ヤコブへの手紙の紹介:2009年フィンランド映画。心を閉ざした元囚人の女性と、愛を説く盲目の牧師の交流を描く。牧師の元には各地から毎日何通も手紙が届いていた。しかし、ある日突然1通も来なくなってしまう。誰にも必要とされない人間の孤独を丁寧に描き、優しく癒す感動のヒューマンドラマ。
監督:クラウス・ハロ 出演者:カーリナ・ハザード(レイラ・ステーン)、ヘイッキ・ノウシアイネン(ヤコブ・リューベ牧師)、ユッカ・ケイノネン(郵便配達員)、エスコ・ロイネ(刑務所長)ほか
映画「ヤコブへの手紙」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ヤコブへの手紙」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ヤコブへの手紙」解説
この解説記事には映画「ヤコブへの手紙」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ヤコブへの手紙のネタバレあらすじ:老牧師との出会い
舞台は1970年代、フィンランドの田舎町。終身刑で12年間服役していたレイラ・ステーンは、突然の恩赦で釈放されることになりました。行くあてなど無いレイラは渋々勧められた仕事に就きます。盲目の老牧師、ヤコブ・リューベの身の回りの世話をする住み込みの仕事です。翌日、レイラはヤコブが1人きりで住んでいる古びた牧師館を訪ねます。歓迎するヤコブにレイラは冷淡な態度で接します。ヤコブがレイラに頼んだことは、毎日届く手紙の音読と返事の代筆。郵便配達員が手紙を届けに来ますが、元囚人のレイラに顔色を変えました。ヤコブはレイラを裏庭に案内し、椅子に座って手紙を読むよう頼みます。手紙には差出人それぞれの悩みや問題が書かれており、ヤコブは彼らのために祈りながら返事の文章を口にします。祈りを求める人々を神の前に導くのがヤコブの日常であり生きがいでした。自分の恩赦を請求したのはヤコブかと尋ねるレイラに、彼は「(私は)人々の願いを伝える道具にすぎない」と答えます。
ヤコブへの手紙のネタバレあらすじ:冷え切った心
ヤコブの元には様々な人から毎日手紙が届きます。レイラは不快感もあらわに届いた手紙の一部を勝手に井戸の中に捨ててしまいます。ある夜、足音を忍ばせた男が牧師館に侵入します。レイラは男を背後から羽交い締めにし、引きずるように外へ追い出しました。男の正体はいつもやって来る郵便配達員でした。彼はヤコブを心配して様子を見に来たと言い、レイラに「彼(ヤコブ)は善人だ。早く刑務所に帰れ」と捨て台詞を吐き去っていきます。そしてその翌日から、ヤコブへの手紙は1通も届かなくなりました。
ヤコブへの手紙のネタバレあらすじ:誰にも必要とされない人
ピタリと届かなくなった手紙。大きなショックを受けたヤコブは、酷く慌てた様子で寂れた教会へと向かいます。追いかけたレイラに、今日ここで結婚式が行われると言い出します。しかしそんな気配は全くありません。誰も来ないと告げるレイラに、落胆して座り込んだヤコブ。彼は人のために祈ることが自分の使命だと信じてきました。しかし、もう自分は人にも神にも必要とされていないのだと嘆きます。レイラは苛立ちのまま、手紙の返事やレイラの恩赦請求は全てヤコブの自己満足でしかないと言い捨てます。降り出した雨の中を1人帰っていくレイラ。すぐに出ていく準備を整えた彼女はタクシーに乗り込みますが、行き先を答えることが出来ず、結局牧師館に残ります。レイラもまた誰にも必要とされない孤独感から自殺を図りますが、ヤコブが帰宅したことで何とか思いとどまるのでした。
ヤコブへの手紙のネタバレあらすじ:祈りの手紙
レイラは郵便配達員に、明日から手紙が無くとも牧師館に来るよう頼みます。ヤコブは急速に老いていました。レイラが以前井戸に捨てた手紙を取ろうと悪戦苦闘していると、約束通り郵便配達員がやって来ます。届かない手紙の代わりに、彼は雑誌を手渡しました。レイラはヤコブを裏庭に導き、雑誌のページを破っていかにも手紙を読んでいる風を装います。しかしヤコブはすぐに嘘を見抜き、席を立とうとします。引き止めたレイラは静かに自分の身の上話を始めました。レイラの母は暴力的な人間でした。母の暴力からレイラを守ってくれたのは姉のリーサ・ステーンでした。数年後リーサが結婚した相手も暴力癖を持っており、レイラがリーサを訪ねた日も酷い暴力を振るっていました。そしてレイラは怒りで義兄を刺殺してしまったのです。姉を救うつもりが、大切な夫を奪ってしまったと罪の意識に苛まれるレイラ。話を聞き終えたヤコブは一度館の中に入り、手紙の束を持って戻って来ました。それはリーサがヤコブに宛てた、レイラの恩赦を願う手紙でした。リーサはずっと長い間、ヤコブにレイラを案じる手紙を書いていたのです。手紙にはたった1人の妹への愛に満ちた文章が綴られていました。飲み物を用意しに牧師館へ入ったヤコブ。レイラは泣きながら手紙を読み続けていましたが、ふとヤコブの戻りが遅いことに気づき館の中へ。そこでレイラは倒れているヤコブを発見。最後まで人のために祈り続け、冷え切ったレイラの心に愛を届けたヤコブは静かにこの世を去ったのでした。
ヤコブへの手紙の結末:新たな希望
後日、ヤコブは霊柩車に乗せられ牧師館を去っていきました。レイラはじっとそれを見送ります。手にはリーサの手紙の束がありました。レイラはそこに書かれたリーサの住所を見つめます。新たな希望の道が開かれ、この映画も終幕を迎えます。
以上、映画ヤコブへの手紙のあらすじと結末でした。
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