスターミナルのカフェで作家志望の女子大生サラ・パッカード(パイパー・ローリー)と知り合います。サラに惹かれたエディは彼女をアパートに送っていき、強引に求めようとして拒絶されてしまいます。
エディは安宿を拠点としてこの街にしばらく留まることにし、賭けビリヤードで生活費を稼ごうとしましたが、ファッツに敗れたエディとまともに勝負しようとする者はいませんでした。そのうちエディはサラと再会し、やがて二人はサラのアパートで同棲を始め、愛し合うようになっていきました。
そんなある日、エディの前にチャーリーが現れ、彼を連れ戻そうとしますが、エディはチャーリーが自分が稼いだ金を着服していたことを知って、彼と決別しました。サラはそんなエディを見て、自分もいつか他の男たちと同じようにエディに捨てられるのではないかと不安を抱き始めました。
そんなある日、エディは酒場でバートと会い、彼から才能だけでは勝負に勝てないと言われて、一緒に手を組まないかと持ちかけられました。バートは自分が資金を出す代わりにエディが稼いだ金の75%を報酬として要求してきましたが、エディはこの話を断りました。
その後、エディは顔が知られていることで痛い目に遭うというバートの忠告を無視して寂れたビリヤード場で賭けビリヤードに挑み勝利しますが、相手から報復として袋叩きにされて親指の骨を折られてしまいます。そんなエディの心の支えになったのはサラの存在でした。
ハスラーのネタバレあらすじ:転
サラの献身的な介抱のおかげで傷も癒えたエディは、バートの提案を受け入れることにし、競馬“ケンタッキーダービー”開催中のケンタッキー州ルイビルに向かいました。エディは自分が未だにハスラーの世界から足を洗えないことに不安を感じるサラを旅に同行させることにしました。しかし、サラをエディから引き離そうとするバートは、自分を嫌がるサラに、エディは才能が開花すればサラを捨てるだろうと言い放ちました。
エディはバートからルイビルの有力者である富豪ジェームズ・フィンドレー(マーレー・ハミルトン)との勝負を持ちかけられ、彼の豪邸でゲームに挑むことにしました。最初のうちはエディは苦戦を強いられ、みかねたサラはエディは邪悪で歪んだ人間に利用されているだけだと言い、賭博など辞めて一緒にルイビルから出ようと懇願しますが、エディは全く聞き入れずに激怒してサラを追い返してしまいます。
バートはそんなエディに賭け金の吊り上げを持ちかけ、最終的にエディはフィンドレーに圧勝して1万2千ドルの大金を得ました。一足先にホテルに戻ったバートは、エディに失望して一人街を去ろうとしていたサラにエディとの手切れ金を渡し、彼女を弄びました。
やがて遅れてホテルに戻ったエディは、サラがバートの部屋の浴室で自殺したことを知り愕然となりました。悲しみと怒りに駆られたエディはバートに殴りかかりますが、現場検証に来た警官に取り押さえられ、バートとの決別を決意しました。
ハスラーの結末
エディは再びファッツに勝負を挑むことにしました。ファッツは1万ドルで勝負を引き受け、エディは手持ちの現金3千ドルを賭けました。エディは「勝負に必要な気骨はルイビルのホテルで手に入れた」と自嘲しながら終始ファッツを圧倒し続け、そして完膚なきまでにファッツを叩きのめして勝利し大金を手にしました。
そこにバートが現れ、自分の縄張りで勝負したのだから分け前を渡せと、エディに要求してきましたが、エディはサラを本気で愛していたこと、自分とバートがサラを死に追いやってしまったことを語り、そして人間の感情を持たず、ただ勝利だけに拘り続けるバートこそが負け犬だと言い放ちました。
何も言い返せないバートは、二度と自分の縄張りに近づかないことを条件にエディを見逃しました。エディはファッツと互いの腕を認め合い、ビリヤード場を立ち去っていきました。
以上、映画「ハスラー」のあらすじと結末でした。
「ハスラー」感想・レビュー
-
サラは自分がバートに犯され、死ぬ事でエディをバートから離し、目覚めさせる事が出来ると本能的に判断した。女性の持つ愛の深さ、男達への最後の献身というものが在る事を男は畏れ知るべきである。
若きハスラー”ファースト・エディ”と伝説的なビリヤードプレイヤーである”ミネソタ・ファッツ”とのしのぎを削る戦いを描いた作品です。ここで言う「ハスラー」という名称は、「ギャンブルで相手を騙し、金銭を巻き上げる勝負師」という意味で使用されております。この映画では、単なるギャンブル映画という側面だけではなく、勝負師として破滅的な生き方を送ろうとするエディが、ひょんなことから「自称」大学生のサラと出会ったことで、「勝つとは何か」・「自分にとってハスラーである意義をどこに見出すのか」・「人を愛するとは」という多くの困難な問題に頭を悩ませながら、一人の人間として、一人のハスラーとして成長していく物語だと言えます。エディとサラとの場面は、ロマンティックとは程遠い描写が多く、非常に現実的な会話が繰り広げられることで、作品の重厚感が増している様に思います。この描写があるからこそ、二度目のミネソタ・ファッツへ真剣勝負を持ちかけるエディの揺るぎない信念を感じるのではないでしょうか。最高の技術を持った者同士が言葉少なに語らいあう場面は、とても感動的ですが、どこか翳りを感じる雰囲気が非常に美しいと感じる映画でした。