ザ・キープの紹介:1983年イギリス映画。F・ポール・ウィルソンの同名小説を映画化。謎の城塞(キープ)で蠢く魔物の恐怖を描いたホラー&サスペンス。1941年、ルーマニアの寒村に駐留したドイツ国防軍は、村にある城塞で寝泊りすることになった。かなり古いものらしいが、誰が何の目的で作ったのか全く分からない。その夜、2人のドイツ兵が怪死を遂げた。それをきっかけに兵士が次々と何者かに殺害されていく。ナチス親衛隊の命令で謎の解明に取り掛かったユダヤ人歴史学者クザ教授の前に、キープに封じ込められていた魔物モラサールが現れる。
監督:マイケル・マン 出演者:スコット・グレン(グレッケン・トリスメグストゥス)、イアン・マッケラン(テオドール・クザ教授)、アルバータ・ワトソン(エバ・クザ)、ユルゲン・プロフノウ(クラウス・オアマン大尉)、ロバート・プロスキー(ミハイル・フォネスク神父)ほか
映画「ザ・キープ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ザ・キープ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ザ・キープの予告編 動画
映画「ザ・キープ」解説
この解説記事には映画「ザ・キープ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ザ・キープのネタバレあらすじ:謎の城塞
1941年のルーマニア、トランシルヴァニア地方。クラウス・オアマン大尉率いるドイツ国防軍の分遣隊が霧深い寒村に到着しました。戦略に重要な山道を守るのが彼らの任務です。オアマン大尉は、村にある城塞(キープ)を拠点とすることにしました。キープに入ってみると、ここをずっと守護しているという村の老人アレグザンドルが現れます。
彼は先祖代々キープを守っているそうですが、持ち主も作られた理由も分からないと話しました。キープの壁には108ものニッケルの十字架が埋め込まれており、アレグザンドルは決して十字架に触れてはならないと忠告します。キープは外壁が簡単に登れるようになっており、むしろ内部の方が堅牢な造りになっていました。
キープは外敵から守るためのものではないと話し、アレグザンドルはオアマン大尉達に去るよう忠告します。オアマン大尉はその忠告を聞き流し、1日目の夜が来ました。見張りの兵士2人が、銀の十字架の噂を聞いて壁ごと抜き取ってしまいます。壁の先には無限にも思える空間が広がっていました。すると謎の光が溢れ出し、2人の兵士は命を奪われてしまいます。
同時刻、ギリシャのピレウスで1人の男性が目を覚ましました。彼の名前はグレッケン・トリスメグストゥス。邪悪な気配を感じ取ったグレッケンは、すぐにキープへ向かいました。
ザ・キープのネタバレあらすじ:ユダヤ人親子
キープでは夜毎兵士が怪死を遂げ、既に5人が命を落としています。オアマン大尉から報告を受け、村にナチス親衛隊が到着しました。隊長のケンプヘルは、キープでの殺人は村にパルチザンが潜んでいるものと考え、見せしめに村人を3人銃殺します。そして今後兵士が1人死ぬごとに、村人を5人殺害すると宣言しました。
同盟国の一般市民を殺害したことに、オアマン大尉は激怒します。兵士達の異様な遺体を目にしてきたオアマン大尉は、村人の仕業ではなく、キープに潜む何者かの犯行だと睨んでいました。ケンプヘルはキープの壁に書かれた謎の言葉に注目します。
ケンプヘルに脅された村の神父ミハイル・フォネスクは、この村の出身でキープの研究をしていたという歴史学者テオドール・クザ教授なら読めるかも知れないと答えました。彼はユダヤ人であるため、娘のエバと共に強制収容所にいます。ケンプヘルはすぐに親子をキープに連行させました。
クザ教授は病で歩くこともままならず、実年齢より20歳ほど老けて見えます。クザ教授は、壁の言葉はグラゴル文字で書かれた古代スラブ語だと言いました。意味は「我を解き放て」。500年も前の死語をパルチザンが使用するとも思えず、ケンプヘルは3日以内に犯人を見つけ出せとクザ教授に命令しました。
オアマン大尉は、犯人の正体を突き止めてくれれば安全にブカレストへ逃がすと親子に約束します。ミハイル神父は、親子を何とかしてこの地から逃がそうと考えていました。不穏な気配を感じ取った彼は、クザ教授に十字架を差し出します。
ザ・キープのネタバレあらすじ:古代の魔物
夜。食事を取りに行ったエバは、廊下で2人の兵士に襲われました。そこに濃い煙のようなものが現れ、エバは気絶してしまいます。煙を纏う何者かは兵士を殺害し、エバをクザ教授の部屋へ送り届けました。クザ教授が驚いていると、煙の中から声がします。それは太古の魔物モラサールでした。
モラサールは協力者を必要としてクザ教授の前に現れたのです。モラサールに掴まれたクザ教授は衝撃で気絶し、翌朝目覚めると病が完治していました。新たに兵が2人死亡したことで、エバは安全のためキープを出て村の宿屋に移ることになります。親子に同情的なオアマン大尉に、クザ教授はきっと必要な時が来ると話してミハイル神父の十字架を渡しました。
村で宿を取ったエバは、そこでグレッケンと出会います。2人は急速に惹かれ合い、情熱的に体を重ねました。モラサールは再びクザ教授の前に現れ、ナチスに対する彼の憎しみを煽ります。モラサールは、キープに隠されている自分の“力”の源泉を持ち出し、山に隠して欲しいと言い出しました。ドイツ兵に害されないようにするためです。それが成された暁には、自分はキープを出て邪悪な連中を滅ぼすと約束しました。
クザ教授はナチスへの復讐心からモラサールと手を組むことにします。村に漂い始める不気味な気配に、ミハイル神父は気が狂ったようにクザ教授を糾弾しました。キープを抜け出したクザ教授は、エバに早く村から逃げろと言います。そこにグレッケンが現れました。彼はクザ教授がモラサールと約束したことを見抜いています。
モラサールの話は嘘で、力の源泉というのは自分が設置した魔除けのことだと説明するグレッケン。それがキープから持ち出されれば、モラサールは人間の世界に解き放たれてしまうそうです。グレッケンの話を信じないクザ教授は、キープに戻りケンプヘルにグレッケンのことを報告しました。
ザ・キープのネタバレあらすじ:グレッケンの宿命
グレッケンはエバに、自分はずっとモラサールが解き放たれないよう見張ってきたのだと説明しました。モラサールが力を強めた今、相討ち覚悟で滅ぼさなくてはならないのだと。悲しむエバを抱きしめると、そこに親衛隊が踏み込んで来ました。抵抗したグレッケンは銃撃され、崖の下に落ちてしまいます。
オアマン大尉は自分達全員の死を覚悟していました。ケンプヘルは反発し、勇気と非情こそが歴史を作るのだと熱弁します。オアマン大尉は幻想だと吐き捨て、我々の全てがこのキープでは現れると言いました。ケンプヘルのような汚れた精神が、怪物をここに解き放ったのだと。そこに兵士達の悲鳴が響きます。
十字架を取ろうとしたオアマン大尉を、ケンプヘルは背後から射殺しました。その手から十字架を奪って悲鳴の方向へ行ってみると、ドイツ兵が全員異様な死を遂げています。逃げ惑うケンプヘルの前にモラサールが現れました。モラサールは事も無げに十字架を丸め、ケンプヘルを殺害します。
ザ・キープの結末:最後の戦い
クザ教授はついに力の源泉を発見しました。キープから持ち出そうとすると、立ちはだかったのはエバです。それはグレッケンの魔除けでモラサールの力などではないこと、このままではクザ教授の魂まで変わってしまうことを言い募りました。モラサールはエバを殺害するようクザ教授に命令します。クザ教授はその命令ではっと我に返りました。
クザ教授は、自分の物なら自分で持ち出せと魔除けをモラサールに突き出します。モラサールは邪悪な魔物であり、キープはモラサールを閉じ込めるための牢獄だと理解したクザ教授。モラサールは光を放ってクザ教授を突き飛ばし、エバと一緒に葬り去ろうとします。
そこにグレッケンが現れました。彼は魔除けを武器にしてモラサールと対峙します。魔除けから強力な光が溢れ出し、壁の十字架が反応します。光に貫かれたモラサールは再びキープに閉じ込められました。しかしその代償として、グレッケンも壁の向こうに吸い込まれてしまいます。
戦いが終わると、ミハイル神父達がやって来てクザ教授を助け起こしました。エバがキープを振り返り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ザ・キープ」のあらすじと結末でした。
原作者が作品の出来に激怒したそうですが
それなりに纏められていて大好きです。
残念ながら複雑な理由によりテープソフトしか出ていないので
早く決着を付けて「板化」して欲しいです