小間使の紹介:1946年アメリカ映画。居場所をわきまえない労働者階級の若い娘クルニー・ブラウンと、居場所のない亡命者アダム・ベリンスキー。ロンドンのアパートの詰まった水道パイプが恋をとりもつ。階級社会をあてこすり自由を讃えるコメディ。「ルビッチ・タッチ」が名高い巨匠エルンスト・ルビッチが生前最後に完成させた作品。「ルービッチュの小間使 クルニー・ブラウン」というタイトルでDVDが発売されている。
監督:エルンスト・ルビッチ 出演者:シャルル・ボワイエ(アダム・ベリンスキー)、ジェニファー・ジョーンズ(クルニー・ブラウン)、ピーター・ローフォード(アンドリュー・カーメル)、ヘレン・ウォーカー(ベティ・クリーム)、レジナルド・ガーディナー(ヒラリー・エイムズ)、C・オーブリー・スミス(チャールズ・ダフ・グレアム大佐)、レジナルド・オーウェン(ヘンリー・カーメル)、リチャード・ヘイドン(ウィルソン氏)そのほか
映画「小間使」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「小間使」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
小間使の予告編 動画
映画「小間使」解説
この解説記事には映画「小間使」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
小間使のネタバレあらすじ:クルミにリス
1938年6月の日曜日の午後、ロンドンの広いアパートに住むヒラリー・エイムズは、カクテルパーティーの客が来るのを待っていたが、突然流しが詰まった。エイムズは配管工を呼んだがなかなか現れない。
やっと配管工が来たかと思ったら、それは教授が今スコットランドにいると知らずに友人のリー教授に会いに来たチェコ人、アダム・ベリンスキーだとわかる。続いて配管工の姪クルニー・ブラウンがやって来る。
クルニーは、おじがすぐに来られないけれどお急ぎのようなのでと、勝手に来てしまったのだ。おじを見て仕事はわかっていると言うクルニー。エイムズは半信半疑だが、べリンスキーに冒険してみろとそそのかされて、彼女に流しを見せる。
「アーンおじさんに、お前は居場所を心得ないと言われるの」と言うクルニー。「君が幸せならそこが君の居場所だよ。そして幸せは人それぞれ。リスにクルミをあげるが幸せな人もいるし、クルミにリスをあげるのが幸せな人もいる」と言うベリンスキー。
二人の無駄話にエイムズは心配になるが、クルニーがパイプをバンバンと叩いて見事に流しから水が流れるようになる。クルニーの初仕事の成功をマティーニで祝うが、酔っぱらってクルニーがソファに寝転がったところに、アーンおじさんがやっとやってくる。
酔ってソファに横になる姪の横に、二人の紳士がいる状況を誤解して怒ったアーンおじさんは、報酬も受け取らずクルニーを連れ帰った。
カクテルパーティーのもっとも大事な客であるベティ・クリームは、別室で昼寝をしている男を発見する。彼女の取り巻きの若者、アンドリュー・カーメルとジョン・フルーウェンは、それが作家で反ナチの活動で著名なベリンスキーであると気づく。
ベリンスキーがはるばるロンドンに逃げていたとは。ヒトラーの手の届かない安全な場所にベリンスキーをかくまうべきだということになる。
小間使のネタバレあらすじ:田舎での再会
クルニーは地方にあるお屋敷の小間使の仕事をあてがわれる。嫌がるクルニーをアーンおじさんは断固として許さず、自分の写真だけを持たせて送り出す。
列車の中でクルニーは、グレアム大佐という老人とその愛犬と仲良くなる。駅でカーメル屋敷に行くと言うと、近所の友人の家だからと、老人を迎えに来た自動車で送ってくれることになる。
カーメル屋敷にはアンドリューがやってきて、両親にその夜到着して長期滞在するベリンスキーの保護を託してロンドンにとんぼ返りする。
入れ替わりにグレアム家の自動車でクルニーが到着。ヘンリーとアリスのカーメル夫妻は、友人の連れてきた娘が新採用の小間使とわかるまで、彼女をしばらくお茶やお菓子でもてなしてしまう。
夜、初めてディナーに食事を運んだクルニーはベリンスキーを見てびっくり。「リスにクルミ」と叫んで皿を落としてしまう。べリンスキーはシェークスピアを引用してヘンリーや執事のシレットを説得し、クルニーの解雇を阻止する。
クルニーは部屋でしくしく泣きながらアーンおじさんへの手紙を書いていたが、窓からベリンスキーが入ってきてクルニーを慰める。
小間使のネタバレあらすじ:クルニーの縁談
ある晴れた水曜日の午後、ベリンスキーは街を機嫌よく歩いているクルニーに会う。彼女のお休みは水曜の午後3時から7時までだった。 てっきり今日は二人で過ごせると思ったベリンスキーだったが、クルニーには先約があった。
女中頭のメイリーさんのリウマチの薬を取りに行って、薬剤師のウィルソン氏にみそめられ、今日はウィルソン氏と彼の母親にお茶に招かれたのだった。近在で唯一の薬局を所有し、多趣味で消防団長でもあるウィルソン氏の瀟洒な部屋に通されるが、母親は咳払いしかなしないうちに眠ってしまう。
クルニーとベリンスキーはお互いに友だちでいましょうと決めていたのだが、ベリンスキーは堅苦しいウィルソンを見て自分の方がましだと嫉妬を感じる。でも、私は孤児だったので母親のいる生活に憧れるのと言うクルニーを見て、ウィルソン氏との結婚を邪魔せずにクルニーの幸せを願うことにする。
小間使のネタバレあらすじ:クルニーまた失敗
帰郷したアンドリュー・カーメルはウィルソンの薬局の前でベリンスキーを見つけて自動車に拾う。ベリンスキーは自分がイギリスでナチに命を狙われることなどないと説明するが、アンドリューはなかなかわかってくれない。
アンドリューはロンドンでベティ・クリームと喧嘩をして帰って来たのだが、何と乗馬中のベティに出くわす。アンドリューは彼の母が、週末ベティを屋敷に招いていたことを知らなかった。
その晩、クルニーはウィルソン氏の母の誕生パーティーに招かれていた。パーティーでウィルソン氏はクルニーを婚約者として紹介するのを後の楽しみに取っておく。ところが洗面所のパイプがひどい音を立て始める。
クルニーはハンマーでパイプを叩いて直してしまうが、喜んだのは小さな男の子だけ。クルニーの中流家庭の夫人にふさわしくない行動のせいで気まずい雰囲気になり、母親は寝室に引っ込み、パーティーは直ちにお開きになる。
その夜、ベティが寝室のベッドの上で本を読んでいるとベリンスキーが入ってくる。ベティとアンドリューの仲を取りもとうとしたのだ。でも、叫び声を出すわよとベティが言うのにもかかわらず、しつこく説得しようとしたため、本当にベティが叫び、屋敷の人たちが皆集まってしまう。
だが、この後カーメル夫人はベティと二人きりになり、ベティが息子と結婚するつもりであることを確認できた。ベリンスキーの無作法なふるまいが功を奏した。
小間使の結末:居場所を見つけたクルニー
翌朝、ベリンスキーはカーメル家を去ることを皆に告げる。「手紙はロンドン局留めで」と言って、惜しまれながらベリンスキーは去っていく。ただし気分が悪いと、メイリーさんから聞いたクルニーには別れを言わなかった。
ベリンスキーが去ることを知ったクルニーは、黒い絹の靴下のプレゼントのお礼を言わなければと駅へ走る。辛うじて列車の出発に間に合ったクルニーは、ベリンスキーに昨晩の失敗を話す。
「でもウィルソン氏は次のチャンスをくれました、へまをしなければウィルソン夫人になれそう」と寂しそうに言うクルニーだったが、ベリンスキーに促されるままに、走り出したばかりの列車の個室に乗ってしまう。
ベリンスキーはクルニーの小間使用の帽子やエプロンを車窓から投げ捨てる。
やがて、ニューヨークの書店のショーウィンドウにベリンスキーの書いたミステリー小説が並ぶのを、ベリンスキーと、ベリンスキー夫人になったクルニーが見ることになるのだった。
以上、映画「小間使」のあらすじと結末でした。
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