第七天国の紹介:1927年アメリカ映画。下水道掃除夫だが自信満々でいつも上を目指しているチコと、薄幸の娘ダイアンが出会い、やがて恋が芽生える。しかし戦争が二人を引き裂いた。サイレント映画時代の掉尾を飾る世界的ヒット作となった、手のこんだセットが名高い、でも素朴で繊細なメロドラマ。無名俳優から一躍スターとなったジャネット・ゲイナーとチャールズ・ファレルは計12作品で共演することになる。第1回アカデミー賞でフランク・ボーゼイギに監督賞、ベンジャミン・グレイザーに脚色賞をもたらし、ゲイナーも本作品と『街の天使』(やはり監督ボーゼイギでファレルと共演)、『サンライズ』の演技により女優賞を受賞した。
監督:フランク・ボーゼイギ 出演者:ジャネット・ゲイナー(ダイアン)、チャールズ・ファレル(チコ)、デヴィッド・バトラー(ゴバン)、ベン・バード(ブリサック大佐)、アルバート・グラン(ブウル)、ほか
映画「第七天国」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「第七天国」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
第七天国の予告編 動画
映画「第七天国」解説
この解説記事には映画「第七天国」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
第七天国のネタバレあらすじ:起・7階の天国
パリの貧民街。チコはパリの地下にある下水道の掃除夫をする若者。彼の夢は道路掃除夫になって地上で働くことです。一方ダイアンは、飲んだくれの姉ナナに鞭打たれる日々を送っている娘です。
ある日、おば夫婦が植民地から金持ちになって帰国して姉妹に会いに来ました。姉妹は掃除をして二人を迎えます。でも、肉親との再会を喜ぶおばさんと違って、おじさんはダイアンに「ナナとお前はきよらかで真っ当な生活をしてきたか」と問い詰めます。ダイアンが首を横に振ると、堕落した姪は引き取れないと、はした金だけを投げ捨てて、同行したブリサック大佐と共に帰ってしまいました。
怒りに震えてナナはダイアンを鞭打ち街で追い回し首を絞め始めます。ダイアンを救ったのはマンホールから出てきたチコでした。
無気力にしょげ返っているダイアンの横で、チコが同じ下水掃除夫のラットや、タクシー運転手のブウルおやじと食事をしているところにシュヴィヨン神父が現れ、チコが願っていた道路掃除夫に任命するカードを渡し、記念にメダルをプレゼントします。
ダイアンは自殺を試みてチコに止められますが、そこに警察につかまったナナが通りかかります。妹を見て、私と同じ身持ちの悪い女だからあいつも逮捕しろと言います。チコはダイアンが「自分の妻だ」と嘘をつきますが、警官は後でチコの家に確認に行くと言います。ウソがばれたらせっかく手に入れた道路掃除夫の仕事をなくしてしまうと困るチコにダイアンは、警察が来るまであなたの家にいると申し出ます。
チコはダイアンに真に受けないように釘をさすものの、ふざけてブウルおやじに「チコ夫人」を紹介しおやじの愛車でアパートに帰りました。
長い階段を上った7階にチコの部屋があります。自分は空の近くに住んでいると自慢するチコ。星空を見てダイアンは「天国ね」と言います。ダイアンは服を脱いでベッドに寝ますが、チコは床の上で一人寝ます。チコは威張っているけどいい人なのです。
第七天国のネタバレあらすじ:承・天国から戦場へ
翌朝チコが目覚めるとダイアンがコーヒーを用意していて、チコの身支度を手伝います。先輩道路掃除夫のゴバンさんが隣の建物から渡し板の上を歩いてやってきます。出勤前に奥さんにキスをしろと言われ、チコはダイアンにキスをして出勤し、ゴバンさんから仕事を教わります。
やがて家に刑事が来てダイアンがちゃんといることを確認します。自分の用は済んだとアパートから立ち去ろうとするダイアンをチコが呼び止め、俺のじゃまをしなければいていいと言うのでした。
ある日、チコは白いドレスをダイアンに買ってきます。「チコとダイアンがいれば天国だ」というチコ。ダイアンは身重のゴバン夫人にスープをもっていくついでにゴバンさんのアパートでドレスに着替えることにします。
そのとき街が騒がしくなります。開戦の告知があったのです。ゴバンさんはチコに自分たちの連隊はすぐに出動することを教えます。チコは、自分は無神論者だからと放っていた、前にシュヴィヨン神父からもらった二枚のメダルを、着替えて戻ってきたダイアンと分けて二人だけの結婚式をします。そして白いドレスのダイアンの姿をみつめてから、毎朝この時間、11時に俺は君の所に帰ってくると約束して兵営に向かいました。
チコと入れ違いに姉のナナが部屋に入ってきて、ダイアンの首からメダルをひったくりますがダイアンはもう昔の弱いダイアンではありません。姉からメダルを取り換えして逆に姉の鞭を奪って姉を叩いて追い出します。そして下の道をゴバンさんやラットと行進するチコを見送りました。
第七天国のネタバレあらすじ:転・兵士との会話
ダイアンは軍需工場で働き始めます。ブリサック大佐が言い寄りますが相手にしません。毎朝11時にダイアンと戦場のチコは必ず「チコ、ダイアン、天国」と心で交信しました。
ある夜、チコとラットは塹壕を出て攻撃に参加しますが、砲撃でチコは負傷します。ラットと穴の中に隠れたチコはこんな時でも11時のダイアンとの交信を忘れません。でも軍需工場の仕事の手を休めてチコと話をするダイアンは不安に襲われます。
やがてラットがチコをやっとのことで塹壕に運び込みますが、塹壕の手前でラット自身が敵の弾に当たって戦死します。そして自分はもう助からないと思ったチコは、従軍司祭となったシュヴィヨン神父に、首にかけていたメダルをチコ夫人に渡すように託しました。
第七天国の結末:奇跡
アパートのダイアンにチコの戦死を伝えたのはブリサック大佐でした。でも戦士の通知を見せられてもダイアンは、私は毎朝11時にチコと会っているのですと言ってそれを信じません。間もなくゴバン夫妻がおくやみを言いに来ますがそれでも信じようとしません。しかしシュヴィヨン神父がチコのメダルをもって来て、チコは上を見上げて死んだというチコの遺言を伝えると、ダイアンも戦死を信じざるを得なくなります。
そこへ、ブウルおやじが入ってきて戦争が終わったことを告げます。地上では人々が街路に出て戦勝を祝い始めました。でもダイアンは彼女からチコを奪った神様を呪います。4年間ここを天国と呼んで、チコを神様が戻してくれると信じていたのに。
ところが、失明したものの死を免れたチコがそのとき群衆をかいくぐって歩いていました。やがてアパートのらせん階段を上り「ダイアン」と叫びます。そしてちょうど11時にアパートのドアを開けて入って来ました。
彼の体にとりすがるダイアンにチコは、神様は俺の中にいたんだ、目が見えなくなっても神様は見えると言います。私があなたの目になると言うダイアンに、俺はひとかどの男だからいつまでも目の見えないままではいないと昔通り自信家のチコが答えるのでした。
以上、映画「第七天国」のあらすじと結末でした。
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