神が描くは曲線での紹介:2022年スペイン映画。探偵のアリス・グールドは潜入捜査のため、精神科病院に患者のフリをして入院をすることに。かつてその病院では、入院していた良家の息子が亡くなるという事件が発生。その真相を探るべく推理を進めていきたいアリスでしたが、思わぬ障壁が彼女を襲います。オリオル・パウロ監督が手掛けた、先の見えないストーリー展開が繰り広げられるスペイン映画です。
監督: オリオル・パウロ 出演: バルバラー・レニー(アリス・グールド)、エドゥアルド・フェルナンデス(アルバ院長)、ロレート・モーレオン(モンセ)、ハビエル・ベルトラン(セザル)、パブロ・デルキ(イグナシオ)、フェデリコ・アグアド(ルイペレス)、ほか
映画「神が描くは曲線で」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「神が描くは曲線で」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「神が描くは曲線で」解説
この解説記事には映画「神が描くは曲線で」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
神が描くは曲線でのネタバレあらすじ:起
精神科病院へと車を走らせる男女。女性の名はアリス・グールド。彼女は、サムエル・アルバ院長が運営する精神科病院に入院することになりました。
一見すると、彼女の精神は特に問題がなさそうです。しかし、彼女の担当医ドナディオからの手紙があり、そこには「彼女は愚直な人間や経験不足の精神科医を簡単に惑わせる」と書かれていました。
ルイペレス医師による問診が行われます。アリスは結婚生活を16年送っており、夫ヘリオドロに不満はないと言いますが、話しを聞いている限り、アリスは夫に不満を抱いているのだろうと感じるルイペレス医師。さらにアリスは、夫に合法的に誘拐されと主張をします。夫は自分の財産欲しさに近づいてきたと。
しかし、病院側から得た情報によると、アリスは夫の殺人を3回企てたとあります。アリスはそれは嘘だと主張。自分は病気ではなく、夫にはめられてここに来た、自分に夫を殺すメリットはないと話します。アリスの担当医のドナディオからの手紙が頭をよぎり、ルイペレス医者は慎重にアリスの話に耳を傾け、“パラノイア”と診断します。
アリスはモンセ・カステル副委員長に病室へと案内され、私物は全て回収されてしまうとのこと。アリスは本は無害だから1冊いいかと頼み、モンセは特別に認めます。
その本を持って病室に入ったアリスは、すぐさまその本を開き、ページの間に細工をして隠していた様々な書類を取り出します。その中の1つに『デルオルモ家の悲劇』という記事が含まれていました。ダミアン・デルオルモはこの病院で亡くなりました。
精神科病院であるため、精神疾患を抱える様々な人々がここで生活をしています。一見普通そうな男性イグナシオ・ウルキエタがアリスに話しかけます。ここではアリスと名乗っていけなかったため、名前はアリシアであると自己紹介をします。
イグナシオによると、アルバが院長になってからこの病院のすべては変わったそう。鉄格子も撤去され、以前より自由で快適な空間になったとのこと。
庭で過ごしている双子の兄弟が目に入ります。彼らは精神障がい者の間に産まれた双子ロムロとレモです。レモは話すことができず、ロムロはその隣にいる少女を本当の妹と思って寄り添っています。その妹に接触しようとする人物がいれば、ロムロは攻撃的になります。患者の1人のエレファントマンはしょっちゅう妹に近づこうとして、ロムロと喧嘩になります。エレファントマンの唯一の親友は小人症のルイス・オヘダでした。
神が描くは曲線でのネタバレあらすじ:承
アリスはセザル臨床サービス部長の診察を受けます。セザルの診察結果はアリシアに特に問題はないとのこと。再び席を設け、セザルとアリスが会話をしていると、彼女の膝の上に飲み物をこぼしてしまいます。すぐ済むからとアリスは職員専用のトイレを借ります。
その際にアリスはトイレを水漏れさせ、スタッフの気をひいている間に事務所に忍び込み、ダミアンが死んだ日の外出許可証名簿を持ち出します。病室に戻って目を通すと、その中に記載されていたイグナシオ・ウルキエタという名前に赤丸をします。
アリスは、なぜこの日に外出許可を申請したのかイグナシオに詰め寄り、病院の外から持ち出した資料の1つ「私ではなくお前が殺した」と殴り書きしたメモを見せます。ダミアン・デルオルモについても聞き出そうとしますが、雨が降ってきて、イグナシオの態度が急変しその場から立ち去ろうとします。
それを引き留めるアリス。雨にうたれたイグナシオは発作を起こしてしまいます。彼の病名は恐水病でした。イグナシオの病気を知って、彼がダミアンを殺すことは不可能であるとアリスは推理します。
イグナシオのお見舞いに訪れたアリスは、なぜ自分がこの病院にやってきたのか話し始めます。アリスは実は探偵で、精神病を装い、この病院で亡くなったダミアンの死について調査を行うため、潜入調査中でした。わかっていることは、ダミアンは良家の生まれで、殺人者は統合失調症ということだけです。この病院の中でアルバ院長だけが自分の潜入捜査について知っていると言います。
イグナシオは、ダミアンは統合失調症で、ここの患者のルイス・オヘダとよく衝突していたという情報を教えてくれます。そしてルイスは、彼が死んだ夜に姿を消したとのこと。
もしダミアンが自殺ではなく他殺であれば、自分がした改革に批判がくることを恐れたアルバ院長は、内部でこの事件を解決したいと希望をしています。そのため極秘にアリスはこの病院に派遣されたのでした。
アリスはルイスに聞き込みをするため、森へと入ります。その途中でロムロと遭遇。手をひかれると、ロムロは手作りの家にアリスを招待します。そして、「この家は弟と妹とあなたのために作った。あなたは僕たちのママだ」と言います。それをアリスは受け入れます。
ふと物音が聞こえ、その物音の方にアリスが向かうと、ルイスに石で殴られて意識を失ってしまいます。
アリスが目を覚ますと、手足が拘束されていました。セザルによると、ルイスは亡くなり、その横でアリスが失神していたのこと。そのため、アリスはルイス殺害を疑われ拘束されてしまいました。そんな覚えはないと、アリスが記憶に集中すると、ルイスにレイプされそうになったことを思い出します。拘束を解いてほしいとアリスは懇願しますが、セザルは難色を示します。
そこに、アルバ院長が休暇から戻ってきて、アリスの拘束を解いてくれました。やっと話がわかる人が来てくれたと安心したアリスは、これまでのダミアンの事件の捜査結果をアルバ院長に報告をします。アリスはルイスに人を殺す能力はないので容疑者候補ではないと説明。しかし、アルバ院長はなんのことかよくわかっていません。
アリスは、依頼人デルオルモ氏の指示でアルバ院長と連絡をとりあったアリスであると必死に説明をしますが、アルバ院長は「君と連絡をとった覚えはない」の一点ばりです。怒るアリスに対してアルバ院長は、アリスは重病で長期入院が必要だと言い渡します。
不服に感じたアリスは審査会を招集してもらいます。その審査会でアリスは、ダミアン・デルオルモの死因は自殺ではなく他殺であると順を追って説明。なぜ自分がこの病院で潜入捜査をすることになったかのいきさつを丁寧に説明しますが、アルバ院長はアリスは印象操作をしていると、アリスが正常であると認めません。ダミアンの死因は自殺であると、アルバ院長は言い切ります。その他の精神科医はどちらのことを信じていいのかきめかねます。
アルバ院長は、アリスが夫を毒殺しようとした経緯の説明を始めます。アリスの夫は自分の体調に異変を感じ、キッチンを漁ると、隠し扉から薬品を見つけます。その薬品をこっそり飲み物に混ぜてアリスに飲ませると、彼女は自分と同じ症状で苦しみはじめます。
これで妻の仕業だと確信した夫。ばれたと気づいたアリスは、精神科病棟に入れられると予測し、「探偵の任務としてきた」と事実を湾曲した筋書きを用意し、今ここにいる人々を惑わせていると説明。
モンセは、この事実をはっきりさせるためには、アリス側の証人に連絡をとるべきだと主張をします。しかし、アリスの夫は音信不通のため確認がとれません。アリスの担当医と言われているドナディオに電報を送っても返事はなし。
ルイス殺しの容疑者として未だアリスの名が挙がっていましたが、イグナシオは自分は現場を見たと証言。アリスにレイプをしようとしたことがバレて焦ったルイスが逃げようとしたところ、転んで頭をうって亡くなったとのこと。この証言でアリスの容疑は晴れました。
神が描くは曲線でのネタバレあらすじ:転
アリスの言っていることが本当なのか確かめるため病院側は、ある男性に来院を依頼します。アリスはその男性と対面し、彼とは初対面だと発言。その人物はライムンド・ガルシア・デルオルモであり、アリスが言う今回の依頼者です。それなのにアリスは初対面だと言います。
これにはアリスを信じかけていた精神科医たちもアリスに対して疑念を抱きます。アリスは必死にこの人はデルオロモ氏ではないと否定しますが、誰も信じてくれませんでした。
これにより、アリスは重度の精神異常であると判断したアルバ院長は電気ショック療法を指示し、アリスに施されます。治療後の意識朦朧の中、この結果を全て夫が仕組んだことだとアリスは予感します。
隔離病棟にいれられたアリス。イグナシオとロムロがこっそり見に来てくれて、「きっとここから出してあげる」と優しい言葉をかけてくれます。
意識が戻ってきたアリスはセザルに、全ては夫の仕業だったと説明。夫は架空の事件をアリスに調査させ、精神科医に入院すれば頭のおかしい人だと思われ、そこから出られなくなることを狙い、アリスの財産を奪おうとしたのではないかと。そして、デルオルモは夫から紹介されたため、偽物だったと言います。もしそれが本当だったら、アリスの銀行口座の財産は夫の口座に移動しているはずだと。この説明を受け、モンセとセザルはアリスに協力を約束します。
モンセが院長室を漁ると、夫ヘリオドロ・アルメナラアリスからの小切手200万ペセタを見つけます。これはアリスの入院費の20倍でした。アルバ院長に問いただすと、それは寄付であり、あくまでも妻を治療してほしいというヘリオドロの純粋な行為だったと説明をします。
一方セザルは警察に、合法的な誘拐があったと通報しに行き、それを証明するためには、アリスの口座を確認したいといいます。警察はその場では取り合ってくれませんでしたが、裏では念のため口座確認をするよう進めます。
アリスは隔離病棟を抜け出し、患者みんなに協力を要請します。多くの患者たちはアリスの味方のように思われました。
神が描くは曲線での結末
夜が更け、アリスは病院に火をつけ始めます。
セザルはアリスの自宅を訪ねると、そこに夫の姿はなく、しばらく住んでない様子でした。家には探偵事務所の看板もあり、アリスの言っていることは本当のことだとセザルは確信します。
病院の火事は燃え広がり、イグナシオはアリスに頼まれた通りに、「火事だ」と叫んでそれぞれの病室をあけては避難するように促します。そのため病院内は患者で溢れパニック状態に。その騒動をうまく利用してアリスは病院を脱出しようと試みます。
その騒動の中、イグナシオはロムロの死体を見つけてパニックになります。遺体の近くにはガラスの破片が落ちていました。
アリスは病院の門を出ようとすると、検視官がやってきて、ロムロの死体を検査するよう要請されたと言います。アリスはその時ロムロが死んだことを初めて知ります。
アリスはその検視官を襲い、自分が検視官に成りすましてロムロの遺体を検視します。アリスの検視の結果、体重をかけられたために発生した骨折があり、ロムロを殺したのはエレファントマンであると推察します。
ロムロの妹に恋をしていたエレファントマンは、何度近づこうとしてもロムロに邪魔をされ、不満がたまっていました。さらに、親友のルイスをロムロが殺したところを見たエレファントマンは、この騒動を利用して逆襲を果たしました。実はルイスを殺したのはロムロだったのです。母親のアリスを守るための行動でした。
その話を聞いた刑事はエレファントマンのもとを訪ねると、アリスの推理通り手は傷だらけの血まみれでそのまま現行犯逮捕されます。
アリスはすぐさまレモの元へと向かい、自分のせいでレモが亡くなってしまったことを謝罪します。実は、亡くなったのはロムロではなくレモでした。
再び医療審査会が開かれ、アリスの退院について審理が行われます。
警察の調べによると、アリスの夫はアリスの預金を全て引き出し南アジアに逃亡したとのこと。アリス優勢の審理が続きます。
そんな中、アルバ院長は投票を放棄します。その代わり、アリスの退院がここで決定したら辞任すると宣言をします。そして、ドナディオ医師の診断を信頼するべきであるとアルバ院長は最後まで主張をします。しかし、アルバ院長以外の医師は、アリスは健常であると判断。アリスの退院が決定します。
決議が出た後、アルバ院長は、昨夜ドナディオ医師から連絡をもらったと発言。休暇中だったため電報送っても返事がなかったとのこと。そして、本件の説明を依頼したら快諾いただいたといい、ドナディオ医師が現われます。その正体は、アリスが主張を続けた依頼者のデルオルモ氏でした。ドナディオ医師はアリスを見て、「今度は何をしでかした?」と聞いてこの映画の幕は閉じます。
以上、映画「神が描くは曲線で」のあらすじと結末でした。
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