Swallow/スワロウの紹介:2019年アメリカ映画。ハンターは金持ちと結婚し大邸宅に暮らし一見幸せそうです。彼女は妊娠し、夫リッチーは大喜びです。しかし、彼女は、夫や彼の両親から無視され幸せを感じずに、異物を飲み込むという異常な行為に幸せを感じ繰り返します。彼女には自分の出生をめぐる深い心の傷がありました。『Swallow/ スワロウ』は、異物を飲むという異常な行動を繰り返す女性の心理と幸せを描いた映画です。Swallowとは「飲み込む」という意味です。
監督:カーロ・ミラベラ=デイヴィス 出演:ヘイリー・ベネット(ハンター・コンラッド)、オースティン・ストウェル(リッチー・コンラッド)、エリザベス・マーヴェル(キャサリン・コンラッド)、デヴィッド・ラッシュ(マイケル・コンラッド)、ライト・ナクリ(ルアイ)、デニス・オヘア(ウィリアム・アーウィン)、ザブリナ・ゲバラ(アリス)、ほか
映画「Swallow/スワロウ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「Swallow/スワロウ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
Swallow/スワロウの予告編 動画
映画「Swallow/スワロウ」解説
この解説記事には映画「Swallow/スワロウ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
Swallow/スワロウのネタバレあらすじ:起・異物を飲むハンターの奇行
豪邸での食事会で、マイケル(デヴィッド・ラッシュ)は息子リッチー(オースティン・ストウェル)の常務取締役への出世を祝います。リッチーはスピーチで、妻のハンター(ヘイリー・ベネット)のおかげだと話します。しかしなぜかハンターには笑顔もなく無表情です。
数日後、ハンターはリッチーと夕食をとりますが、彼女は話を聞いてもらえず不満げな表情です。ある日、ハンターは妊娠していることがわかります。リッチーは大興奮しますが、ハンターは冷静です。
リッチーとハンター、マイケルと妻キャサリン(エリザベス・マーヴェル)は一緒に食事をしますが、ハンターは話を聞いてもらえずに、突然と氷に興味をもって噛み始め、周囲は唖然とします。キャサリンはハンターに、妊娠中に読むと良いと言って本を渡します。ハンターは読書をやめ、ガラス玉を飲み込みます。リッチーは妻の奇行に気づいていません。
数日後、ハンターはトイレに行くと、便の中からガラス玉を取り出します。そしてガラス玉を綺麗にしてテーブルに置きます。ハンターは掃除中に先の尖った物を見つけます。彼女は苦しみながらそれを飲み込みます。ハンターはトイレで今度は便の中から先の尖った物を取り出します。リッチーは、ハンターがトイレで何をしているのかと不信感を抱き始めます。ハンターはその後も異物を飲み続けます。
Swallow/スワロウのネタバレあらすじ:承・異物を飲み続けるハンター
ハンターは妊娠の定期検査で、体の中を調べます。すると医師は異物を発見し、彼女を手術します。そしてハンターの口からいくつかの異物を取り出します。リッチーは病院で彼女に「なぜこんなことをした?」と怒ります。ハンターは「理由はわからない、ただやってみたかった」と言います。
リッチーはハンターを精神科医アリス(ザブリナ・ゲバラ)のもとへ連れて行きます。ハンターは相変わらず理由はわからないと言います。アリスはハンターの少女時代について聞きますが、彼女は多くを語らず「家に帰りたい」と言います。
キャサリンはハンターに野菜ジュースの作り方を教え「異物を飲まないよう」に言います。リッチーはシリア系のルアイ(ライト・ナクリ)を彼女の監視役につけます。ハンターが夕食の準備をしていると、ルアイが駆けつけます。ハンターは「ほっといて」と怒ります。ハンターとルアイは世間話をしますが、戦争のシリアから逃れてきたルアイはハンターに「戦争があれば異物を飲み込むようなことはしない」と言い、ハンターを怒らせます。
ハンターがトイレに行こうとすると、ルアイがボディチェックをはじめます。しかしハンターはトイレで、隠してあった何かを飲み込みます。数日後、ハンターは電池を飲み込んでおり、精神科医アリスのオフィスにいます。ハンターはまたしても理由はわからないと言います。しかしアリスは、ハンターの母親について話したいと言いますが「リッチーの誕生日で忙しい」と、その場を去ります。
Swallow/スワロウのネタバレあらすじ:転・ハンターの出生の秘密
ハンターはリッチーの誕生日パーティでめずらしく明るく振舞います。しかし、彼女はパーティ参加者が異物飲み込みの件を知っていることに驚きます。ハンターはリッチーに「この件は秘密にしておきたかった」と怒ります。ハンターはルアイとも打ち解けていきます。
ハンターはアリスのもとを訪れます。アリスは、ハンターの母のことが気になり聞いてみます。ハンターは「この件は大きな問題にしないで」ということで、出生の秘密を語ります。ハンターは自分は母が強姦されて出来た子供だと話します。ハンターは生みの親ウィリアム・アーウィン(デニス・オヘア)の写真を見せます。アリスは「なぜ中絶しなかったのか?」と聞きますが、ハンターは母は中絶に反対する思想の持ち主だと答えます。
ハンターが家に帰ると、リッチーはアリスと電話で話していました。ハンターは、アリスがリッチーに自分の出生の秘密を話していることにショックを受けます。ハンターは釘を飲みこみ、苦しんで病院で手術を受けます。退院後、リッチーと両親は「妊娠まで病院に入院しろ」と言いますが、ハンターは「自分はよくなっている」と反対します。しかし、リッチーは「入院しないなら離婚する」と告げます。ハンターは入院することを受け入れます。
Swallow/スワロウの結末:ハンターの決断
ハンターは病院に出発しますが、携帯の充電器を取りに行くと言って部屋に戻ります。しかし、ハンターは逃げ出したくなります。ルアイはハンターに同情し、窓から彼女を逃走させます。驚いたリッチーは彼女を探します。
ハンターはヒッチハイクをして、ホテルに逃げこみます。その後ハンターはリッチーと電話で話します。リッチーはハンターに戻ってくるように頼みますが、ハンターは拒絶します。そしてハンターは携帯を壊します。
ハンターは、自分の生みの親であるウィリアムの家を探して訪れます。彼は幼い娘の誕生日パーティのため妻と一緒でした。ウィリアムの妻はハンターの存在を不審に思います。ウィリアムも彼女が誰だかわかりません。しかし、ハンターは自分と母の名前を言います。
ウィリアムは気が動転し「俺の人生をぶち壊すのか?」と言います。ハンターは怒り「なぜ強姦した? 私の事を恥じてるの?」と詰め寄ります。ウィリアムは、この件で逮捕されたことを話し、自分の愚かさを反省しているといいます。ウィリアムは「(ハンターは)悪いことはしていない。」と自分の罪を認めます。
ハンターは中絶をするためクリニックを訪れ、医師から中絶の薬をもらいます。ハンターはカジュアルな服装で安めの食事をして薬を飲みます。ハンターはトイレで自らの血を見て、大企業の重役夫人でなく普通の女性として生きて行く決意を固めたようでした。
以上、映画「Swallow/スワロウ」のあらすじと結末でした。
「Swallow/スワロウ」感想・レビュー
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お金持ちの家庭と結婚した。そりゃあ自分の育った環境と違い、居心地悪いだろう。だけどなぜそんなに卑屈になる?撚ている?
嫌なら離婚したら良いし、またはどんどん吸収して自分も知的になればいい。
とにかく ネガティブな主人公に苛ついた。 楽しい午後の映画時間とはならなかった。 -
大切に育てられはしたものの手放しの愛は与えられなかった主人公
せっかく得られた幸せからも本当の愛を感じることはできなかった。
愛に飢えた上の異食症。
愛のない夫との子どもはレイプで生まれた自分と同じ。宗教上の理由で産んだ実母への思い。結果の堕胎。
有閑夫人の憂鬱→異食症→堕胎の権利
作品が進むにつれてテーマも進化する
女性が幸福に生きるには堕胎が必要な時もある。
最後のトイレのシーン。女性が次々に出入りする。その一人一人に自身を幸せにする権利がある。
最終的に堕胎の権利を謳った映画と思えた。 -
どこまでも卑屈で、どこまでも自分勝手な女の話だと思った。
夫に無断でトイレで糞でもするように堕胎して
スッキリしたとばかりにニヤケながら立ち去る終わり方は
今まで見て来た映画より、胸クソ悪くなった。子供の半分は母からもらうので、
結果、夫にとっては良かったと思うし、
さすがに目がさめて離婚したと思うので、
夫にとっては、ある意味、グッドエンドだろうが
子供が可哀想すぎる。女性が不利益を被る場合には、目くじら立てるのに
逆は、許されるような風潮は、恐ろしいと感じた。
【ネタバレを含みます】
本当にたくさんの人に、単に異食症の映画と思われて敬遠されるとしたら勿体無い映画。
主人公ハンターの異食症のきっかけになるようなことばかりではなく、この映画には世界中の男性優位社会の女性のことがいたるところに描き込まれている。
うっかりするとあまりにその状態が「普通」すぎるために、もしかしたら気づかないほど。当然になりすぎた抑圧に、もし意識を向けないとすれば。この映画のその部分を丸ごとスルーできるとすれば、それはおそろしいことだなと思いました。
主人公ハンターが苦しむこと、苦しんだことのきっかけの多くは、女性であること(この男性優位社会で、)です。
異食症を通して理解してもらえない者の苦しさのようなことも描かれているのは本筋であるのでしょうが、ほぼ同じくらいの比率で、女の苦しさや不自由を描いていると思いました。ラストはある意味での自己決定の自由ですが、日本ではまだこのような自由を手にすることが他の先進国に比して簡単ではありません。
予告やあらすじなどでは触れられていないため、この男性優位社会における女性の普通という部分を発見をすることで、なんともいえない、いい意味での裏切られた感じがありました。予告編からのイメージから、観ることでたくさん裏切られて欲しい映画でした。