クレールの膝の紹介:1970年フランス映画。エリック・ロメール監督の「六つの教訓物語」の第5話目にあたるドラマ作品。恋多き大人の男性と、10代の姉妹による危険な恋の騒動を描く。外交官ジェロームは、結婚を間近に控え湖畔の別荘に足を運んだ。そこで友人のオーロラ、幼馴染のヴォルテール夫人と再会する。ヴォルテール夫人の娘クレールの膝に一目惚れしてしまったジェロームは、何とかしてその膝を愛撫しようと悪だくみをする。
監督:エリック・ロメール 出演者:ジャン=クロード・ブリアリ(ジェローム)、オーロラ・コルシュ(オーロラ)、ベアトリス・ロマン(ローラ)、ローラン・ド・モナガン(クレール)、ミシェール・モンテル(ヴォルテール夫人)ほか
映画「クレールの膝」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クレールの膝」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
クレールの膝の予告編 動画
映画「クレールの膝」解説
この解説記事には映画「クレールの膝」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クレールの膝のネタバレあらすじ:少女との出会い
舞台はフランス、アヌシー湖畔のタロワール。少年期を過ごした古い別荘を売却するため、ジェロームは懐かしいこの地に足を踏み入れました。モーターボートで移動していた彼は、橋の上から女性に声をかけられます。それはジェロームの友人で、作家のオーロラでした。彼女はジェロームの別荘の隣家を間借りし、執筆活動を行っているそうです。隣家の家主はヴォルテール夫人、ジェロームの幼馴染です。
ジェロームは恋多き男性で、外交官という職業柄世界中を飛び回っていました。しかしそろそろ中年に手が届きそうな年齢になったこともあり、6年間別離と和解を繰り返した恋人リュサンドと結婚することにしたのです。ジェロームはリュサンドの美しさと内面を賞賛しつつ、独身最後の夏を名残惜しくも感じていました。
その後ヴォルテール夫人とも再会したジェロームは、彼女の娘ローラを紹介されます。10代のローラは背伸びしたい年頃らしく、あっという間にジェロームに恋をしてしまいました。それをオーロラから聞かされたジェロームは困惑しますが、満更でもない様子。オーロラは小説のネタにするため、ジェロームにローラと恋の実験をするようけしかけました。
オーロラの思惑もあり、ジェロームとローラは急速に親しくなっていきます。ローラは血縁の無い姉クレールの話をしました。クレールはヴォルテール夫人の前の夫の連れ子で、両親が離婚した現在も姉妹仲は良好です。ヴォルテール夫人とも仲が良いため、バカンスの間はいつも遊びに来ることになっていました。ローラはジェロームが近々結婚すると聞いてショックを受けますが、それでも彼への好意は断ち切れないようです。
クレールの膝のネタバレあらすじ:恋の実験
ジェロームとローラは自分の恋愛観について語り合います。しかし世代のズレもあり、どうにも噛み合いません。ヴォルテール夫人もローラの恋に気付いていましたが、結婚を控えている男性なら真面目なはずだと信じてジェロームに任せることにしました。
後日、ローラと山に登ったジェロームは彼女にキスをして嫌がられてしまいます。ローラは本気の恋を望んでいました。ローラは恋愛について大人ぶって話し、同年代では恋の相手にならないと言い出します。同年代は馬鹿ばかりで嫌だと言う彼女は、父親くらいの年齢の男性が良いとジェロームにアピールしました。
そんなある日、ジェロームはついにクレールと出会います。すらりとした美少女であるクレールは、ローラと違ってジェロームには興味が無い様子。恋人のジルに夢中で、いつも彼のそばにいようとします。
一方、ローラも同級生の少年ヴァンサンと遊ぶことが多くなってきました。ジェロームは平静を装いますが、正直面白くありません。ローラの相手をしたのはオーロラが喜ぶからだと、ついつい虚勢を張ってしまいます。
クレールの膝のネタバレあらすじ:危険な執着心
そんなある日、ジェロームは衝撃的な動揺を覚えます。ハシゴを登るクレールの、ミニスカートから伸びる美しい足、特にスベスベした膝に目を奪われてしまったのです。ジェロームはクレールの膝に釘付けになり、何とかそこに触りたいと欲望を抱くようになりました。簡単に触れることの出来るジルに嫌悪感すら抱きます。
ジェロームはローラとの実験を切り上げ、クレールと実験するとオーロラに宣言しました。クレールの弱点は膝だと確信したジェロームは、同意の上でそこを愛撫したいのだと熱っぽく語ります。しかしジルに夢中なクレールに触れることは容易ではありません。ジェロームは飲み物を取り損ねる振りをして、さりげなくクレールの膝に触れるのが精一杯でした。
後日、クレールはジェロームからモーターボートを借り、ジルと湖に出ます。岸に近付き過ぎたためにキャンプ場の監視人から注意され、ジェロームのところにもクレームがきました。ジェロームがそれについて叱るとジルは猛反発します。そこにやって来たローラもジルに加勢しました。彼女はジェロームの関心が自分から逸れたことを感じ取っています。ジェロームは特に慰めるでもなく、勝手にしろと言い放ちました。
クレールの膝のネタバレあらすじ:果たされる欲望
やがてヴォルテール夫人とローラが去り、隣家にはクレールとオーロラが残されます。ある日街に出たジェロームは、ジルがクレールではない少女の肩を抱いてキスをしているところを目撃しました。ジェロームはすぐさまモーターボートで取って返します。
アヌシーに用事があるというクレールをモーターボートに乗せ再び湖に出ると、激しい雷雨に襲われました。接岸して近くの東屋で雨宿りするジェロームとクレール。ジルはクレールに、グルノーブルの母親のところへ行くと言っていたそうです。ジェロームがジルと別れるよう忠告すると、クレールは鬱陶しがりました。
そこでジルの浮気を仄めかします。クレールは強いショックを受け泣き出してしまいました。ジェロームは慰める振りをして、むき出しのクレールの膝に手を乗せます。丹念に撫で回すジェロームの手を、クレールは拒絶しませんでした。
クレールの膝の結末:滑稽な男
別荘に戻ったジェロームは、事の次第をオーロラに報告します。クレールの膝に触れることは、容易ではあったが非常に勇気の要ることだったと自慢げに語るジェローム。そしてクレールには可哀想なことをしたけれど、現実を教えるためには仕方がなかったと話します。
クレールとジルを引き離したことを、ジェロームは善行だと信じて疑いませんでした。クレールやローラにした実験は最高の歓びだったと話し、オーロラに礼を言います。満足したジェロームには、既にクレールの体への執着はありませんでした。彼はこれで潔く結婚出来ると清々しい表情を浮かべます。
翌日、ジェロームはオーロラにのみ別れを告げてモーターボートで去って行きました。直後にジルがクレールを訪ねて来ます。浮気を疑うクレールに、ジルは誤解だと訴えました。2人がベンチに座って肩を寄せ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「クレールの膝」のあらすじと結末でした。
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