ボディ・スナッチャー 恐怖の街の紹介:1956年アメリカ映画。アメリカの小さな町を舞台に、人間が次々と未知の生命体に乗っ取られていく恐怖を描く。数度に渡りリメイクされたSFホラーの名作。「荒野のガンマン(1961年)」等で知られる映画監督サム・ペキンパーが演者として登場するシーンも見どころのひとつ。
監督:ドン・シーゲル 出演者:ケビン・マッカーシー(マイルズ・ベネル)、ダナ・ウィンター(ベッキー・ドリスコル)、ラリー・ゲイツ(ダン・カウフマン)、キング・ドノヴァン(ジャック・ベリチェック)、キャロリン・ジョーンズ(テディ・ベリチェック)ほか
映画「ボディ・スナッチャー 恐怖の街」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ボディ・スナッチャー 恐怖の街」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ボディ・スナッチャー 恐怖の街」解説
この解説記事には映画「ボディ・スナッチャー 恐怖の街」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ボディ・スナッチャー 恐怖の街のネタバレあらすじ:奇妙な変化
救急病院に錯乱状態で搬送された医師、マイルズ・ベネル。彼は周囲に正気を疑われながらも、自分の町で起きている恐ろしい事態について説明を始めます。――舞台はアメリカ、サンタ・ミラという小さな田舎町。学会から戻ったマイルズは、車で迎えに来てくれた看護師サリーと診療所へ向かいます。不在中、大勢の患者がマイルズを待っていました。しかし診療所に着くと、患者が全員予約をキャンセルしたことが判明。皆元気に働いています。そこへマイルズのかつての恋人、ベッキー・ドリスコルがやって来ます。彼女は従姉妹ウィルマが奇妙な妄想にとりつかれていると訴えます。ウィルマは自分の家族を、そっくりに作られた偽物だと主張しているらしいのです。マイルズはウィルマを訪ねると約束し、ベッキーは診療所を後にします。その後自分の母親を異常に恐れる少年が診療所にやって来ました。母について「僕をつかまえにくる」「偽物だ」と喚く少年に、マイルズはウィルマとの共通点を感じ不安を覚えます。
ボディ・スナッチャー 恐怖の街のネタバレあらすじ:未完成な人間
ウィルマを訪ねたマイルズ。ウィルマは家族について、感情が抜け落ちていると話します。心の問題だと判断したマイルズは、友人で精神科医のダン・カウフマンを紹介すると約束。その後偶然出くわしたダンにウィルマの話をすると、彼は2週間ほど前から、親しい人間を偽物だと感じる集団ヒステリーが起きているのだと教えてくれました。専門医の言葉に一度は安心したマイルズでしたが、知人のジャック・ベリチェックから急患の電話が入り、一緒にいたベッキーと彼の家へ向かいます。出迎えたジャックと妻テディは、見せたいものがあると言って2人を室内に案内しました。家の中には見知らぬ男が横たわっています。診察を始めたマイルズは首を傾げます。男は顔立ちが非常に曖昧で特徴が無く、無反応ですが死体でもありません。指紋も無く、まさに未完成な人間と呼ぶに相応しい謎の物体だったのです。テディはその物体がジャックに似ていると言い出し、驚いたジャックは瓶を落として手のひらを切ってしまいます。とりあえず朝まで様子を見ることにして、マイルズはベッキーを家まで送り届けます。地下室では彼女の父が大工仕事をしていました。別れを惜しみながらマイルズも自宅に戻ります。
ボディ・スナッチャー 恐怖の街のネタバレあらすじ:侵略
真夜中。ベリチェック家では、うたた寝していたテディがふと目を覚ましました。例の物体の顔は完全にジャックと同じになり、ゆっくりと目を開きます。手のひらにあった切り傷にテディは悲鳴を上げ、ジャックと共にマイルズの家に逃げ込みます。あの物体は少しずつ完全な人間に変化していると訴えるテディ。胸騒ぎを覚えたマイルズはベッキーの家に向かい、あえて呼び鈴を鳴らさず地下室から侵入します。調べてみると、箱の中にベッキーそっくりの物体が横たわっていました。仰天したマイルズは階段を駆け上がり、眠っているベッキーを抱えて自分の家に連れ帰ります。その後知らせを受けたダンも調査に加わりますが、マイルズも集団ヒステリーに陥っているのだと診断します。マイルズは翌日ウィルマを訪ねますが、彼女はすっかり元気になっていました。急にヒステリーが解消されたようです。マイルズは疑問を抱えながらも、ベッキーとベリチェック夫妻が待つ自宅へ帰ります。温室に入ったマイルズは、奇妙な物を発見しました。それは巨大な豆のサヤのように見えました。4人が見守っていると、サヤが割れて中から人間の体をした何かが出て来ます。サヤの中で人間の複製が育っているのです。未完成なこの体はいずれ人間と入れ替わり、人間の方は消滅すると推測したマイルズ。これこそが集団ヒステリーの真相だったのです。おそらく眠っている間に記憶を吸われるのだと考え、マイルズはベリチェック夫妻に眠らないよう警告し、他の町へ行って助けを呼ぶよう頼みます。残ったマイルズとベッキーは町を調べますが、ほとんどの住人が既に入れ替わっていると気づき愕然とします。
ボディ・スナッチャー 恐怖の街のネタバレあらすじ:眠ってはいけない
マイルズとベッキーは診療所で夜を明かします。窓から町を見下ろすと、まだ早い時間帯だというのにやけに人が集まっていました。そこへ巨大なサヤを大量に積んだ農場のトラックがやって来ます。集まった人々は親類用のサヤを持ち帰って行きました。このままでは複製人間に侵略されると危惧したマイルズが外へ出ようとすると、ようやくジャックが戻って来ました。しかし彼はダンや警察官も連れています。彼らもサヤの肉体に乗っ取られてしまっていたのです。ダンが説明を始めます。サヤは宇宙から飛来した謎の種子で、原子レベルであらゆる生命体の姿に変化します。そして人間が眠っている間に心と記憶を吸い取り、その人に成り代わるのです。複製人間が創る感情の無い世界を歓迎するダン。しかしマイルズとベッキーは愛すらも無い世界を否定し、その場から逃げ出します。町中の人間が追って来る中、山中の坑道に逃げ込んだ2人。何とか追跡をかわしますが、ベッキーの疲労は限界に近づいていました。
ボディ・スナッチャー 恐怖の街の結末:「次は君だ!」
ベッキーを残し周囲を探索していたマイルズは、眼下に農場を発見します。温室で育てられた大量のサヤがトラックに積まれているところでした。マイルズはベッキーの元に戻りますが、体力の限界に達した彼女は眠りに沈む寸前でした。マイルズは必死に励まし、愛を込めてキスをします。しかし再び目を開いたベッキーは既にマイルズの知る彼女ではありませんでした。とうとうベッキーも乗っ取られてしまったのです。絶望したマイルズは走り出し、ハイウェイを走る車に警告を与えようとします。しかし誰も聞く耳を持ちません。マイルズは行き交う車の中、狂ったように「やつらはすぐそこに!次は君だ!」と絶叫したのでした。――マイルズの話を聞き終えた救急病院の医師達は、やはり信じてはくれませんでした。そこへ事故を起こしたトラックの運転手が搬送されて来ます。そのトラックは巨大な豆のサヤを積んでいて、しかもサンタ・ミラからやって来ていました。顔色を変えた医師はマイルズを信じ、厳戒態勢を敷きます。疲弊したマイルズは安堵したように瞼を閉じ、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画ボディ・スナッチャー 恐怖の街のあらすじと結末でした。
「ボディ・スナッチャー 恐怖の街」感想・レビュー
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以前、NHKBSのお昼に観たのですが、映画のタイトルを忘れてしまってました。じわじわと来る強烈な恐怖の思い出があって、やっと今日判明してほっとしています。ほんと怖かったです
アメリカの小さな町を舞台に人間が次々と未知の生命体に体を乗っ取られる恐怖を描いたSF・ホラーの古典。幾度かリメイクされている。いかんせん50年代の映画だから特殊メイクなどあるはずもなく乗っ取られた人間が無感情な演技になることでしか表現されていない。ただ大きな莢が出てくることぐらいか。筆者は3年ぐらい前にTVの衛生放送で観たが存外に楽しめた記憶がある。徐々に乗っ取られる人間が増えてきてそこから何とか脱出しようとする人たちが醸し出すサスペンス的な要素はドン・シーゲル監督の腕の見せどころといったところか。