野良人間 獣に育てられた子どもたちの紹介:2018年メキシコ映画。メキシコに伝わる禁断の実話をモチーフに、獣のように野生化した子供たちの姿をドキュメンタリータッチで描いたホラー映画です。1987年にメキシコの山奥にある小屋が全焼する事件が発生、焼け跡からは1本のビデオテープが発見されました。2017年、テレビ番組のクルーは事件を再検証すべく、入手した映像の検証を始めたのですが…。
監督:アンドレス・カイザー 出演者:エクトル・イリャネス(フアン・フェリペ・デ・ヘスス・ゴンザレス)、ファリド・エスカランテ(クリストバル)、カリ・ロム(アントニア)、ガストン・メロ(ドン・アルヌフロ)、エモエ・デ・ラ・パラ(プシコロガ)、ヒルデベルト・マヤ(エンリケ・アルバレス)、アドリアーナ・ブルゴス(ジョセフィーナ)ほか
映画「野良人間 獣に育てられた子どもたち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「野良人間 獣に育てられた子どもたち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
野良人間 獣に育てられた子どもたちの予告編 動画
映画「野良人間 獣に育てられた子どもたち」解説
この解説記事には映画「野良人間 獣に育てられた子どもたち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
野良人間 獣に育てられた子どもたちのネタバレあらすじ:起
1987年。メキシコ南西部の都市・オアハカ郊外の人里離れた山岳地帯エルオコナで、1軒の民家が全勝する火災が発生しました。焼け跡からは大人1名と子供3名の焼死体、そして1本のビデオテープが発見されました。
この民家には火災の5年くらい前から元修道士のフアン・フェリペ・デ・ヘスス・ゴンザレス(エクトル・イリャネス)という男が住み着いており、警察は焼死体の身元はフアンとフアンが引き取って育てていた子供ではないかとみて捜査しました。結局、火災の原因などは特定されることもなく、ビデオテープはいつしか忘れ去られていきました…。
2017年。未解決事件を特集するテレビ番組のクルーは行方不明になっていたビデオテープが発見されたと聞き、当時の火災について取材していた元テレビリポーターのエンリケ・アルバレス(ヒルデベルト・マヤ)の元を訪れました。エンリケは取材クルーを資料保管室へ案内し、特別にビデオテープを貸し出しました。
ビデオを撮影していたのはどうやらフアンのようでした。火災については未だに謎のままでしたが、焼死体のうち大人1名については身元がフアンであることは判明していました。しかし、子供3名の身元は依然謎のままで、子供たちは檻に入れられて監禁されていました。
事件後にフアンの遺体を引き取った旧友のメンデスは、フアンは生前故郷には戻りたくないと話していたと証言しました。取材クルーは、俗世間との繋がりを一切絶って山奥で暮らしていた謎多きフアンについて、その不可解な死について独自の調査を開始しました。
野良人間 獣に育てられた子どもたちのネタバレあらすじ:承
フアンはメキシコ南部のモレロスという町に生まれ育ちました。フアンの母は敬虔なクリスチャンであり、フアンも幼い頃から兄と共に地元の学校で学び、何の疑問を抱くことなく神学校に進学しました。当時を知る者たちは、フアンは成績優秀だったと証言しました。
そんなある日、フアンは自らの信心深さを証明するために精神分析医の診断を受けました。すると、驚くべきことにフアンは「無神論者」という診断結果が出てしまいました。その日からフアンは神学校内で異端視され、居場所を失って退学に追い込まれました。聖職者への道を諦めたフアンは俗世間との繋がりを断ち切るかのように山奥に籠り、ひとりで暮らし始めました。
それからしばらく経ったある日。メンデスはフアンから手紙を受け取りました。それは、フアンが森の中で野生児を見つけたということでした。メンデスが様子を見に行くと、フアンがちょうど野生児(ファリド・エスカランテ)を捕獲していたところでした。
野生児は言葉が話せず、四本足で歩き、髪の毛も爪も伸び放題で歯はボロボロに欠けていました。しかし、フアンはこの野生児には人間としての“知性”が感じられるとし、メンデスにこのことを固く口止めすると、この野生児を山小屋に連れ帰りました。
フアンはこの野生児を自分の手で育てることにし、その記録をビデオカメラに収めることにしました。最初のうちはフアンを警戒していた野生児でしたが、やがてフアンを“敵”ではないと認識するようになりました。フアンは野生児の髪を切って整え、服を着せ、二本足で歩く訓練や食器を使って食事をする訓練などをさせていきました。
その甲斐あって、野生児は未だに人間の言葉を発することができないままでしたが、人間らしい生活を送れるようになっていきました。フアンは野生児の目の前でろうそくに火を灯してみせ、野生児は“火”に興味を示すようになっていきました。
そんな時、故郷のフアンの母が自宅で遺体で発見されました。フアンの兄も神学校に進学して家にはおらず、フアンの母は孤独死と断定されました。母の死を知ったフアンは「人生最良の日だ」と喜びました。フアンは兄とも疎遠になったままでした。
野良人間 獣に育てられた子どもたちのネタバレあらすじ:転
ある日、フアンは森の洞窟の奥で幼い男女の子供2人を発見しました。最初に発見した野生児よりも幼い子供2人は鎖に繋がれており、どうやら何かの儀式のために監禁されていた様子でした。フアンは子供2人を山小屋に連れ帰り、自分の手で育てることにしました。
そのことを聞いたメンデスは、子供たちを施設に預けるべきだと主張しましたが、フアンは、監獄のような施設に預けるのかと猛反発し、さすがにメンデスもこれ以上口を挟むことはできませんでした。
一気に3人の子供の面倒を見ることになったフアンは地元の主婦ジョセフィーナ(アドリアーナ・ブルゴス)に家政婦を頼み、3人のことは決して口外しないよう忠告しました。その日からジョセフィーナは子供たちの世話をしに通い、フアンの言いつけを守って決して他言することはありませんでした。
そんなある日、フアンは自分の元に3人の子供がやってきたのは神の思し召しではないかという結論に達しました。フアンは子供たちに洗礼の儀式を行い、最初に見つけた野生児には“クリストバル”、女の子には“アントニア”(カリ・ロム)、男の子には自分と同じ“フアン”と名付けました。
この頃から、フアンは子供たちを厳しくしつけるようになっていきました。元々女性に一切の興味を示さないフアンは、自我が芽生えて自慰を始めたクリストバルに鞭を打って体罰を与えました。ある時は勝手にマッチに火をつけたクリストバルを厳しく注意したこともありました。
やがてフアンは言うことを聞かない子供を檻に閉じ込めて反省を促すようになりました。この頃、ジョセフィーナはこの山小屋にフアンの兄らしき人物が訪れていたことに気付いていましたが、フアンはそのことに気付くことはありませんでした。
野良人間 獣に育てられた子どもたちの結末
そんなある時、森に出かけていたクリストバルが地元住民ゴメスの所有する木に火をつけようとしていました。それを見つけたフアンはクリストバルを殴って山小屋に連れ帰り、檻に監禁しました。
しかし、一部始終を目撃したゴメスはそのことを町の人々に言いふらし、これによりフアンが隠し通そうとしていた子供たちの存在がたちまち地元住民に知れ渡ることとなりました。
時を同じくして、町の商人の娘が行方不明になっていました。地元の住民たちはフアンが商人の娘をさらって子を産ませ、用済みになったら殺して埋めたのだと根拠なき噂を立てるようになっていきました。
やがて地元住民たちの行動はエスカレートしていき、フアンは石を投げつけられ、山小屋にはニワトリの死骸が投げつけられ、落書きがされるようになっていきました。いわれなき中傷と差別を受けるフアンは完全に外部から心を閉ざして、自分の内面の神にすがるようになり、子供たちに、より一層の体罰を加えるようになっていきました。
この状況を受け、メンデスはフアンと距離を置くことにしましたが、後になってメンデスは距離を置くべきではなかったと後悔しました。
そんなある夜、フアンの山小屋で停電が発生しました。何者かがブレーカーのコードを切断した模様でした。その時、小屋の外ではクリストバルが小さな焚き火を起こしており、フアンはその火を足で踏んで消しました。
その後、フアンは小屋の中で何本ものろうそくに火を灯し、子供たちを集めて儀式めいたものを始めました。フアンの山小屋が火災に見舞われたのはその直後でした…。
…2017年になった今でも、火災の真相は結局わからずじまいでした。火災の原因はフアンが儀式に用いたろうそくの火なのか、クリストバルが小屋に火を放ったのか…。地元の住民たちは当時のことを訊かれると、誰もが口をつぐんで語ろうとはしませんでした。
山小屋火災の実況見分が行われた際、現場にはフアンの兄と思われる人物が姿を現していました。いずれにせよ、火災の真相は未だに謎に包まれたままです。
以上、映画「野良人間 獣に育てられた子どもたち」のあらすじと結末でした。
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