クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的の紹介:2017年スペイン映画。マドリードのとあるカフェから出た客が撃たれるという事件が発生。事件裏に隠された重大な秘密に気づいた店員と客たちによるサバイバル。果たして彼らは生還できるのか?
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア 出演者:ブランカ・スアレス(エレナ)、マリオ・カサス(ナチョ)、ジェイム・オルドネス(イスラエル)、カルメン・マチ(トリニ)、セクン・デ・ラ・ロサ(サトゥル)、テレール・パベス(アンパロ)、ホアキン・クリメント(アンドレス)、ほか
映画「クローズド・バル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クローズド・バル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的の予告編 動画
映画「クローズド・バル」解説
この解説記事には映画「クローズド・バル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クローズドバル 街角の狙撃手と8人の標的のネタバレあらすじ:起・謎の狙撃事件
マドリードの繁華街の交差点でにぎわうカフェ。注文もせずにトイレだけ使う客に、店主のアンパロが文句を言っていると、店を出た客が突然頭を撃ち抜かれた。
唐突な出来事に外を見てみると、交差点の他の店先にも、上階にも誰もいなかった。警察へ電話をしようにも電波がなく、撃たれた男を助けようと清掃員の男が店を出ると、彼もまた頭を撃ち抜かれた。
テレビをつけても、マドリードの中心街の銃撃事件の速報もなければ、報道陣もやって来ない。奇妙さを話し合っているうちに、いつの間にか二つの遺体は消え、血も洗い流されていた。
狙撃の正確さに、撃っているいるのは警察でこの店の中に追跡中のテロリストがいるのではないかと、ある客が言いだすと、カウンターでパソコンをいじっていたナチョの鞄から出て来た、爆弾に見えなくもないハードディスクを、若い女性客エレナが容赦なく踏みつぶした。
さらにカウンターの上に乗せられたビジネスマンの鞄を怪しいと見て開けると、女性下着の営業マンのサンプルだった。
クローズドバル 街角の狙撃手と8人の標的のネタバレあらすじ:承・トイレの男
トイレに入った男が出てこないと気づき、元警官の男が銃で鍵を撃ち壊し中に入ると、中で男が注射器を片手に倒れていた。
薬物中毒にも見えるが、耳から血を流すのはおかしいと思っていると、店の前にやって来たトラックから、マスクをつけた人々が店の前にタイヤを積み、燃やした。すると、テレビからはマドリード市街での火災の速報が流れた。
担ぎ出したトイレの男は、すさまじい形相で血を流して死んでいた。そして、持っていたスマホから、彼はアフリカで医療活動をしていた大尉で、エボラと思しき感染症にかかり隠蔽しようとしているのではないかという疑いが浮上した。
カフェの中に寝かせた遺体を信心深いイスラエルが弔い、客たちがなんとか落ち着いた頃、店の隅に電波が入る所を見つけたナチョは、自社のマスコミ担当に掛けたが、従業員のサトゥルも妻に掛けたいともみ合いになった。
その隙にアンパロは、元警官と下着屋と共にカウンターの内側に入り、遺体に触れたイスラエル、エレナ、ナチョ、サトゥル、常連のトリニを警官の銃で脅し、遺体ごと地下の貯蔵室へ隔離して閉じこめた。
クローズドバル 街角の狙撃手と8人の標的のネタバレあらすじ:転・上と下の明暗
閉じこめられた面々がなんとか逃げ出そうと、発見した下水道へイスラエルを降ろそうとしていると、上で銃声がし、店内が燃やされている気配がした。そして店内の様子を見ようと扉に触れたトリニは、手のひらに大やけどを負ってしまった。
静かになったのを見計らってナチョが扉を開けてみると、焼けた店内に他の三人はおらず、店は外からビニールや規制線で覆われていた。先に店内に上がったナチョは、落ちていた元警官の拳銃を背中に隠した。
皆、貯蔵室からあがり、店内に落ちていた大尉の携帯メッセージから、彼が感染症のせいで尾行され、血清を持っている事を知った。トイレには四つの血清の入ったケーズが落ちていた。
しかし、感染の可能性があるのは5人。くじで決めるか、4人分を5人で分けるか話し合っていると、イスラエルが一人で勝手に一本を打った。それを怒ったナチョと乱闘になった拍子に、血清の入ったケースは貯蔵庫へ転がり、さらに下水道まで落ちてしまった。
クローズドバル 街角の狙撃手と8人の標的の結末:下水道の中で
一番身体が細いという事で、下水道へ下ろされたエレナは、無事に血清のケースを確保した。しかし引き上げるためのコードを下ろされても、自分が上がる前に使われるのを疑い、上にいるナチョたちに降りて来い言って、下水道の中を他の出口を探して走り出した。そして、外の明かりの入ってくる壁を見つけ、そこに血清を隠し、外をうかがうと、店の外で遺体が燃やされていた。
下水道への穴を広げて下に降りた残りの面々。イスラエルとナチョが下水道の水の中に落ちると、銃声がしてナチョだけが拳銃を持って水から這い上った。彼はイスラエルを殺していないと言うが、誰も信じなかった。
そして、エレナを銃で脅し、真っ暗ななか血清を隠した場所まで案内させる途中、トリニは暗さに紛れてサトゥルを下水で溺れさせようとしていた。残り三本の血清のために、一人減らすつもりだったが途中でバレてしまうと、罪の意識を感じたトリニは銃を受け取り、自死するために暗がりに消えた。
銃声を聞いたエレナ、ナチョ、サトゥルの三人は、壁に隠してあった血清を各自に分けたが、奇妙な物音に引き返すと、トリニの遺体の目にコインが置かれていた。それは生きていたイスラエルが施したもので、彼はサトゥルを殴り殺し、ナチョとエレナを追いかけ回した。
外に出られるマンホールに続くはしごを上っていると、イスラエルもそれを上り、ナチョは血清を落としてしまったエレナに自分の分を託すと、イスラエルと一緒に下水道に落ちて死んだ。
注射を打ち、マンホールから出たエレナを、通りすがる人々は奇異の目で見たが、女性が一人コートを掛けてくれただけで、何事もなかったようにマドリードの町は、せわしなく人が行きかっていた。
以上、映画「クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的」のあらすじと結末でした。
クローズドバル 街角の狙撃手と8人の標的のレビュー・考察:街の喧騒と隠蔽
血清の奪い合いで見えてくる、人を陥れてでも生き延びようとする人の根底にある生存本能とエゴが、極限状態になる事によって剥き出しになる様は、はたから見ると狂っているように見えなくもないが、襲撃されなかった人物たちによって、導きだされた感染症の隠蔽と言う襲撃理由がじわじわと明らかになる過程が非常に不気味。そして何より恐ろしいと思ったのは、街中のカフェで襲撃事件が起きたと言うのに、たった一人下水道から生還したエレナを見る待ちゆく人々の都会特有の無関心さ。ボロボロになった彼女を気に掛けたのはコートを掛けてくれた婦人だけ。きっと隠蔽のために人が死に、街角からカフェが消えた事も気に留めず、大都会の日常は変わらず続いていくのだと思うと、それが何より恐ろしいと思った。
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