善き人のためのソナタの紹介:2006年ドイツ映画。第79回アカデミー賞外国語映画賞や各国の映画賞を受賞した作品。ベルリンの壁崩壊前のドイツの国家保安省の役人の視点から、ある劇作家とその恋人を通じ、当時の実状を描いています。当たり前の正義が通用せず人々が苦しみもがき、やがて立ち向かっていく姿を密かに監視し、その正義を守ろうとする主人公の姿が感動的です。
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 出演:ウルリッヒ・ミューエ(ヴィースラー大尉)、マルティナ・ゲデック(クリスタ=マリア・ジーラント)、セバスチャン・コッホ(ゲオルク・ドライマン)、ウルリッヒ・トゥクール(ブルビッツ部長)、トマス・ティーマ、ハンス=ウーヴェ・バウアー、フォルクマー・クライネルト、マティアス・ブレンナー、ほか
映画「善き人のためのソナタ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「善き人のためのソナタ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「善き人のためのソナタ」解説
この解説記事には映画「善き人のためのソナタ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
善き人のためのソナタのネタバレあらすじ:起
舞台は1984年の東ドイツ、ベルリンの壁崩壊前の話です。反逆者を監視して国家に背けば容赦なく取り締まる国家保安省(シュタージ)で、ゲルト・ヴィースラーはシュタージの優秀な役人でした。
ある日、ヴィースラーの友人で今はヴィースラーの上司でもあるグルヴィッツに、人気劇作家のドライマンの舞台に誘われて見に行きます。そこでヴィースラーはドライマンと、彼の恋人であり主演女優であるクリスタの監視を命じられます。そこからヴィースラーは盗聴器を仕掛け、ほぼ付きっきりで監視することになったのです。
日々の報告を日記に記し、事細かくグルヴィッツに報告していたヴィースラー。その報告書の中には党の有力者であるハムプフ大臣がクリスタを脅し、愛人関係を結んでいることさえも記載されていましたが、グルヴィッツはその部分は排除するよう命じました。
善き人のためのソナタのネタバレあらすじ:承
それも納得して盗聴を続けていたヴィースラーでしたが、ドライマンにクリスタとハムプフ大臣の関係がバレるように仕向けます。そしてそれがドライマンの知るところになりますが、ドライマンはクリスタを問い詰めたりせず、ベッドでむせび泣くクリスタに寄り添い慰めます。
やがてヴィースラーは二人の生活を盗聴していくにつれ、今までになかった人恋しさを感じるようになったのです。さらには、ドライマンの住んでいる場所のエレベーターで会った男の子の父親が反社会主義者であることを知りながら見逃す行動を取り、報告書にも嘘を綴るようになっていきました。
友人の死をきっかけにドライマンは国家に歯向かう決心をしていました。ドライマンは自分の家なら大丈夫と、反逆者は西側に流れたとガセネタを流します。これをヴィースラーが盗聴はしたものの見逃してしまったので、ドライマンは盗聴されてないと判断し、東ドイツでの自殺率の高さを西ドイツの記者に報道させようと記者を自宅に集めます。
善き人のためのソナタのネタバレあらすじ:転
タイプライターで足がつかないように、西側の特殊なものを使い、そのタイプライターも普段は見つからないように隠していました。そのドライマンの行動を知ったヴィースラーは、グルヴィッツの元に行き、監視縮小を訴え、今後は一人でドライマンの監視をするようにし、嘘の報告書を送り続けます。
そしてドライマンの作戦は成功し、東側の自殺率の問題にスポットが当たります。
当然のようにドライマンに疑いの目が向くも、何も見つかりませんでした。しかし、グルヴィッツはヴィースラーの報告書に疑いを持つようになっていて、ドライマンの尻尾を掴むためクリスタを利用します。
薬物所持の疑いでクリスタを捕まえ、ヴィースラーがクリスタを尋問します。ドライマンがやったことだと認めなければ二度と舞台には上がれないと脅し、クリスタは証拠となるタイプライターの隠し場所を話してしまいます。
善き人のためのソナタの結末
シュタージがタイプライターを言われた場所に探しに行きますが、タイプライターはありません。これは予めヴィースラーがタイプライターを別の場所に隠していたためでした。釈放されたクリスタでしたが、タイプライターの場所を話してしまったことに絶望して自殺します。
人知れずグルヴィッツの任務を邪魔していたヴィースラーでしたが、結局グルヴィッツに一連の行動がバレてしまい、退役までの20年間、地下での作業をさせられることになります。
それから5年程の月日が経ち、ベルリンの壁が崩壊します。その後、ドライマンは自分の家に盗聴器が仕掛けられていたこと、HGWというコードネームのヴィースラーに監視されていたこと、そして彼に救われていたことを知ります。
ベルリンの壁が崩壊したあともヴィースラーは地下で作業をしていました。ドライマンは一度ヴィースラーに会いに行きますが、黙々と働くヴィースラーに声をかけず、に立ち去ります。その後、ドライマンは「善き人のためのソナタ」という本を発売しました。著者にはHGWに捧ぐという短い言葉が綴られています。
書店に現れたヴィースラーの手には、ドライマンの本がありました。
以上、映画「善き人のためのソナタ」のあらすじと結末でした。
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