ビッグ・ウェンズデーの紹介:1978年アメリカ映画。西海岸でサーフィンに情熱を注ぎこみ、その日暮らしを楽しんでいる仲良し3人組は、伝説の大波ビッグウェンズデーに挑戦することを夢見ていた。しかし、時の流れや世情に流されながら、3人は、いつしかバラバラになり、サーフィンから遠ざかった生活を送っていた。そんなある日、夢見ていた大波ビッグウェンズデーが来る噂を聞きつけた3人は、かつての海に集結する。果たして彼らは青春にピリオドを打てるのか?
監督:ジョン・ミリアス 出演者:ジャン=マイケル・ヴィンセント(マット・ジョンソン) 、ウィリアム・カット(ジャック)、ゲイリー・ビジー(リロイ) ほか
映画「ビッグ・ウェンズデー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ビッグ・ウェンズデー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ビッグ・ウェンズデー」解説
この解説記事には映画「ビッグ・ウェンズデー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ビッグ・ウェンズデーのネタバレあらすじ:起
西海岸で、遊び暮れるマット(ジャン・マイケル・ヴィンセント)、ジャック(ウィリアム・カット)、リロイ(ゲイリー・ビジー)。毎日働きも学びもせずに、サーフィンにのめりこみ、その日暮らしを楽しんでいる仲良し3人組は、数十年に一度来る伝説の大波ビッグウェンズデーに挑戦することを夢見ていた。彼らは、地元では、有名な凄腕サーファーだ。毎晩、女たちとパーティを繰り広げ、踊り、酒を浴びるように飲み、大麻を楽しむ。そして、どんなにベロベロに酔っぱらっても、朝には、ビーチに行き、サーフィンを楽しむ。
ビッグ・ウェンズデーのネタバレあらすじ:承
そんな能天気な日々に、水を差すベトナム戦争が勃発する。ベトナム戦争の招集令をあの手この手で交わす能天気な西海岸のメンバー。そんな中、生真面目なジャックだけ志願して戦争に行く。そこから3年が経つ中で、引っ越しするもの、結婚して家庭をもつもの、戦死するものなどが出てきて、西海岸で遊び暮れていたメンバーはサーフィンから遠ざかりバラバラになる。かつて子供たちの憧れだったマットは、サーフィンから遠ざかり、落ちぶれた日々を過ごしている。
ビッグ・ウェンズデーのネタバレあらすじ:転
戦争からかえってきたジャックは、恋人が他の男と結婚していること、かつての町並みが失われていることに落胆する。みんな、かつてのような笑顔がなくそれぞれの場所でそれぞれ小さな不幸を抱えながら生きている。それは、青春に終わりを告げれずにズルズルいろんなものに流された結果だった。そんなある日、夢見ていた大波ビッグウェンズデーが来る噂を聞きつけた3人は、かつての海に集結する。
ビッグ・ウェンズデーの結末
彼らは青春にピリオドを打ち、明日をしっかり見つめるために、伝説の大波ビッグウェンズデーに挑戦する。仲間たちが次々に波乗りに失敗する中、マットはビッグウェンズデーの波乗りに成功する。海岸で羨望している若者に手に持っているサーフボードをプレゼントする。青春にピリオドを打てた3人は、すがすがしい気持ちで、それぞれいるべき場所に帰っていく。
この映画「ビッグ・ウェンズデー」は、ジョン・ミリアス監督の青春時代の思い出をもとに作られた青春映画の傑作だ。
カリフォルニアの海岸の小さな町に住む3人の青年は、サーフィンによって友情が結ばれていた。
彼らは、伝説的な幻の波である”ビッグ・ウェンズデー”を待ち続けているが、やがてヴェトナム戦争によって青年たちは、バラバラの人生を歩む事になってしまうが——。
誰にでも青春時代というものはあるはずだ。
でも、それが素敵な青春であったかどうかはわからない。
それを代弁するかのように、また疑似体験をさせてくれるのが映画なのだが、こんな青春時代を過ごせれば最高だと思わせてくれたのが、この「ビッグ・ウェンズデー」なのだ。
夏の青い空に青春を賭け、サーフィンで激しい波に挑み、そしてそこから生まれる友情と恋、まるで絵に描いたようなストーリーだ。
とにかく、主人公を演じているジャン・マイケル・ヴィンセント、ウィリアム・カット、ゲイリー・ビジーがとてもカッコいい。
サーフィンのシーンになると、普通の映画だったらスタント・マンが俳優の代わりを演じるのだが、この映画では、俳優自らがサーフボードに乗って、彼らのテクニックを見せてくれるのだから、凄いのひと言に尽きる。
波の間を進むサーフィンに乗ったジャン・マイケル・ヴィンセントが、ボードの上を歩いてしまうので、サーフィンを初めて見た人だったら、本当にびっくりしてしまうだろう。
この作品のおかげで、公開当時の1970年代末頃、一部の人だけのスポーツだったサーフィンが、一気に若者向けのものとなって大流行してしまったそうだから、それだけこの映画の中のサーフィン・シーンが、強烈だったのだろうと思う。
もちろん、この映画は甘っちょろくて、カッコいいことばかりを描いているわけではない。
この映画の時代となっている1960年代を描いている背景には、もちろんアメリカ人にとって汚点となったヴェトナム戦争の影もあるのだ。
入隊検査を逃れるために、ありとあらゆる手を使って入隊拒否をするシーンには笑ってしまうが、しかし、戦争に行くことの義務感と、死の恐怖のジレンマ、そして戦争に対する悲劇が強烈に描かれているのだ。
この映画の脚本・監督のジョン・ミリアスは、自分の青春時代の体験をもとにこの作品を描いていて、真実であるからこそ、劇中、戦争に行った仲間が戻って来た時の喜びや涙が、感動へと変わっていくのだ。
そして、愛する恋人との再会、昔の思い出を取り戻すために、やっと待ち望んだ幻の波”ビッグ・ウェンズデー”に挑戦することで、サーフィンて結ばれた男の友情が復活するのだ。そして、私はそんな彼らの姿に、言いようもないほどの爽やかな感動を覚えるのです。