テキサスの紹介:1966年アメリカ映画。19世紀中頃、まだテキサスがアメリカに統合される前の時代を舞台に、ある事件に巻き込まれて逃亡中のスペイン貴族と彼を用心棒に雇い入れた武器商人が原住民らとのトラブルに巻き込まれていく様を、原住民の娘や貴族の婚約者との恋愛事情も絡めて描いたコメディ西部劇です。
監督:マイケル・ゴードン 出演者:ディーン・マーティン(サム・ホリス)、アラン・ドロン(ドン・アンドレア・バルダザール)、ローズマリー・フォーサイス(フィービー・アン・ネイラー)、ジョーイ・ビショップ(クロンク)、ティナ・オーモン(ロネッタ)、ピーター・グレイブス(ロドニー・スティンプソン大尉)、マイケル・アンサラ(アイアン・ジャケット)、リンデン・チャイルズ(イエローナイフ)、アンドリュー・プライン(ハワード・シブリー中尉)、スチュアート・アンダーソン(ヤンシー・コトル)、ロイ・バークロフト(モートン)、ノラ・マーロウ(エマ)、リチャード・ファーンズワース(コマンチの呪医)ほか
映画「テキサス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「テキサス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
テキサスの予告編 動画
映画「テキサス」解説
この解説記事には映画「テキサス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
テキサスのネタバレあらすじ:起
1845年、アメリカ・ルイジアナ州。スペインの貴族ドン・アンドレア・バルダザール(アラン・ドロン)は、アメリカ人女性フィービー・アン・ネイラー(ローズマリー・フォーサイス)と結婚式を挙げるためにルイジアナにやってきました。
ところが式の当日、かねてからフィービーに想いを寄せており二人の結婚を快く思っていなかった騎兵隊員のヤンシー・コトル(スチュアート・アンダーソン)が、教会になだれ込んで式を妨害しようとしてきました。
ヤンシーの従兄弟ロドニー・スティンプソン大尉(ピーター・グレイブス)とハワード・シブリー中尉(アンドリュー・プライン)がアンドレアを拘束している間にヤンシーはフィービーに迫り、彼女の元に駆け付けたアンドレアはヤンシーと揉み合いになっているうちに、ヤンシーは2階から転落して事故死してしまいました。
スティンプソンとシブリーは、アンドレアが故意にヤンシーを突き落としたと断定、殺人の濡れ衣を着せられたアンドレアは、フィービーから後で合流するから逃げるように促され、馬に乗ってまだアメリカに統合される前のテキサス共和国へと逃れていきました。
テキサスのネタバレあらすじ:承
アンドレアは途中の町で川を渡る渡し船の運賃を稼ぐため、自慢の射撃の腕前を披露しようと思い立ちました。たまたまその場に居合わせていた入植者の武器商人サム・ホリス(ディーン・マーティン)と、相棒で案内人の先住民クロンク(ジョーイ・ビショップ)はアンドレアの腕前に目を付け、用心棒として雇い入れることにしました。
ちょうどその場にスティンプソンが部下を引き連れて現れたことから、アンドレアはホリスらと共に川を渡って逃走しました。アンドレアはホリスも同じくテキサスを目指していたことから行動を共にすることにしました。
旅の途中、三人はたまたまコマンチ族の呪医(リチャード・ファーンズワース)に拘束されていたコマンチ族の娘ロネッタ(ティナ・オーモン)を見つけて助け出しました。その際、アンドレアは呪医のヘビに足を噛まれ、ロネッタに毒を吸い出してもらいました。
結局一行はロネッタも一緒に連れて行くことにし、そのまま入植者の幌馬車隊に合流しました。ホリスはそこでコマンチ族に服を盗まれたフィービーと遭遇、彼女に一目惚れするも断られました。
一方、コマンチ族の酋長アイアン・ジャケット(マイケル・アンサラ)は幌馬車隊を襲おうと考えていました。実はフィービーの服を盗んだのはアイアン・ジャケットの息子イエローナイフ(リンデン・チャイルズ)でした。
一方、アンドレアはロネッタと共にモカシンの町に入りましたが、その後を呪医がつけていました。アンドレアは住民のモートン(ロイ・バークロフト)らにフィービーが来ているか尋ねたところ、そこに呪医が現れ、コマンチ族はロネッタがアンドレアらに誘拐されたと勘違いしていることが明らかになりました。
ロネッタはコマンチ族の元に戻ろうとし、それをアンドレアが引き留めようとしたことから、アイアン・ジャケットは開拓民側との交渉が決裂したと判断し、イエローナイフを決闘に向かわせました。
アンドレアは決闘を受けて立ち、イエローナイフの銃を撃ちました。この銃声を聞きつけたホリスは幌馬車隊と共にモカシンに向かい、アイアン・ジャケットも戦士たちを率いてアンドレアに襲いかかり、イエローナイフを助けました。この戦いでホリスはイエローナイフの矢を尻に受けました。
テキサスのネタバレあらすじ:転
アンドレアはモートンから勇気を称えられ、土地と牛を譲られることになりました。アンドレアとロネッタは野牛の群れを飼いならそうと挑戦した際、偶然にも“黒い水”の湧き出る池を発見しましたが、これが石油だとは気づきませんでした。一方、ホリスの尻の傷が気になったフィービーは様子を見に行き、彼女が来たことに気付いたホリスはあえて重傷を装って彼女の同情を買いました。
フィービー・アンがモカシンにいることを知ったアンドレアは町に向かい、彼女がホリスの看病をしているところを目撃してしまいました。ホリスはアンドレアがロネッタと一緒にいたことをバラしてしまい、アンドレアもまたフィービーとホリスの関係を疑ったことから、殴り合いとなったホリスとアンドレアは決闘を申し込むことになりました。
折しもテキサスはアメリカに統合され、スティンプソンは騎兵隊を率いてモカシンにが到着しました。アンドレアはフィービーに隠れるよう促され、決闘を延期して逃走しました。ロネッタも逃げるアンドレアについていきました。ホリスはアンドレアを想い悲しむフィービーを慰め、彼女に付き添おうとしましたが、フロイドらから牛集めに誘われ、やむなく付き合うことにしました。
その頃、アイアン・ジャケットは他の部族ををかき集め、開拓民との戦いの準備を進めていました。ホリスは牛を集めて町に戻ったところ、現れたコマンチ族に気づいて急遽戦いに備えました。ホリスはクロンクに騎兵隊を呼びに行かせようとしましたが断られ、遂にコマンチ族の襲撃が始まりました。
町に火が放たれ、アンドレアはロネッタと逃げるうちに彼女が自分に惹かれていることに気付きました。ホリスもまたフィービーが自分に想いを寄せ始めていることに気付いていましたが、もはやそれどころではありませんでした。アンドレアは命を賭けて騎兵隊を呼ぶことにし、スティンプソンンの部隊は逃げるコマンチ族を無視しながら町に入りました。
テキサスの結末
アンドレアは捕らえられ、処刑されることになりました。フィービー・アンはヤンシーが死んだ時の状況をスティンプソンに説明、シブリーが誤ってアンドレアを突き飛ばしたためにヤンシーが転落死したことを証明してみせました。
こうして無実が証明されたアンドレアは無罪放免となり、改めてホリスとの決闘に臨むことにしました。スティンプソンはシブリーに墓穴を掘らせることにしました。
決闘に臨んだアンドレアとホリスでしたが、ホリスはヨーロッパ式の、アンドレアはテキサス式のそれぞれの決闘の仕方がわかりませんでした。こうしているうちに実は二人は互いに殺し合いなどしたくないことに気付き、ホリスがアンドレアを平手打ちして納得することにしましたが、強く叩かれたアンドレアは殴り返してしまい、結局二人は殴り合いを続けました。
その時、二人はフィービーとロネッタが揉み合っていることに気づき、彼女たちを制しました。これはフィービーとロネッタが二人の決闘を止めるために仕組んだことであり、ホリスはフィービーと、アンドレアはロネッタと愛を確かめ合いました。
相変わらず墓穴を掘っていたシブリーは、地面から石油が湧き出てきたことに驚きましたが、石油の価値が分からないホリスは「こんな土地は先住民に戻してしまえ」と呟きました。一部始終を見ていたアイアン・ジャケットもこの土地に興味がなくなり、その場を立ち去りました。
以上、映画「テキサス」のあらすじと結末でした。
この映画「テキサス」は、アラン・ドロンがハリウッドへ進出した頃に、ディーン・マーティンと共演した西部劇のコメディ。
時は開拓時代のアメリカ西部。メキシコの貴族、アランドロンがローズマリー・フォーサイスと結婚式の最中に、失恋した男が自殺したのを、ドロンが殺したと無実の罪を着せられ、お尋ね者となり、武器商人のディーン・マーティンに腕を見込まれ、一緒にテキサスへ逃げることとなる——-。
そして、逃げる途中で助けてやったインディアンの娘、ティナ・オーモンがドロンを好きになるが、ドロンを追って来たローズマリーをマーティンが好きになったので、気位の高い貴族のドロンは対面を保つために、マーティンへ決闘を申し込む。
だが、そこへドロンを追って来た騎兵隊が現われ、決闘どころではなくなり、更に、インディアンの娘ティナを誘拐されたと勘違いしたコマンチ族も来襲し、騎兵隊はドロンを捕まえるどころではなくなるという、もうハチャメチャな状況になってしまうのだ。
そして、この騒動が一段落すると、今度はドロンをめぐってローズマリーとティナが女同士の大乱闘、するとその乱闘の最中に地面から石油が噴き出し、泥んこの乱闘になっていくという、もう破天荒な展開になっていくのだ。
アラン・ドロンは、憧れのハリウッド映画、それも西部劇に出演して、コミカルな味を出していて、よく頑張っていると思う。
しかし、アラン・ドロンは、ハリウッドへ野望を抱いて進出し、一旗揚げようとしたが、時代が1960年代の後半で、既に二枚目俳優のスターの時代は終焉を迎え、アメリカン・ニューシネマの時代を迎えようとしていて、ルックスよりは、より個性的な俳優の時代になりつつあったため、「泥棒を消せ」等の映画も不発に終わり、失意のうちにアメリカを後にする事になる。
そして、母国フランスへ戻ったドロンは、「サムライ」や「冒険者たち」等の映画で、彼本来の魅力を不死鳥のように取り戻し、フランスのNo.1俳優への道をひた走る事になるのです。