デビルズ・ソナタの紹介:2018年フランス映画。謎の死を遂げた作曲家が遺した奇妙な楽譜。作曲家の娘である若きバイオリニストがマネージャーと共に楽譜の謎に挑もうとしたその時、新たな悲劇の幕が上がります…。女性音楽家の運命を描いたゴシックホラー。2019年7月に惜しくも他界した個性派俳優ルトガー・ハウアーが主人公の父である作曲家を演じた作品です。
監督:アンドリュー・デズモンド 出演者:フレイヤ・ティングリー(ローズ・フィッシャー)、シモン・アブカリアン(チャールズ・ベルネ)、ジェームズ・フォークナー(ヴィクトル・フェルナンド)、ルトガー・ハウアー(リチャード・マーロウ)、マット・バーバー(ジェームズ)、キャサリン・シャウブ・アブカリアン(テレーズ)ほか
映画「デビルズ・ソナタ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「デビルズ・ソナタ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
デビルズ・ソナタの予告編 動画
映画「デビルズ・ソナタ」解説
この解説記事には映画「デビルズ・ソナタ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
デビルズソナタのネタバレあらすじ:起
フランスの森の中にある古い屋敷。この屋敷の主である老いた男は、楽譜を完成させると油を被って焼身自殺を遂げました…。
同じ頃、イギリスでは若き新進気鋭の女性バイオリニスト、ローズ・フレッシャー(フレイヤ・ティングリー)が、新作アルバムのレコーディング中でした。そんな時、ローズはマネージャーのチャールズ・ベルネ(シモン・アブカリアン)から父の死を告げられました。ローズの父は当時生後14ヶ月だったローズと母を捨てたことから、ローズは父のことを快く思っていませんでした。
翌日、ローズは公証人と会い、父が遺した遺産相続の手続きを始めました。彼が遺したのはフランスにある、かつて貴族が住んでいた由緒ある広大な屋敷でした。
ローズは父のことをチャールズに話していませんでしたが、ローズの父は現代クラシック界の救世主と目される高名な作曲家リチャード・マーロウ(ルトガー・ハウアー)であり、ローズがマーロウの楽曲の権利を相続すれば莫大な富が入ることから、ローズから初めてマーロウのことを知らされたチャールズは大変驚いて興奮しました。
デビルズソナタのネタバレあらすじ:承
その翌日、ローズはレコーディングを中断してフランスに飛び、マーロウの屋敷に足を踏み入れました。そこには週に一度、木曜日だけ屋敷に通っていた初老の家政婦テレーズ(キャサリン・シャウブ・アブカリアン)がおり、これまでと同じように週一度ローズの身の回りを世話してくれることになりました。しかし、テレーズもマーロウのことについては詳しく知りませんでした。
テレーズが帰宅した後、ローズはマーロウの書斎から奇妙な紋章の入った書類入れを見つけ、中から「バイオリンソナタ作品54」と題された楽譜を見つけました。その楽譜には音楽記号ではない謎のマークが記されており、ローズは試しに楽譜をピアノで弾いてみると何やら怪しい気配が近づいてきました。ローズは振り返ってみましたが、そこには誰もいませんでした。
ローズはチャールズに電話をかけ、楽譜の件について相談してみました。マーロウのまさかの未発表曲の存在に驚いたチャールズは、早速楽譜の謎について調べることにしました。ネット上を検索したチャールズはマーロウがここ最近応じたインタビューの動画を見つけ、その中でマーロウは自分は神の声のようなものに導かれていること、そして「ある人の心には響くだろう」という新たな楽曲の作曲に取り掛かっていることを語っているのを聞きました。
同じ頃、風呂に入ろうとしていたローズは怪しげな気配に気付きました。ローズは屋敷の中を見回っていると、突然書斎の机の置時計のベルが鳴り響きました。その時計には楽譜に記されたものと同じマークが刻まれていました。
翌日、ローズは近隣の村に買い物に出かけましたが、村人たちは彼女を好奇な目で見ていました。しかし、ローズがマーロウの屋敷から来たことを知ると一転して村人の表情は固くなり、冷たい態度をとるようになりました。酒場の壁には行方不明の子供を探す貼り紙が掲げられていました。
デビルズソナタのネタバレあらすじ:転
チャールズは旧知の音楽家のジェームズ(マット・バーバー)にマーロウの楽譜を見せていました。ジェームズには楽譜のマークの意味は分かりませんでしたが、かつてマーロウと一緒に仕事をしていたヴィクトル・フェルナンド(ジェームズ・フォークナー)ならば事情を知っているのではないかと助言されました。
そこでチャールズはヴィクトルの元を訪ね、彼にマーロウの楽譜を見せたところ、このマークは19世紀頃にフランスの秘密結社「闇の騎士団」のものであることが判明しました。「闇の騎士団」は音楽こそが未知の世界への扉を開き、この世界に平和と秩序をもらたす魔法のようなものであるとする一方、メロディやピッチを1つも外ずことなく正確に演奏すれば悪魔をも呼び出すことができると考えていました。
そしてマーロウが作っていたのは何と悪魔を呼び出す曲であり、この曲を演奏するには楽譜に記されたマークの謎を全て解明する必要があるということでした。チャールズはヴィクトルから「闇の騎士団」の本を借り、フランスへと向かいました。
その頃、マーロウの遺品生理をしていたローズは、父がバイオリニストとして飛躍していくローズの新聞記事の切り抜きを集めていたことに気付きました。その時、暖炉の炎が楽譜に記されたマークのひとつを炙り出していました。その夜、ローズは庭にある天使の像をマーロウが指差している夢を見ました。
翌日、マーロウの屋敷に到着したチャールズはローズにこれまで調べ上げたことを話し始めました。この屋敷は元々「闇の騎士団」の首領が住んでいたところであり、楽譜に記された4つのマークは「闇の騎士団」が使用していた紋章でそれぞれ「権力」「不死」「出現」「双極性」を示すものであり、4つをひとつにまとめると「闇の騎士団」の紋章になるというものでした。
暖炉の炎が指し示したのは「権力」であり、該当する楽譜を炎に炙ると隠された音符が浮かび上がってきました。そして「不死」を指し示す置時計は針が1時間遅れており、ローズとチャールズはこの部分は前にずらして演奏すればよいと考えました。こうしてローズとチャールズはマーロウの楽譜の謎を解き明かすことに躍起になっていきました。
デビルズソナタの結末
チャールズはテレーズの元を訪れ、マーロウや紋章について訊ねてみました。するとテレーズは書斎の鏡の裏に紋章が刻まれていたと明かし、さらにマーロウは時々人目を忍んで森の中に入っては長時間帰ってこなかったことまで証言しました。
一方のローズは、屋敷の庭園に並び立つ双子の子供の像の足元に紋章が刻まれているのを発見しました。その後、ローズは屋敷近くの森の奥に古い教会を見つけ、中に立ち入ってみたところ、紋章が刻まれたカセットテープレコーダーと拷問器具を発見しました。
カセットテープには何とマーロウが子供を拷問する様が録音されており、ローズはマーロウが子供を誘拐してはその悲鳴をテープに録音して作曲に役立てていたことに気付きました。父の知られざる一面に気付いたローズはその場から逃げ出しましたが、その際にマーロウに殺されたと思わしき子供たちの幽霊を見ていました。
屋敷に戻ったローズは、チャールズにマーロウが子供を殺していたと告げ、これ以上楽譜について探るのはやめようと訴えました。しかし、もはや楽譜の虜になっていたチャールズは決定的な証拠があるわけではないとローズを諭し、ローズに眠り薬を飲ませて残る2つの紋章の謎の解明に取り掛かりました。
書斎の鏡の裏には「出現」の紋章があり、チャールズは該当する箇所は鏡に映して逆に弾けばよいと解釈しました。庭の双子の像の紋章は「双極性」を示しており、該当箇所は楽譜を重ねて透かして見れば正しい内容になることを突き止めました。4つのマークの謎を全て解明したチャールズはそれらを合わせた「闇の騎士団」の紋章を探し、マーロウの肖像画の下にバラの絵が描かれていることに気付きました。バラ(ROSE)はまさしくローズのことを指し示しており、マーロウはローズが演奏することを想定してこの曲を書き上げたことが判明しました。
全ての謎を解き明かしたチャールズはローズを叩き起こし、怯える彼女に楽譜を奏でることを強要しました。ローズは言われるがままに演奏を始めると、屋敷にはマーロウに殺害された子供たちの幽霊が出現し、そして悪魔の影が姿を現しました。曲がクライマックスを迎えた時、うっとりと演奏に聴き入っていたチャールズの背後に悪魔が忍び寄っていました。翌日、屋敷を訪れたテレースはチャールズが死亡しているのを発見、悲鳴を上げました。
後日、ローズは真紅のドレスを身にまとい、ステージに立ちました。観客席の最前列にはバラの胸飾りを付けたヴィクトルも訪れていました。マーロウの曲を奏で始めたローズの瞳は妖しく光っていました。
以上、映画「デビルズ・ソナタ」のあらすじと結末でした。
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