鳩の翼の紹介:1997年イギリス映画。ヘンリー・ジェイムズの同名小説を映画化。莫大な財産を巡り、複雑に絡み合う男女の三角関係を描いたドラマ作品。落ちぶれた貴族の娘ケイトは、後見人である伯母モードから上流階級の男性との結婚を勧められていた。ケイトには新聞記者の恋人マートンがいるが、貧乏なためモードから結婚の許可は出そうにない。そんな折、ケイトはアメリカ人の富豪ミリーと知り合った。彼女は莫大な財産を持っていたが、病のため余命いくばくもないらしい。ミリーがマートンに惹かれていると知ったケイトは、ある計画を立てた。マートンにミリーを誘惑させて彼女の遺産を手に入れ、その後自分と結婚するという計画だった。良心の呵責を覚えながらミリーに近づくマートンだったが、次第に彼女の心の美しさに魅了されていく。
監督:イアン・ソフトリー 出演者:ヘレナ・ボナム・カーター(ケイト・クロイ)、ライナス・ローチ(マートン・デンシャー)、アリソン・エリオット(ミリー・シール)、シャーロット・ランプリング(モード伯母)、エリザベス・マクガヴァン(スーザン・ストリンガム)ほか
映画「鳩の翼」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「鳩の翼」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「鳩の翼」解説
この解説記事には映画「鳩の翼」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
鳩の翼のネタバレあらすじ:ケイトの苦悩
舞台は1910年のイギリス、ロンドン。没落貴族の娘ケイト・クロイは、裕福な伯母モードに引き取られ上流階級の暮らしを強いられていました。支配的なモードはケイトに相応しい男性を宛てがおうと考え、裕福なマーク卿と引き合わせます。マーク卿も満更でもない様子でしたが、ケイトは憂鬱でした。
彼女には既にマートン・デンシャーという恋人がいたからです。マートンは新聞記者で、上流階級とは縁がなく、財産もありませんでした。それでもマートンは何度もケイトに求婚しますが、彼女の後見人であるモードが許可するはずもありません。
モードはケイトに対し、これ以上マートンとの交際を続けるなら、落ちぶれたケイトの父への援助を打ち切ると宣言しました。ケイトは悲しみに暮れながら、マートンへの思いを封印します。
3か月後、ケイトは社交の場でアメリカ人の富豪ミリー・シールと出会いました。彼女は孤児でしたが輝くように明るい女性で、不思議と人を惹きつける魅力を持っています。2人は一気に親しくなり、大切な友人同士になりました。
鳩の翼のネタバレあらすじ:ミリーの秘密
ある日、ケイトとミリーがパーティーに参加していると、思いがけずマートンが現れます。彼はケイトに会うため、様々な手を使って潜り込んで来たのでした。ケイト自身、まだマートンを愛しく思っています。2人の関係を知らないミリーは、マートンに一目で惹かれてしまいました。
知り合いかと聞かれたケイトは、咄嗟に家族の友人だと説明してしまいます。莫大な財産を持ち、家族もいないミリーを狙う男性は多くいました。マーク卿もその1人です。彼は自分の城にケイトとミリーを招きましたが、ミリーばかりを相手にしてケイトのことは無視していました。
夜になり、酔った彼はケイトの部屋に侵入します。警戒するケイトに、マーク卿は思わぬことを言い出しました。実はミリーは病気を患っており、余命いくばくもないらしいのです。マーク卿はミリーと結婚して遺産を手に入れた後、ケイトと結婚するという計画を立てていました。ケイトは軽蔑も顕にマーク卿を追い出しますが、彼の計画は使えると考え始めます。
鳩の翼のネタバレあらすじ:後ろ暗い計画
ケイトはミリーと、彼女の忠実なメイドであるスーザン・ストリンガムと共に、ベニスへ旅行するつもりでいました。ミリーはベニス行きにマートンも誘いますが、すげなく断られてしまいます。しかしケイトの説得で結局マートンもベニスにやって来ました。
4人で観光する間、ケイトは頻りにマートンとミリーを2人きりにしようとします。マートンは苛立ちますが、ケイトは真意を明かしませんでした。そんな中ミリーが体調を崩してしまいます。マーク卿の話は本当だったと確信したケイトは、ある計画をマートンに持ちかけました。
マートンがミリーの好意を利用して彼女を誘惑し、遺産を相続するという内容です。ミリーの莫大な遺産が手に入れば、モードの庇護下にいる必要もなくなり、ケイトとマートンは晴れて結婚出来るのです。マートンは死にゆく女性にそんなことは出来ないと狼狽えますが、ケイトと結婚するには計画に乗るしかなく、結局押し切られるように承諾しました。
鳩の翼のネタバレあらすじ:揺れるマートンの心
ケイトは計画を成功させるため、単身ロンドンに戻ることにします。ミリーにはマートンのことを愛していないと嘘を吐きました。翌日から、マートンとミリーは2人であちこちの観光スポットを見て回ります。明るく前向きで、誰よりも生き生きと毎日を送っているミリーに、マートンは次第に惹かれていきました。彼はケイトへの愛と、ミリーへの思いの間で板挟みになり、苦しみます。
そんなある日、突然マーク卿がミリーを訪ねて来ました。彼はケイトとマートンが恋人同士であることを暴露し、ミリーの遺産を狙っているのだと教えます。求婚するマーク卿をミリーは強く拒絶し、屋敷から追い出しました。しかしマーク卿の話は真実だと気付いてしまいます。
精神的なショックも加わり、ミリーは急激に弱っていきました。マートンが彼女を訪ね、マーク卿の話は嘘だと弁解します。しかしミリーは既に真実を受け入れていました。その上で、彼女はケイトのこともマートンのことも愛していると微笑みます。マートンはついに泣き崩れ、ミリーに縋り付きながら謝罪を重ねました。
鳩の翼の結末:押し寄せる悲しみ
やがてミリーはベニスで息を引き取りました。彼女の葬儀に参列したマートンは、失意の中ロンドンに戻ります。彼はどうしてもケイトに会う気になれませんでした。しばらくして、我慢しきれなくなったケイトがマートンの部屋を訪ねて来ます。
マートンは、何故マーク卿に自分達の関係を話したのかと問い質しました。ケイトはマートンが長くミリーと過ごすことで心変わりしてしまうのを恐れ、どういう事態になるか分かった上でマーク卿に関係を話したのです。
ミリーは真実を知って尚、マートンを遺産の相続人に指定していました。計画通り莫大な財産を手に入れたケイトとマートンですが、その表情に喜びはありません。マートンは遺産を受け取るつもりはないと話しました。ミリーの遺産なしで結婚しようと告げるマートン。ケイトは、ミリーの面影を愛していないと誓って欲しいと言いました。しかしマートンは無言です。
2人が思い出すのはミリーと過ごした美しい日々。ケイトもマートンも心に大きな傷を負い、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「鳩の翼」のあらすじと結末でした。
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