タンゴの紹介:1992年フランス映画。愛に傷つき、愛を求める男達の珍道中を描いたロマンス作品。度重なる浮気で妻マリーに愛想を尽かされてしまったポールは、寂しさのあまり彼女の死を願う。裁判官の叔父エレガンはその願いを叶えてやるべく、マリー殺害を企てた。かつて妻とその浮気相手を殺害し、エレガンに見逃されていたヴァンサンを巻き込んで、マリーを追う旅に出る。果たして旅の果てには何が待っているのか。監督は「仕立て屋の恋(1989年)」や「髪結いの亭主(1990年)」等で知られるパトリス・ルコント。
監督:パトリス・ルコント 出演者:リシャール・ボーランジェ(ヴァンサン)、ミュウ=ミュウ(マリー)、ティエリー・レルミット(ポール)、フィリップ・ノワレ(エレガン)、キャロル・ブーケ(女性客)ほか
映画「タンゴ(1992年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「タンゴ(1992年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「タンゴ(1992年)」解説
この解説記事には映画「タンゴ(1992年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
タンゴのネタバレあらすじ:奇妙な殺人計画
舞台はフランスのとある田舎町。セスナ機乗りのヴァンサンは、豪胆な性格で無茶な曲芸飛行を得意としていました。ある日、愛妻エレーヌが不倫していると気付いたヴァンサンは、浮気相手の車をセスナ機で追いかけ回します。車は横転炎上し、浮気相手は死亡してしまいました。
ヴァンサンはエレーヌを許す振りをして彼女を空港に呼び出し、言葉巧みにセスナ機に乗せて離陸します。そして飛行中にエレーヌを振り落として殺害しました。殺人罪で服役することを覚悟していたヴァンサンですが、何故か裁判では無罪となり釈放されます。
その6年後。1人の男性が、カフェで熱心に女性を口説いていました。彼の名前はポール。大の女好きであるポールは浮気の常習犯で、妻マリーを何度も裏切ってきました。ついに我慢の限界を迎えたマリーは家を出て行ってしまいます。ポールは自由を満喫しようとしましたが、1か月も経つ頃には、あまりの寂しさに塞ぎ込むようになっていました。
ポールは裁判官の叔父エレガンに複雑な心境を吐露します。マリーのことが気になって頭から離れず、前より心にのしかかってくると話すポール。「いっそ死んでくれればいいんだ」と呟くと、エレガンは頷きマリー殺害計画を企て始めます。
タンゴのネタバレあらすじ:愛に翻弄される男達
妙に積極的なエレガンはポールを連れ、1人淡々と暮らしているヴァンサンの家を訪ねました。そしてヴァンサンにマリー殺害を依頼します。ヴァンサンは当然断りますが、彼にはエレガンに逆らえない事情がありました。実はエレガンが裏で手を回し、ヴァンサンを裁判で無罪にしていたのです。
今からでも有罪に追い込めると脅されたヴァンサンは、仕方なく依頼を引き受けることにしました。やる気満々のエレガン、引くに引けなくなったポール、ポールを何とか諦めさせようとするヴァンサンの3人は、車でマリーの実家を目指します。車内には大音量のタンゴが流れていました。
ポールは、タンゴには何か不吉なものを感じると語ります。マリーへの不満ばかり吐き出すポールに、エレガンは元々男と女は一緒に暮らせないものなのだと持論を展開しました。その言葉通り、エレガンは女好きですが独身を貫いています。ヴァンサンは「女は素晴らしいよ どいつも」と言いました。
タンゴのネタバレあらすじ:浮気夫と殺人妻
カフェに入った3人は、突然殺人事件に巻き込まれます。マドレーヌという女性客が、浮気を繰り返す夫を射殺したのです。3人はマドレーヌを連れ慌てて店を逃げ出しました。覚悟は出来ていたと話すマドレーヌは、殺人を犯した直後でも明るく陽気です。彼女は夫が子どもを欲しがらないため射殺したと説明し、3人に子作りの協力を頼みました。3人は絶句しますが、ヴァンサンが相手をすることにします。
マドレーヌはしばらく旅に同行することになりました。旅の目的を聞いたマドレーヌは、「なぜマリーをわざわざ殺すのか」と尋ねます。ポールは、「自分なしで生きて幸せになるマリーを想像すると、許せない気分になる」のだと答えました。エレガンが銃を調達した町でマドレーヌとは別れます。
その後、たどり着いた実家にマリーはいませんでした。彼女は国境なき医師団に参加し、現在アフリカにいるらしいのです。殺害計画を諦める気など無いエレガンは、2人を連れアフリカを目指します。ヴァンサンが二度と飛行機には乗らないと神に誓っているため、車で移動するしかありませんでした。
タンゴのネタバレあらすじ:追い詰められていくポール
南仏の高級ホテルに宿を取った3人。ポールは話の流れで口説いた人妻に誘われ、一夜を共にしました。朝、彼女の部屋から出ると、夫だという人物が階段に座り込んでいます。彼は性機能障害者で、妻を満足させてやれない自分を嘆いていました。200人以上の愛人を持つホテル暮らしの妻と、フロア係をしながら彼女を見守る夫。それでも別れることは出来ないそうです。1人では生きていけないと話す男性に、ポールは上手く声をかけられませんでした。
車でホテルを出てしばらく経つと、ポールが突然大声を上げます。通り過ぎたトラックの助手席に、マリーが座っていたというのです。ポールは猛スピードでトラックを追いかけ、降りて来た運転手とマリーに銃を向けました。どんな手を使ってでもマリーを取り戻そうとするポール。それを止めたのはエレガンです。よく見ると助手席の女性はマリーではなく、全くの別人でした。
ポールの心は思ったより疲弊しているようです。激怒した運転手はエレガン達の車を滅茶苦茶に破壊して去っていきました。ヴァンサンは、妻を殺しても気軽にはならないとポールを諭します。ポールも決心が揺らぎますが、結局エレガンに唆され旅を続けることにしました。我慢の限界にきたヴァンサンは誓いを破り、2人をセスナ機に乗せてアフリカへ向かいます。
タンゴの結末:2人でタンゴを
夜。国境なき医師団のキャンプ地に到着したポール達は、ようやくマリーを発見しました。ヴァンサンは銃を手にマリーに近付きます。ポールは非常に落ち着いていました。実は予め空砲に入れ替えておいたのです。しかしそれを見越していたヴァンサンは、実弾を装填してマリーを射殺しました。
3人は急いでその場から逃げ出し、フランスに戻ります。ようやく解放されたはずのポールでしたが、マリーのことが頭から離れません。苛立つ様子はなくなったものの、ふと塞ぎ込むことがありました。
よく晴れた日、庭で食事を始めた3人。そこに現れたのは死んだはずのマリーでした。ヴァンサンは彼女を殺していなかったのです。エレガンは無言で立ち上がり、タンゴを流し始めました。エレガンとヴァンサンは穏やかな表情で食事を続け、ポールとマリーはタンゴを踊ります。2人がいつまでも踊り続け、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「タンゴ」のあらすじと結末でした。
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