マンディンゴの紹介:1975年アメリカ映画。奴隷制度が元で南北戦争になってしまう20年前、19世紀半ばのルイジアナの大農園。そこでは黒人奴隷を育て、やがて売買されていました。その農場主マクスウェルと彼ら一族が巻き起こす奴隷問題に深く切り込んでいった作品です。
監督:リチャード・フライシャー 出演:ジェームズ・メイソン(ウォーレン・マクスウェル)、スーザン・ジョージ(ブランチ・マクスウェル)、ケン・ノートン(ミード)、リリアン・ヘイマン(ルクレチア・ボルジア)、ペリー・キング(ハモンド・マクスウェル)、ブレンダ・サイクス(エレン)、ロイ・プール(ドク・レッドフィールド)、ポール・ベネディクト(ブラウニー)、リチャード・ウォード(アガメムノン)、ベン・マスターズ(チャールズ)、ほか
映画「マンディンゴ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マンディンゴ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
マンディンゴの予告編 動画
映画「マンディンゴ」解説
この解説記事には映画「マンディンゴ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マンディンゴのネタバレあらすじ:起
ルイジアナ有数の大農園であるファルコンファースト農園。綿花や農作物の収穫で名の高いこの農園では、奴隷を雇い、そこで育てて身売りに出すという奴隷売買が行われていました。
当主であるウォーレン・マクスウェル(ジェームス・メイソン)は、実質的な農園経営は息子であるハモンド(ベリー・キング)に任せ、悠々自適な生活を過ごしていました。
ウォーレンは、早く息子ハモンドが白人の嫁をとり、跡取り問題をクリアにして早く安心したいという気持ちがありました。
マンディンゴのネタバレあらすじ:承
ある日、ハモンドは叔父ウッドフォード(スタンリー・J・レイエス)との借金を帳消しにする条件で、彼の娘ブランチ(スーザン・ジョージ)と見合いをすることになりました。
父ウォーレンは喜び結婚を承諾しますが、ハモンドは叔父の家にいた黒人女性のエレン(ブレンダ・サイクス)に一目惚れをしてしまいます。
しかしその後、ブランチと結婚したハモンドはハネムーン先のニューオーリンズの奴隷市場で、黒人のサラブレッドというべきマンディンゴのミード(ケン・ノートン)を競り落とします。
その後ブランチとの初夜を迎えたハモンドは、ブランチが処女ではないことを知りショックを受けました。女性の初めての相手を務めるのは主人の役目だと考えていたハモンドにとっては、結婚の意義を考えるほど大きな衝撃となったのです。
マンディンゴのネタバレあらすじ:転
そんな気持ちのまま農園へ戻ったハモンド。結局一目惚れしたエレンを自分の農園に連れてくる事にしました。ハモンドはブランチへの怒りを、ミードを鍛える事、そしてエレンを夜ごと激しく抱く事で発散することにしたのです。
ブランチもそんなハモンドを不快に思い、嫉妬心をエレンに向け、鞭打つ事で、その気持ちを発散させ、さらにはミードを誘惑すると、その予想以上の快楽に溺れていきます。
ハモンドとの情事でブランチとの子を妊娠していたエレンは、度重なる暴力が原因で流産してしまいました。そしてミードとの情事を重ねていたブランチもやがて妊娠してしまいます。
マンディンゴの結末
やがてブランチは子供を出産しました。しかし生まれてきた子供の肌の色は黒く、それを見たウォーレンは激情し、生まれてきた子供を殺してしまいます。もちろんハモンドも怒りがおさまりません。
その怒りはブランチに向き、ブランチを毒殺する決意をします。そして矛先はミードにも向かいます。ハモンドはミードに銃を向け、熱く煮えたぎった熱湯の中に入るよう命じます。さすがのミードにはこれに応じることは出来ません。逆らったとみなし、ハモンドはミードを殺してしまいます。
その一部始終を見ていた同じ奴隷のアガメムノン(リチャード・ウォード)が見ていられなくなりハモンドの銃を奪うと、もうこんな事はやめるように懇願します。しかしこれを裏切りだと見なしたウォーレンが、アガメムノンに罵声を浴びせると、アガメムノンはウォーレンを射殺して逃亡しました。
全てを失ったハモンドだけがその場に残されました。
それから20年後、奴隷開放を巡って南北戦争が起きることになります。
以上、映画「マンディンゴ」のあらすじと結末でした。
“アメリカ南部の奴隷制度に潜む、階級社会と人間、その文化的な歪みを描いた問題作「マンディンゴ」”
このリチャード・フライシャー監督の「マンディンゴ」は、アメリカ最大のタブーである、アメリカ南部の奴隷制度の闇へ切り込んだ、衝撃の問題作だ。
“もうひとつの風と共に去りぬ”と、公開当時の宣伝文句で言われていたように、あの映画史に燦然と輝く、不朽の名作「風と共に去りぬ」の裏側に隠された、アメリカ最大のタブーである、アメリカ南部の奴隷制度の実態を暴いた作品だ。
1808年の奴隷輸入禁止令により、黒人奴隷を牧場で飼育して、売買し始めたアメリカ南部。
その中の、ある一家を舞台にして斜陽化する白人と、権利に目覚める黒人階級の葛藤、人種を超えた男と女の愛や憎しみなどを、これでもか、これでもかという刺激的な場面の連続の中に描き出していくのです。
とにかく、この映画はアメリカ史の恥部と言われる、黒人奴隷たちの受難の様をショッキングな映像と共に描いていくわけですが、彼ら黒人たちは、もちろん人間として扱われることはなく、ローマの剣闘士さながらの闘う奴隷であり、性的な玩具であり、農作機械であり、果ては主人の足の神経痛治療のための人間アンカであったりしたのです。
残酷な見世物的なシーンの連続で、アメリカ南部の黒人奴隷制度の悪を告発するというより、残酷が興味本位に流れ過ぎているという感がなきにしもあらずですが、これは考えてみると、映画というものの、自己の犯した悪さえも、一種の見世物にしてしまうという、商業主義的なたくましさのなせるワザなのかも知れません。
そして、この事は製作者がアメリカ人ではなく、イタリア出身の大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスであった、という事と関係しているのかも知れません。
マンディンゴという”良質”な黒人奴隷種で、賭け闘技の戦士になる若者を、元ボクシング、ヘビー級チャンピオンのケン・ノートンが演じていますが、彼の屈強な肉体が、奴隷たちの”不屈の魂”といったものの存在感を見せているのだと思います。