オチョ・アペリードス・カタラネスの紹介:2015年スペイン映画。バスクの元恋人が忘れられないセビリアのラファは、彼女がカタルーニャで結婚すると聞かされ、バスクのプライドを燃やす彼女の父親と、結婚阻止にむけて共同戦線を展開する?!
監督:エミリオ・マルティネス・ラサロ 出演者:ダニ・ロビラ、クララ・ラゴ、カラ・エレハレルデ、カルメン・マチ、ベレン・クエスタ、ベルト・ロメロ、ロサ・マリア・サルダ、アルフォンソ・サンチェス、アルベルト・ロペス、ジョゼップ・マリア・リエラ、ほか
映画「オチョ・アペリードス・カタラネス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「オチョ・アペリードス・カタラネス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「オチョ・アペリードス・カタラネス」解説
この解説記事には映画「オチョ・アペリードス・カタラネス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
オチョ・アペリードス・カタラネスのネタバレあらすじ:起・バスクVSアンダルシアVSカタルーニャ
スペイン・バスクでマグロ漁を営むコルドは、港で待つメルチェから娘アマイアの結婚招待状を受け取った。
アマイアの元恋人でセルビアに住むラファは、彼女と別れて以来、訪れる観光客を手あたり次第にナンパするようになり、同僚たちの心配の種になっていた。そこへコルドがアマイアの結婚に際して、バスク十字のネックレスを花婿に渡したいから返して欲しいと訪ねて来た。
コルドは二人の別れた理由を知らず、てっきりアマイアが振ったものだと思っており、アンダルシア人への偏見はあるものの、ラファの事を元恋人として一目置いていた。
まだアマイアへの思いを引きずっているラファは、周りが止めるのも聞かず、コルドの付き添いとして相手のいるカタルーニャはバルセロナに行くことにした。
オチョ・アペリードス・カタラネスのネタバレあらすじ:承・独立急進派
名簿にないラファが挙式前のパーティーで受付に止められていると、アマイアの計らいで会場に入れてもらうも、元恋人が結婚直前にどうして来たのかと父親共々責められた。
アマイアの婚約者のパウはカタルーニャ出身で世界をまたにかける画家で、彼女がバスク人であろうが寛容に受け入れてくれるのが結婚を決めた理由だった。
そんなパウは、高齢の祖母にカタルーニャ共和国独立(嘘)以来初めての結婚式として、アマイアとの式を見せるつもりでおり、ウェディングプランナーのジュディスト相談し、邸宅のある町ではカタルーニャの旗が至る所に飾られ、ユーロではなく嘘の通貨モネレータを表示、文句をつける公務員やカタルーニャ出身ではない人々には、生ハムとワインを無料で提供し結婚式の日だけでもおとなしくしてほしいと買収済みだった。
コルドは、独立するのはバスクが先だと、憤慨した。
オチョ・アペリードス・カタラネスのネタバレあらすじ:転・自治州間格差
アマイアたちが到着すると、旧家を守るパウに祖母ロゼルは、花嫁は一番良い寝室へ、ラファとコルドには未来の曾孫の部屋をあてがった。さらにそこへバスクからメルチェが合流した。
夜、ラファはコルドがメルチェへのプロポーズのために書いた詩を試読してから、アマイアの部屋を訪れたが、財産目当てかどうか確かめたいロゼルがやって来てしまい、テラスに追い出され、そのまま下の階のジュディスの寝室に落ちてしまった。
ラファのアマイアへの未練を指摘するジュディスもまた、本当はパウに恋をしていた。ラファが結婚式を中止にできないか相談すると、ロゼルがバスクから離れる気がないアマイアにこの家をプレゼントする事を知れば喧嘩になるだろうと言った。
しかし、部屋に帰るラファがジュディスとハグをしているのを見たアマイアは、二人の仲を誤解してしまった。
翌日、コルドとメルチェに結婚式中止の協力を相談したラファ。ロゼルがバルコニーからパウとアマイアの結婚を宣言し、コルドがバスク十字のネックレスをパウに渡して最後に、この家を贈ると発表すると、バスクに住む約束を反故にされたアマイアは怒りだした。
広場はお祭り騒ぎのまま、ロゼルの意向をを忘れて欲しいアマイアと、ラファを忘れて欲しいパウで口喧嘩が始まり、人間櫓り中を見ようとしたラファは失敗し転落してしまった。
ラファを気づかいながら丸め込もうとするパウに負けじと、ラファはジュディスと父親に協力を頼み、ウエディングワルツの練習を口実に二人きりになり、ジュディスとの仲を疑うアマイアに踊りながら本心を打ち明けた。
しかし、メルチェからラファの方が結婚にしり込みして別れた事を知って怒ったコルドが乱入し、バスクに帰ると宣言。ラファも屋敷から締め出され、柵を乗り越えようとしたところを警察に捕まってしまった。
オチョ・アペリードス・カタラネスの結末:バスク人の意地
セビリアからラファを助けに来た仕事仲間は、独立を装う町の様子に驚き、国の一大事だと軍に勤める従兄弟に報告。町に数台の車両が向かった。
警察では、メルチェからの電話に、ラファがコルドが書いていた詩を伝え彼女をたきつけ、探しに行った駅で二人は再会。警察からラファを引き取り、四人でバスクに帰ろうと、パトカーで結婚式の広場に乗り付けた。
誓いの言葉を途中で中断させたラファは、アマイアにプロポーズ。さらに、バスク語で告白をした。
アマイアよりジュディスを気に入っていたロゼルは、そもそもこの結婚を良く思っておらず、カタルーニャ独立が見せかけだったと知ると、三人でアンドラ公国に行こうと言った。そしてラファとアマイアは賑わう広場でキスをした。
その後、どうしても孫をバスクで産ませたいコルドは車を走らせ、車の中でもう産まれると察すると、目前にある標識を移動させ無理矢理バスク生まれにしたのだった。
以上、映画「オチョ・アペリードス・カタラネス」のあらすじと結末でした。
オチョ・アペリードス・カタラネスのレビュー・考察:パズルのようなスペイン
2015年製作の本作でカタルーニャの独立は冗談のように描かれているが、2017年にカタルーニャ州議会は一方的に独立を宣言され、のちに撤回と言う事が実際に起きているので、事実は小説より奇なりを地で行く程、スペインの各自治州の郷土愛は深い。バスクは北東部にある州だが独自の文化・言語を持ち、フランコ政権下で言語の弾圧された経緯もあり、民族的な結束が強い。またジュディスは巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラのある北西部出身だが、スペインの中では田舎者扱いを受けるので出身地を隠している。ちなみにラファのいるセビリアはアンダルシア州でロゼルからは忌避され、コルドは軟派だと思っている。表現こそ極端ではあるが、自治州ごと独自文化が集まった集合体としてのスペインを知ることができる作品だった。
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