ラ・ポワント・クールトの紹介:1955年フランス映画。ラ・ポワント・クールトとは、アニエス・ヴァルダが思春期を過ごした南フランスの港町セートの北部にある漁村地区。そこで短いバカンスを過ごす、結婚生活の危機に瀕している若い夫婦の観念的・演劇的な愛をめぐる対話と、村人たちによって演じられる村の日常とが交錯する映画。ヌーヴェルヴァーグの先駆的作品という評価が定着しつつある、アニエス・ヴァルダの映画監督デビュー作。夫婦を演じるのはヴァルダが写真家を務めていた国立民衆劇場所属の二人の俳優。夫役の、『ニュー・シネマ・パラダイス』等のフィリップ・ノワレが出演者として初めてクレジットされた作品でもある。短編映画作家として活躍していた時期のアラン・レネが編集者として魔術的な腕前を見せている。ラ・ポワント・クールトには今日、ヴァルダの名を冠した小道がある。
監督:アニエス・ヴァルダ 出演者:シルヴィア・モンフォール(妻)、フィリップ・ノワレ(夫)、ラ・ポワント・クールトの人々
映画「ラ・ポワント・クールト」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ラ・ポワント・クールト」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ラ・ポワント・クールトの予告編 動画
映画「ラ・ポワント・クールト」解説
この解説記事には映画「ラ・ポワント・クールト」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ラポワントクールトのネタバレあらすじ:起
木の下に、誰かよそ者がいることに、子だくさんの家の父親が気づく。衛生局の検査官に違いない。その日、漁に行った老人の家に、裏口からそのことが伝えられる。間もなく二人の検査官が老人の家に入ろうとするが、老人は姿を隠していて、検査官は不法侵入だと言われて追い返される。
近くの湖が細菌に汚染されているということで漁を禁じられていたが、ラ・ポワント・クールトの人々は生活のために衛生局を出し抜いて漁を続けていたのだ。
その漁村にバカンスのために12年ぶりにパリから帰って来た若い男がいた。彼はここに来てから毎日妻が来るのを期待して駅に行く。この日、とうとう妻がやってきた。「パリで美人をつかまえたな」と村人たちが話の種にする、パリで生まれ育った都会的な女だ。
しかし、妻は夫と別れる決意を固めてここにやってきたのだった。夫婦は水路を夫の友人の漕ぐ渡し船で渡って友人の家に行き、妻は友人の妻に紹介される。その家の、まだ水道は通っていないが美しい部屋に荷物を置いた後、夫婦は散歩に出る。
ラポワントクールトのネタバレあらすじ:承
巡視艇が来るという知らせが来て、密漁区から漁師たちの船が逃げ出し、女たちは湖から採った貝を隠す。
そのころ、夫婦は散歩をしながら、愛について語り合う。妻は自分たちが4年前に結婚した時の情熱を失ったと言う。夫はそれを知っているが、妻といっしょにいたいと願う。だが、妻にとって夫が浮気をしたことも心にひっかかっていた。
結局、友人の家の美しい部屋は妻が一人で使い、夫は別の部屋に寝かせてもらうことに決める。
ラポワントクールトのネタバレあらすじ:転
子だくさんの家の、病気で箱をベッドにして寝かされていた男の子が亡くなる。こんなに悪くなるとは思っていなかった家族が嘆く。
一方、青年ラファエルの所に二人の警官が来る。密漁をつかまえられたラファエルは、その日汽車でモンペリエに行き、五日間刑務所に入らなければならなかった。警官も彼に同情している。ラファエルにはアンナという恋人がいたが、彼女の父はまだ16歳の娘がラファエルと交際することに反対していた。
パリから来た夫婦は今日も散歩を続ける。係留されている船の中に入る。夫の父親は船大工で、船の中は懐かしい場所だった。妻は、誰もが成功を求めてせわしなくしているパリと、この漁村の貧しいが落ち着いた暮らしの違いを考える。生まれ故郷を知ることによって、夫のことがもっと理解できるようになってきた。
ラポワントクールトの結末
ラ・ポワント・クールトの夏の風物詩、日曜日ごとの水上槍試合に多くの人が集まる。アイスクリームの出店も繁盛している。パリから来た夫婦も観覧席にいた。夫は水上槍試合が大好きだった。ラファエルは水上槍試合のために刑務所から一時釈放されたが、また刑務所に戻って、残りの刑期をつとめなければならない。
部屋に帰った夫婦はベッドに並んで横たわる。最初の情熱は消えても二人には成熟した静かな愛があった。パリに帰ったらきっと妻はまた、もう耐えられないと思うことがあるだろう。でも二人は自分たちが離れられないことを知っていた。
村では水上槍試合の祝勝会と、打ち上げのダンス・パーティーが盛大に開かれていた。水上槍試合での大活躍を認められたラファエルは、アンナとダンスをすることを許されていた。その賑わいを夫婦はカバンを持って通り抜け、小舟に乗って旅立った。明日にはパリに着くだろう。
以上、映画「ラ・ポワント・クールト」のあらすじと結末でした。
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