囚人ディリの紹介:2019年インド映画。インドでかつて囚人だった男が酔いつぶれた警察官たちを救ったという、ごく短い新聞記事をモチーフとして制作されたアクション映画です。刑期を終えて出所したばかりの男が、警察と麻薬組織との抗争に巻き込まれ、特殊部隊の隊長と共に壮絶な戦いに身を投じていきます。
監督:ローケーシュ・カナガラージ 出演者:カールティ(ディリ)、ナレーン(ビジョイ)、ラーマナー(チップス)、ジョージ・マリヤーン(ナポレオン)、アルジュン・ダース(アンブ)、ハリーシュ・ウッタマン(アダイカラム)、ディーナ(カーマッチ)、ベイビー・モニカ(アムダ)、マラヴィカ・アビナッシュ(ナリニ)ほか
映画「囚人ディリ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「囚人ディリ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
囚人ディリの予告編 動画
映画「囚人ディリ」解説
この解説記事には映画「囚人ディリ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
囚人ディリのネタバレあらすじ:起
ここはインド南部ペランバルルにあるマザー・テレサ養護施設。孤児の少女アムダ(ベイビー・モニカ)はシスターから、明日に大事な人が訪れることを知らされました。シスターはその人物が誰なのか明らかにしませんでした。両親のいないアムダにとって心当たりはありませんでしたが、彼女はそれでもその時を心待ちにすることにしました。
その日の夜。インド南部の都市ティルチ警察の特殊部隊隊長ビジョイ(ナレーン)は、部下の刑事5名と共に大量の麻薬を積んだトラックを走らせていました。ビジョイは右手を負傷していました。
2年前から犯罪者アンブ(アルジュン・ダース)率いる犯罪組織に潜入捜査していたビジョイは、麻薬の取引の現場を抑えることに成功、末端価格84億ルピー(日本円で約126億円)もののコカイン900kgを押収して警察署に引き揚げようとしていました。
一方、コカインを奪われて激怒しているアンブのもとに何者かから電話があり、組織に潜入捜査した刑事の存在を示唆しました。電話の人物はコカイン20kgと引き換えに、アンブにビジョイらの情報を教えました。アンブは警察内部にスパイとして送り込んでいる部下のチップス(ラーマナー)に、ビジョイらを始末するよう命じました。
その頃、ティルチ警察本部では配属になったばかりのナポレオン巡査(ジョージ・マリヤーン)が夜勤についていました。この警察本部は設立から2年以上が経過してもなお開所式が行われておらず、扉は閉鎖されたままでした。署内の留置所にはアンブの兄・アダイカラム(ハリーシュ・ウッタマン)が身元不明者として拘束されていました。
署に戻ったビジョイ刑事は、警察内部の人間でもほとんどの者がその存在を知らない秘密の地下室にコカインを保管しました。そしてビジョイは右手の手当てを済ませて三角巾で吊り上げると、警察長官のいる別荘へ報告に向かいました。
この夜、退任まであと1ヶ月の長官は記念パーティーを開いていました。ビジョイも酒を勧められましたが、ビジョイは鎮痛剤を服用したことを理由に飲みませんでした。その直後、酒を飲んだ長官やビジョイの部下たちが突然苦しみ出して倒れました。
実はアンブの命を受けたチップスが酒に強力な鎮静剤のロヒプノールを混ぜていたのです。このロヒプノールは飲むと少量でも眠ってしまい、量が多いと死に至るというものでした。パーティーに参加していたチップスも酒を飲んだフリをしてあたかも苦しみ出したように振る舞いました。
自分の退任前に今回の件が外部に明るみになることを恐れた長官は、唯一異変のなかったビジョイに内々に処理するよう命じました。
囚人ディリのネタバレあらすじ:承
ビジョイは長官や刑事たちをトラックの荷台に乗せ、警察署まで連れて行こうとしましたが、片手しか使えないので運転できる者は他にいないか探し始めました。ビジョイはレンタカー屋を営むカーマッチ(ディーナ)に運転を頼みましたが、カーマッチは運転免許を持っていませんでした。
ビジョイは他に運転できる者はいないかと探していたところ、イチかバチかで職務質問の際に身分証を所持していなかったため身柄を拘束されたひとりの男に懸けてみることにしました。
その男の名はディリ(カールティ)。ビジョイはディリにかけられた手錠を片手だけ外し、今すぐこのトラックを運転して80km離れた警察本部まで移動するよう命じましたが、ディリは面倒ごとに巻き込まれたくないとして断りました。
他に打つ手のないビジョイはディリの身元保証人である保護司のナリニ(マラヴィカ・アビナッシュ)に電話をかけ、ディリの情報について聞き出しました。ディリはある事件で終身刑の判決を受けたものの10年に減刑となり、この日の朝に刑期を終えて釈放されたばかりでした。
ディリはこれからペランバルルの施設に預けられた娘を迎えに行こうとしていました。ビジョイは刑期を伸ばすとディリを脅し、ディリは渋々ながらも引き受けることにしました。
ビジョイは医者に電話をかけ、5時間以内に治療すれば長官たちは命が助かると指示を受けました。ビジョイは道案内役としてカーマッチも連れて行くことにし、3人は病院に向けて出発しました。
アンブは手下たちに、トラックを襲撃して刑事たちを抹殺するよう命じました。一方、施設のアムダはどうしても明日会う人が気になり、守衛に頼んで施設にかかってきた電話の履歴を見せてもらいました。
運転中のディリの携帯電話が鳴りました。電話をかけたのはアムダであり、アムダはディリの実の娘のアムダでした。ディリはまさかの事態に気を取られている間に、アンブの組織の者たちがトラックに襲撃を仕掛けてきました。ディリは落ちた電話を拾い上げようと試みつつ、何とか追っ手を振り切ろうとましたが、拾い上げた時には既にアムダとの通話は途切れていました。
囚人ディリのネタバレあらすじ:転
ディリ、ビジョイ、カーマッチは連携して追っ手を振り切りましたが、トラックの窓ガラスは割られて車もボロボロになっていました。その間にもチップスは具合の悪いフリをしつつ仲間たちを密かにアシストしていました。
ディリは改めてアムダに電話をかけましたが、アムダはすでに寝室に戻っていました。そこでディリは施設の守衛にアムダの写真をメールで送ってもらえるよう頼みました。ところが、写真データの容量が大きくダウンロードに手間取っている間にアンブの組織の者たちが再び襲いかかってきました。
ディリはビジョイに、もし自分に何かあればアムダの面倒を見てくれないかと頼みました。自分も娘のいるビジョイは快諾し、娘と同じ学校に通わせることを約束しました。トラックからディリはたった一人で大勢の組織の者たちに立ち向かい、腕っぷしの強さを見せつけてバタバタとなぎ倒していきました。
その頃、アンブの組織は警察署にも向かっていました。このことを知った警官たちは恐れをなし、ナポレオンひとりを残して逃げ出してしまいました。アンブはビデオ通話でナポレオンと会話し、その際にアダイカラムが拘束されていることを知りました。
ディリたちのトラックはクラッチとブレーキの冷却が必要なためしばらく停車することにしました。カーマッチは自分のスマホでアムダの画像をダウンロードし、ディリは感激のあまり目に涙を浮かべました。しかし、その時にチップスはディリの存在を知り、ただちにアンブに知らせました。
ディリら3人は一刻も早く長官や刑事たちを病院に連れて行くべく、エンジンをかけずにトラックを下り坂で押して少しでも距離を稼ぐ作戦に出ました。ところが、行動が遅れたビジョイは敵に気絶させられて捕まってしまいました。ディリはカーマッチに銃を持たせてアシストを命じ、単身で敵陣に突入してビジョイを助け出しました。
囚人ディリの結末
その頃、アンブの組織は警察署に突入しようとしましたが、ナポレオンは他の拘置者とも協力して懸命に防戦しました。そしてコカインと共に兄も取り戻す決意を固めたアンブも自ら警察署に向かい、木に登って屋上から署内に侵入しました。
一方のディリたちはティルチの町に辿り着き、地元の学校でトラックからスクールバスに乗り換えました。その際、カーマッチから何者なのかと尋ねられたディリは自分の身の上話を始めました。
幼い頃から貧しく苦労の絶えなかったディリは町でも評判の美女ヴィジと巡り会って結婚しました。二人は貧しいながらもささやかな暮らしを送り、やがてヴィジはディリとの子を身籠りました。
ところがある日、ディリの家に暴漢が現れ、ヴィジを無理やり連れて行こうとしました。激昂したディリは暴漢を殴り殺し、逮捕されて終身刑(後に懲役10年に減刑)の判決を受けたのです。ヴィジはディリの服役中にアムダを出産しましたが程なくして他界してしまい、身寄りのないアムダは施設に預けられることとなったのです。
ディリはカーマッチにも自分に何かあったらアムダを頼むと告げ、スクールバスを運転して病院へと急ぎました。途中でディリはチップスに背後からナイフで刺されて負傷しましたが、懸命に立ち回ってチップスや組織の追っ手たちを倒しました。そして何とか長官たちを病院に送り届けたディリは痛みをこらえながら警察署に向かいました。
その頃、警察署ではアンブがアダイカラムとコカインの行方を探していましたが、ナポレオンは背後から消火器でアンブを殴って気絶させました。警察署に着いたディリはアダイカラムを激闘の末に倒しました。
ナポレオンは秘密の地下室に向かい、コカインを燃やし尽くそうとしました。地下室にはガトリング砲がありました。ナポレオンに続いて地下室に入ったディリは、追ってきた組織の者たちに向けてガトリング砲を撃ち放ちました。
アンブの組織は壊滅し、事件は解決しました。ビジョイからもう片方の手錠を外してもらったディリは、施設の人間が連れてきていたアムダと再会を果たしました。ビジョイは約束通りにアムダのために学校の手配を始め、ディリはお礼にとアムダにプレゼントする予定だった純金のイヤリングをビジョイの娘にプレゼントすることにしました。
そしてディリはアムダと共に新たな人生に向かって歩き始め、ディリを尊敬するカーマッチも一緒についていきました。
以上、映画「囚人ディリ」のあらすじと結末でした。
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