デリンジャーの紹介:1973年アメリカ映画。1933年~34年にかけ、アメリカの各州で銀行強盗を繰り返し、デリンジャー一家として恐れられていたボスのジョン・デリンジャーの半生を描いたクライム映画です。紳士的な態度ながら、鮮やかに金を奪い、時には市民に金をばら撒き、義賊と呼ばれた振る舞いのデリンジャーと、デリンジャーを追うFBI捜査官の二つの視点で物語は進みます。
監督:ジョン・ミリアス 出演者:ウォーレン・オーツ(ジョン・デリンジャー)、ベン・ジョンソン(メルヴィン・パーヴィス)、ミシェル・フィリップス(ビリー・フレチェット)、リチャード・ドレイファス(ベビーフェイス・ネルソン)、ハリー・ディーン・スタントン(ホーマー・ヴァン・メーター)、スティーヴ・カナリー(プリティボーイ・フロイド)、クロリス・リーチマン(アンナ・セージ)、ジェフリー・ルイス(ハリー・ピアポント)、ジョン・P・ライアン(チャールズ・マックレー)、ロイ・ジェンソン(サミュエル・コウリー)ほか
映画「デリンジャー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「デリンジャー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
デリンジャーの予告編 動画
映画「デリンジャー」解説
この解説記事には映画「デリンジャー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
デリンジャーのネタバレあらすじ:起
ジョン・デリンジャーはハリー、ホーマー、エディの3人を従え、今日も銀行強盗に入っています。ある町では、狙っていた銀行が閉鎖されていて、デリンジャーらはバーに入ります。そこで客たちから金を巻き上げたうえ、最後には返し、ビリーという女を連れて立ち去ります。
そしてハリーの妻メアリーを交えたメンバーは、デリンジャー一家と呼ばれていました。FBIではフーバー長官が捜査官バーヴィスに、名だたる犯罪者の射殺を命じていました。それはプリティボーイ・フロイド、マシンガン・ケリー、ベビーフェイス・ネルソン、ウィルバー・アンダーヒル、ジャク・クルータス、そしてジョン・デリンジャーでした。
特にデリンジャーは『デリンジャー一家』全員が対象でした。シカゴでやった銀行強盗では、途中で警報が鳴り銃撃戦になります。その時デリンジャーは警備員を射殺し、初めて殺人犯として扱われます。バーヴィスはこれにより「デリンジャーを射殺しやすくなった」と話します。
デリンジャーのネタバレあらすじ:承
バーヴィスはマシンガン・ケリーの隠れ家を包囲していました。ケリーが女と一緒にいる状況の中、防弾チョッキを着たバーヴィスは、拳銃を両手に持ち葉巻をくわえて一人で乗り込みます。銃声が数発し、バーヴィスはマシンガン・ケリーを射殺します。続けてバーヴィスはジャック・クルータスを待ち伏せし、マシンガンで射殺しました。
そのころデリンジャーらは、銀行強盗中、再び警察と銃撃戦になり、運転手のエディが射殺されます。デリンジャーはホーマーとハリー、メアリー、ビルを連れ、アリゾナ州のメキシコ国境近くにいました。フェスティバル会場で楽しんでいると、地元保安官がデリンジャーを見つけ逮捕します。それを見たハリーらは、保安官らの目を盗んで逃げ出します。
この逮捕は新聞の一面に載ります。一方バーヴィスはこの記事を見て、自分の記事が2面に出ているのを不愉快に感じていました。インディアナ州の刑務所に収監されたデリンジャーは、木を削った拳銃のおもちゃを黒く塗り、看守を脅し、殺人犯のリードを解放させたうえ、所長を人質にして脱走します。
デリンジャーのネタバレあらすじ:転
脱走中、デリンジャーは銀行強盗を行い、奪った金をリード、運転手、所長に分けます。「受け取れない」という所長でしたが、結局受け取りました。この一件でリードを仲間に引き入れたデリンジャーはビリーと再会し、実家に帰りくつろぎます。
しばらくして湖畔に集まったデリンジャー一家には、プリティボーイ・フロイドとベビーフェイス・ネルソンがいました。友好的なフロイドに対し、攻撃的なネルソンをデリンジャーが痛めつけ、二人を仲間にします。新しいデリンジャー一家は銀行強盗を繰り返します。
一方、バーヴィスは執拗にデリンジャーを追っていました。そのバーヴィスが婚約者とレストランで食事中、デリンジャーとビルが入って来ます。バーヴィスは、デリンジャーの席にシャンパンを贈ります。デリンジャーはバーヴィスからだと知ると、シャンパンを突き返し、店を出ました。
デリンジャーの結末
バーヴィスはデリンジャー一家の家を見つけ、深夜に包囲します。そして夜明けを待って一斉に銃撃します。激しい銃撃戦の末、デリンジャー一家はバラバラになって逃げだしました。足を怪我したビルはバーヴィスに保護されます。そして追い詰められたフロイド、ネルソン、ハリーは射殺されました。ただ一人デリンジャーだけ行方がつかめていませんでした。
しばらくしてバーヴィスは売春宿の経営者のアンナ・セージに会っていました。デリンジャーがアンナの店に貿易商と名乗って出入りしていることがわかります。そしてポリーという女性に熱を上げていると聞いたバーヴィスは、アンナが不法移民を使っていることを罪に問わない代わりに、デリンジャーを映画館へ呼び出させます。
当日、映画館には赤いドレスを着たアンナが、デリンジャーとポリーを連れて入場していました。赤いドレスの女を目印にし、出てきたデリンジャーをバーヴィスが射殺します。その横ではポリーが泣き叫んでいました。
以上、映画「デリンジャー」のあらすじと結末でした。
FBI指定の”民衆の敵第1号”で、アメリカ犯罪史上、最も有名な銀行ギャング、ジョン・デリンジャーの最後の2年間を、FBI捜査官パービスとの葛藤を中心に描いた映画が、ジョン・ミリアス監督のデビュー作でもある「デリンジャー」。
この映画の視点は、史実に忠実というより、世界的な不況が生んだ庶民の伝説としてのデリンジャーを描こうとしていて、追う者と追われる者のバラードが展開していきます。
卑屈で派手好き、気分屋で無鉄砲、世間の評判を気にするデリンジャーのキャラクター描写が、実に面白い。
彼は、庶民がイメージするデリンジャーらしい行動にこだわり、伝説の人物になろうとしますが、その伝説作りの共犯者としてパービスを位置づけているのも興味深い。
ジョン・ミリアス監督は、すでに頂点を過ぎて滅びに向かいつつある、この伝説のスターを、柔らかい西陽の光の中に捉え、観る者に詩情をかきたててくれます。